市町村の人口・経済への高校魅力化の影響、総人口5%増加の事例も

 地域・教育魅力化プラットフォームは2019年11月22日、地域と連携した高校教育改革(高校魅力化)の効果を見える化する調査に関する結果を公表した。高校統廃合に伴い市町村総人口の1%相当が転出超過する一方、高校魅力化により総人口が5%超増加する事例があったという。

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高校生が地域に出てフィールドワークするようす(島根県雲南市内)
  • 高校生が地域に出てフィールドワークするようす(島根県雲南市内)
  • 地域・教育魅力化プラットフォームが開発した「高校魅力化評価システム」
  • 統廃合年次を基準とした住民基本台帳人口 転出入人口(MURC政策研究レポート「高校存続・統廃合が地域社会に及ぼす影響の一考察」より)
  • 「高校魅力化評価システム」に関する試行的調査の結果(抜粋)(MURC政策研究レポート「『魅力ある高校づくり(高校魅力化)』をいかに評価するか」より)
 地域・教育魅力化プラットフォームは2019年11月22日、地域と連携した高校教育改革(高校魅力化)の効果を見える化する調査に関する結果を公表した。高校統廃合に伴い市町村総人口の1%相当が転出超過する一方、高校魅力化により総人口が5%超増加する事例があったという。

 学校を核とした地方創生を支援する地域・教育魅力化プラットフォームは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと共同で、地域と連携した高校教育改革(高校魅力化)の効果を見える化する調査を進めてきた。このたび、2017年度から2年半かけて実施した地域(市町村)の人口・経済を明らかにする2つの調査の結果をとりまとめ、公表した。

 調査結果の概要によると、全国の市町村の人口動態と高校統廃合の関係性について、過去に高校統廃合がなされた市町村と、高校統廃合がなされなかった市町村との比較により考察を試みたという。1990年~2019年の30年間で、1市町村に1つの公立高校が存在していた市町村の約2割において公立高校が消滅。統廃合により高校が消滅した市町村では、6年間で総人口の1%相当が転出超過だった。

 また、魅力ある高校づくりを全国に先駆けて行ってきた島根県の高等学校を例として、高校魅力化の社会・経済的効果の推計を実施。高校魅力化により、2017年は地域の総人口が5%超増加したほか、地域の消費額は3億円程度増加、歳入も1.5億円程度の増加だったという。高校魅力化に伴う町村の財政負担を加味しても、3,000万円~4,000万円程度のプラス効果があり、高校魅力化に伴う町村の負担額の約1.8倍の歳入増加とみている。

 地域・教育魅力化プラットフォームは、これらの調査(人口・経済への影響の見える化)と同時に、高校魅力化による高校生の成長や学習環境を評価する「高校魅力化評価システム」の開発も行ってきた。「高校魅力化評価システム」では、これからの社会や「社会に開かれた教育課程」に求められる資質・能力要素を把握し、学校・地域の学習環境(=「学びの土壌」)を把握することができる。

 2019年度からは、文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」の「PDCAサイクル構築のための調査研究」として、当該事業の指定校において、取組みを評価するツールとして「高校魅力化評価システム」が導入された。このシステムを用いて実施した島根県内の高校魅力化実践校(魅力化校)の生徒と、全国調査における高校生の意識を比較したところ、「先生、保護者以外に、地域に気軽に話せる大人がいる」「将来、自分の住んでいる地域のために役に立ちたいという気持ちがある」「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦している」などの項目で、魅力化校の生徒の方が割合が高い傾向にある。

 「高校魅力化評価システム」は、2020年度から都道府県単位での導入が可能になる。地域・教育魅力化プラットフォームでは、高校と地域が一体となったPDCAをさらに推進するため、地域との協働による高校教育改革を推進する実践高校・地域が共学共創する機会を、全国に提供していくという。

 なお、今回公表された調査結果は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングWebサイトの「政策研究レポート」にて、詳細な内容が公開されている。
《黄金崎綾乃》

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