「すべての人に合格チャンス」洋々・江口輝亨氏に聞く早慶AOの特色

 AO入試・推薦入試、小論文対策で難関大合格者を輩出し続けている個別指導塾「洋々(ようよう)」GM・江口輝亨氏に、大学入試改革の背景にある社会変化、特色のある新しい入試の知識や、人気の高い早慶AO入試事例、新しい時代の入試を迎えるための心構えを聞いた。

教育・受験 高校生
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個別指導塾「洋々(ようよう)」GM・江口輝亨氏
  • 個別指導塾「洋々(ようよう)」GM・江口輝亨氏
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  • 大学入試の多様化は進展
  • AOと言っても、その形はさまざま
  • 早稲田政経・グローバル入試
  • 早稲田創造理工建築・建築AO入試
  • 慶應法学部・FIT入試
 戦後最大といわれる教育改革。そのひとつが、2021年から実施される大学入学共通テストである。2021年度以降に大学受験を迎えるお子さまとその保護者は、不安を抱きつつ受験対策に頭を悩ませているのではないだろうか。親世代とは違うわが子の大学入試とは? 独自の入試を行う大学の狙いとは?

 AO入試・推薦入試、小論文対策で難関大合格者を輩出し続けている個別指導塾「洋々(ようよう)」GM・江口輝亨氏に、大学入試改革の背景にある社会変化、特色のある新しい入試の知識や、人気の高い早慶のAO入試事例、新しい時代の入試を迎えるための心構えを聞いた。

江口 輝亨/洋々 執行責任者・GM



 米系大手経営コンサルティング会社A. T. カーニーの元マネージャー。 金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの 作成、実施にも深く関わる。洋々では受験戦略策定とともに、高校・大学の推薦型入試対策も直接行い、多くの受験生を志望校合格に導く。
技術面に留まらず、モチベーションに力点を置いたサポートは保護者からも篤い支持を受ける。慶應義塾大学経済学部卒、ミシガン大学ビジネススクールMBA Essential Program修了。



すべての人にチャンスがあるAO入試



--なぜ、大学入試改革が行われるのでしょうか。

 グローバル化や技術革新などで先行きが見えない時代を迎え、これからはたくましく生きる力が重要です。そこで、これまでの一般入試では測れない力を見るために、大学入試改革が行われます。これまでの「知識・技術偏重」の入試から、学力の3要素「知識・技術」「思考力・判断力・表現力」「主体性・協働する力」を測り、それを使って新しい価値を生み出す力を見る入試へと変えることが大学入試改革の狙いです。大学はこれまでも社会で活躍する人材を輩出し続けるために、一発勝負だけでは測れない多様な人材を見出す方法として、AO入試や推薦入試を採用してきたと言えます。

--具体的に、AO入試の方法を教えていただけますか。

大学入試の多様化は進展「大学入試の多様化は進展」(画像提供:洋々「2019高2向け早慶対策セミナー」資料より)

 AO入試を採用する大学は増えており、入試の形はさまざまです。出願条件に評定平均を求めず、学力をほとんど見ていないのではと思われるような選考方法もあります。もちろん、成績が良いに越したことはありませんが、学力の高い人は、一般入試でとれば良いので、ペーパーテストだけでは判断できない魅力のある人をAOや自己推薦でとろう、という意図と捉えています。学校の成績が良くないからうちはムリと親が判断せず、すべての人にチャンスがあり、出願できる入試だと思っていただきたいです。

AOと言っても、その形はさまざまAO入試と言っても、その形はさまざま。すべての人にチャンスがある。(画像提供:洋々「2019高2向け早慶対策セミナー」資料より)

早稲田の場合



早稲田大学政治経済学部・グローバル入試



--AO入試の特徴的な事例を教えていただけますか。

 早稲田大学政治経済学部・グローバル入試は、書類を提出した後、全員に一次選考で論文審査が課されます。課題文を読み取り、そこから自分の意見をどれだけ展開できるかを試されるものです。この論文と書類選考で一次選考が行われ、通過した人は二次選考に進み、先生2名による、20~30分間の個人面接が行われます。面接は、面接の本に書いてあるような質疑ではありません

早稲田政経・グローバル入試早稲田政経・グローバル入試の概要(画像提供:洋々「2019高2向け早慶対策セミナー」資料より)

 たとえば、志望理由を「大学で自由に学びたいからです」と答えた場合、「でも自由な学びは、大学じゃなくてもできるよね」と返されるかもしれません。受験生の答えに、2つ3つの質問をさらに飛ばす「濃いコミュニケーション」から、受験生が何を考えているのかを探ろうとしているわけです。また、敢えて興味なさそうな聞き方をしたり、矢継ぎ早に質問を投げかけてくる先生もいるなど、言葉以外の部分でのコミュニケーションの力も試されるものと言えます。

早稲田大学創造理工学部建築学科・AO入試(創成入試)



