日本財団は2020年3月30日、2018年10月からスタートした「18歳意識調査」の第23回結果を発表した。世界的な格差について、72.3％が「拡大している」と回答。また、6割近くが、日常生活の中で経済的な格差を感じていることがわかった。 第23回の18歳意識調査は、「格差社会」がテーマ。2020年2月21日～24日に実施され、全国の17歳～19歳男女1,000人から回答を得た。 世界的にさまざまな格差が拡大していると思うかと尋ねると、回答者の72.3％は「思う」と回答。日常生活の中で経済的な「格差」を感じることがあるかという質問では、「はい」が57.6％、「いいえ」が42.4％となった。 日常生活の中で格差を感じる理由では、「服のブランド物やゲームのソフト所持数など」「周りの友人と比べて、外食にかける金額や頻度が少ないから」など、自分と身近にいる友人を比較して格差を感じている回答が多くみられた。そのほか、「金銭事情により進学を希望してもできない人がいる」など、経済的な差により受ける教育にも格差が生まれてしまっているという回答が目立ったという。 一方、格差を感じない理由では、「あからさまな貧富の格差を見ることがないから」といった自分と周囲の人との差を感じていないという回答や、「世界的に考えると日本は裕福な生活ができていると思うから」「日本はまだ裕福な国」など、自分を含めて困窮した生活を送っている人が周囲にいないため、実感として感じていないようすがうかがえた。 格差拡大の原因は何だと思うかという質問では、「低賃金のサービス労働の拡大」37.1％、「政府の経済政策」35.6％、「個人の財産・資質の問題」35.0％、「教育の問題」30.2％などが多いが、「わからない」という回答も24.6％だった。また、61.6％は、格差は今後「さらに拡大する」と考えていた。 格差の是正については、「できると思わない」37.1％、「できると思う」23.7％、「わからない」39.2％という結果。是正できないと思う理由では、「家庭環境や個人の資質には違いがある」41.0％、「資本主義は競争社会だから」37.7％が多い。 是正できると思う回答者に求める対策を聞くと、「税制など金融政策の見直し」47.7％、「教育・職業訓練の拡充」42.6％、「富裕層に対する増税」36.7％、「雇用制度を通じた労働者の身分保障」36.3％、「従業員や地域への企業利益の還元」33.3％、「社会保障を通じた富の再分配」31.6％などがあがっていた。 格差社会の中で生きていくために、どのような生き方をしたいかについて、「賃金の高い企業に就職する」32.2％がもっとも多い。そのほかは、「購入を控え、支出を抑える」20.1％、「投資などで蓄財する」13.0％、「職業選択の幅が広い大都市圏に住む」7.5％など。なお、24.3％は「わからない」と答えている。 一部の富裕層に富が集中する「世界の富の偏在」については、「仕方がない」33.5％、「問題だ」26.7％、「わからない」39.8％。仕方がない理由では、「富裕層の人は社会に貢献した結果だと思うから」「資本主義社会なため貧富の差がでてしまうのは仕方がない」、問題だとする理由では、「あまりに差があるので貧困層に何らかの形で多少富を分配すべきだと思うから」「下位の者に下克上を起こす（大金持ちになる）チャンスも与えられていないのが問題である」といった意見がみられた。 「わからない」と答えた人の理由では、「何が問題なのか分からないから」のほか、「格差は嫌だと思うが、個人の問題だから」「問題だが、それと同時に彼らによって経済が回っているため」など、問題意識はあるものの、是正すべき課題とは捉えていない回答もあった。 調査結果の詳細は、日本財団Webサイトにて公開している。
