<社会>講評(京葉学院 提供)
例年通り、大問の数は7題。地理、歴史、公民のあらゆる単元からまんべんなく出題されています。全体の難度は、昨年度よりもやや上がったと見られます。とはいえ、問題文を正しく読み取ることができれば、難度の高い問題は多くはありません。
差がつきやすいのが、記述の問題や資料読み取りの問題、歴史の時代順並べ替えの問題です。記述の問題(4 (3)、7 (2))は8点、資料読み取りの問題(3 (4)、6 (3))は8点、時代順並べ替えの問題(5 (1))は4点の配点でした。これらの問題への対策が有効にできていたかどうかが、合否を分ける大きな鍵となるでしょう。
1.総合問題
平成29年に伝統的工芸品として国から認定された「千葉工匠具」をテーマとした、3分野の融合問題です。
(1)では、江戸時代に政治改革を行った人物について問われました。高校入試では頻繁に出題される題材です。確実に点を取っておきたいところです。
(3)はレーダーチャートのグラフが使われました。見慣れない図にとまどった人も多かったのではないでしょうか。ただ、正しく読み取ることさえできれば、必要な知識は千葉県に関するごく基本的なものばかりです。
2.日本地理
例年と同じく日本全図が使われ、また、都道府県庁所在地名の問題や地形図の問題も出題されました。
(1)では、日本の領土の端に位置する島や、周辺国との間で主権をめぐる問題が生じている島について出題されました。
3.世界地理
例年と同じく、世界全図にもとづいて出題されました。
(2)は、アラブ首長国連邦の大都市であるドバイの名を答えなければならず、難度の高い問題でした。日ごろ外国からもたらされるニュースなどに関心のある人なら、「世界で最も高いビルがあります。」というくだりから答えが分かったかもしれません。
4.前近代史
(4)は、元禄文化と化政文化の区別が付いていなければ答えられない問題でした。文化史、特に江戸時代の文化は苦手とする人が多いと思いますが、よく取り上げられる題材ですのでぜひ克服しておきましょう。
(5)では世界史におけるできごとが問われました。日本であるできごとがあったとき、世界ではどのようなことがあったか。年表などを使って、正しく把握しておくことが必要です。
5.近・現代史
多くの受験生が苦しむ年代整序の問題は、今年度の後期選抜では5 (1)だけでしたが、よく見ると、4 (4)、(5)、5 (3)、(4)も、正しい年代の把握ができていなければ正しい答えが出せない問題です。配点は20点にのぼります。
歴史の流れを正しく理解することは、社会の勉強を進める上で、とても重要になってきていると言えます。
6.国民生活と経済・社会
財政をテーマとして出題されました。
(1)に関して、教科書などにも太字で書いてある、所得税などの「累進課税制度」については、きちんと勉強している人が多かったと思いますが、消費税には「逆進性」があるとされていることについては、どうでしたか。2019年10月に消費税が増税されましたが、これをきっかけに消費税について学んでいた人にとっては、難しくはなかったかもしれません。
6.日本の政治制度
(2)では、衆議院における議員定数の不均衡について、最高裁判所が違憲判決を下した理由を答える問題です。問題文に「日本国憲法第14条の~」とありますから、答えには「法の下の平等」を書かなければなりませんが、しっかりこれが書けた人は多くはないのではないかと思います。ちなみに、「普通選挙」と書くのは全くの誤りです。教科書にも載っている、選挙の4つの原則を確認してみましょう。
(3)で問われたNGOは、ODA、PKO、NPOなどと間違えてしまう人が多く、高校入試でよく使われる題材です。正しく区別できるようにしておきましょう。
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このレポートは令和2年3月2日(月)に速報として京葉学院により作成されたもの。
協力:京葉学院