-- AO入試は、文系学部が積極的な印象がありますが、理系学部ではいかがですか。

 早稲田大学創造理工学部建築学科は、早くからAO入試(創成入試)に取り組んだ理系学部のひとつです。建築学科の場合、職業と結び付きやすい学科ですので、自分の構想をいかに正確にほかの人に伝えられるかが大切になってきます。自分の描いたビジョンに、左官屋さんや、構造や意匠の担当者などさまざまな関係者を巻き込みながら、どのように実現していく人物なのか、その素養を見るため、二次選考ではいくつかの評価軸を課しています。

早稲田創造理工建築・建築AO入試早稲田創造理工建築・建築AO入試の概要(画像提供:洋々「2019高2向け早慶対策セミナー」資料より)

 二次試験の課題に、空間表現というドローイングの試験があり、絵と文章で自分の考えを説明するという問題が課されます。過去、「今あなたが座っている場所から見える室内のものを使って、あなたが心地よいと感じる空間を表現しなさい」という問題がありました。ここで問われているのは、その人が考える心地よさとは何か、モチーフにしたものをどのように建築に展開したのかを、絵と文章を使って如何にほかの人に共有できるか、ということと考えています。発想や着眼点を共有できるデッサン力があればいいのです。もちろん、デッサンをはじめとした絵の力が優れていることに越したことはありませんが、それ以上に自分の考えをもつことと、それをほかの人に伝えられるかどうかが求められているのだと思います。

慶應義塾の場合



慶應義塾法学部・FIT入試



--慶應義塾は、人気の高い法学部でも「FIT入試」が行われています。

 慶應法学部・FIT入試は、10年以上前から取り組まれている方式で、誰でも出願できるA方式と、高校3年間の成績評定が4.0以上という条件のB方式があります。1次で書類選考が課されるのはA方式、B方式で共通です。A方式の二次は、まず模擬講義を受け、論述試験を受けるという「講義論文」試験です。大学1年生が春に受講し理解できる程度の内容を、およそ50分間受講し、そのあと45分間かけて授業内容をまとめ、自分の意見を書くという論述が課されます。

慶應法学部・FIT入試慶應法学部・FIT入試の概要(画像提供:洋々「2019高2向け早慶対策セミナー」資料より)

 さらに、そのあとのグループ討論では、45分で6~7人のグループを組み、その場でお題を与えて、メンバーだけで自由に議論するというものです。グループ討論のもっとも重要なポイントは、そこにいる人たちのもつ力をいかにフル活用できるかです。いかに与えられたお題にみんなで立ち向かえるか、それをグループ討論の場で図ろうとしているのだと思います。

慶應SFC・AO入試



--自由な校風という印象のSFCはいかがでしょうか。

 日本で初めてAO入試を導入したのがSFCで、その始まりは1990年まで遡り、いろいろな意味で象徴的な入試といえます。大学に何をしにいくのかという、目的意識を見る入試ともいえます。評定2点台の生徒や、不登校だった生徒が合格している例もあります。出願書類は2,000文字の志望理由のほか、白紙のA4・2枚で自由に表現する自由記述、これまでの活動の足跡を履歴書のようにまとめて、添付できる書類も添えて説明する活動報告が求められます。

慶應SFC・AO入試慶應SFC・AO入試の概要(画像提供:洋々「2019高2向け早慶対策セミナー」資料より)

 まず一次は出願書類で選抜し、二次では面接だけが課され、ペーパーテストは一切ありません。二次試験の個人面接は、受験生1人に対し先生3人が30分間かけて行い、密度の濃いディスカッションに近い内容になります。先生から問題をその場で投げかけ、生徒が答え、それに対して先生がまた次の質問を投げかける形です。SFCでは、深呼吸させたり、緊張をほぐすために「ちょっと緊張しているの? じゃあ体操してみようよ」と運動をさせて場を和ませ「あ、いい表情になってきたから、志望理由教えて」など、フランクな先生もいますし、さまざまです。

一般入試・AO入試を含めた受験戦略で合格率を高める



--AO入試で入学した生徒と、一般入試を経た生徒は、入学後に違いがありますか。

 AO入試で入学した生徒は4年間、とても濃い大学生活を送っている印象があります。AO入試で入学する場合、スタートダッシュが圧倒的に違います。自分は何を学ぶためにその大学へ行くのか、入った後どのように時間を使っていくのかをイメージして目的意識をもって入学しているので、4月からすぐに自分のプランの仮説・検証を始められるわけです。

--一般入試とAO入試を両立させて受験に臨むことは可能でしょうか。

 難しいことではなくなってきたと思います。合格するチャンスが1回増えるということと、一般入試の形が変わりゆくなかで、準備の部分で重なる大学も出てきています。十分可能だと思いますし、今後は両方合わせて受験戦略を考える必要性がますます高まると考えています。たとえば早大の政経の入試は、2021年から一般入試のペーパーテストを廃止し、大学入学共通テストと英語外部検定試験のスコア、独自の総合考査だけになります。総合考査は、グローバル入試とかなり重なりが大きい内容で、グローバル入試を受けた人のほうが、一般入試も受けやすくなるだろうと考えられます。

2021年度入試を突破する!早慶入試対策セミナーの詳細はこちら

洋々は、ともに宝探しをするパートナー



--AO入試指導に特化している洋々の独自性は、どんなところですか。

 私たちのAO入試指導は、受講生ひとりに3人の担当がつきます。

1.全体を統括する責任者


2.メンターと呼ばれる大学生でかつAO入試経験者


3.現役弁護士や、海外の経営大学院の採用官、大企業の研修制度を構築した人、大手企業の面接官など、なかなか出会えないようなプロフェッショナルな大人



 という3人の担当が受講生に寄り添いながら、多様な考え方による多面的なフィードバックを行っています。さまざまなタイプの入試に備え、ディスカッション、個人面接、小論文の指導をしています。高校は同質の生徒が集まりやすい場所ですが、洋々には首都圏だけでなく、国内外から様々なバックグラウンドを持つ高校生が集まっていますので、違った視点やさまざまなバックグラウンドの同世代の受験生とディスカッションの経験を積むことができるのは貴重な時間になると思います。

個別指導塾「洋々(ようよう)」GM・江口輝亨氏「攻略法を教えているというよりも、受験生の中にある宝探しをしている」と語る個別指導塾「洋々(ようよう)」GM・江口輝亨氏

 社名には、「すべての人が人生を洋々と切り開けるように、人生を謳歌できるように」という願いを込めています。すべての人がそれぞれの形で、大学入試に挑めるよう応援していきたい、というのが根底にあります。型にはめることはしたくありません。指導している側の感覚としては、教えているというよりも、受験生の中にある宝探しをしている感じなのです。

 答えはすべて、受験生の中にあるはずで、それを受験生と一緒に講師が探していく、という形でサポートを行っています。ですので、受験生のみなさんにも、「洋々へ行けば、何かを教えてもらえる」という感覚で来るのではなく、自分のことを一緒に探してくれるパートナーとして洋々を捉えていただたきいと思っています。2,000字というボリュームで志望理由を書くということは、大学へ熱烈なラブレターを書くようなものです。自分の中の宝を探し出せれば、受験生自身の熱量で書き上げられるはずです。

--費用はどのくらいかかりますか。

 AO入試の場合、準備の中核である出願書類をメインに、書類の量に応じて回数が決まります。たとえば、2,000字の志望理由書が必要な大学を受験する場合は10回の講座になります。入会金と合わせておよそ50万円程度ですが、書類の量が少ない大学を志望する場合は回数が減りますので、価格も抑えられます。また、高1~2年生の場合、受講講座によりますが、月謝制で月3万3千円程度です。

--親世代とは異なる多様な入試制度があり、不安になる保護者の方もいると思います。アドバイスをお願いいたします。

個別指導塾「洋々(ようよう)」GM・江口輝亨氏
 変わりゆく受験システムに不安を抱くのは、理解できますが、もっとも不安を抱いているのは、受験生本人だと思いますので、ぜひ一緒に考え、受験を楽しんでいただきたい。親が受験生だったころとは、世の中の状況も大学入試の形もかなり変わっていますから、必ずしも保護者が正しいと思っていることが、お子さまにとっても正しいとは限らない時代になっています。親も完璧な回答は知らないという前提で、お子さまと一緒に考えるプロセスを楽しんでみてはいかがでしょうか。8月に願書を提出する大学もありますので、高校2年生の後半から志望校を調べて準備を進めていくとよいと思います

--本日は、ありがとうございました。

 AO入試は、全国大会レベルの運動部や生徒会、コンテストなど、高校で輝かしい成績を残している人しか出願できない、という先入観をもつ保護者も多いのではないだろうか。江口氏の話からは、何かに真剣に取り組んだり、コツコツと興味のある分野の研究を積み重ねたり、自分の発想を形にしたいという思いをもつ生徒であればチャンスがあり、その能力や熱意を測る入試なのではないかという印象をもった。

 興味が定まっていない、満足のいく高校生活を送っていないようすが見られるというお子さまも、宝探しのパートナーに伴走してもらうことで、自分の原石を見つけ出すことができるかもしれない。目的意識をもってAO入試に挑むことは、大学生活とその先の人生において、新しい価値を生み出す力を引き出してくれるだろう。

 洋々では、AO推薦入試のプロによる無料個別相談を受け付けている。来校が難しい場合にはSkypeや電話による相談も可能。

2021年度入試を突破する!早慶入試対策セミナー



2019年11月9日(土)16:00-17:30
2019年11月30日(土)16:00-17:30
2019年12月7日(土)16:00-17:30
2019年12月21日(土)17:00-18:30

2021年度入試を突破する!早慶入試対策セミナーの詳細はこちら
《船田るみ子》

船田るみ子

北海道生まれ、フリーランスのコピーライターとして活動中。興味がある分野は、ニューロダイバーシティを含め教育、美術、建築、スポーツ(野球)、NFT、Web3など。企画・編集協力として、日めくり型書籍『年がら年中長嶋茂雄』(ベースボール・マガジン社刊)がある。Podcastを聞きながらのランニングが日課。

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