コロナ影響の学生支援…私大連が文科省と企業団体に要望

 日本私立大学連盟は2020年3月31日、新型コロナウイルスに関する要望を文部科学省および企業団体に提出した。経済的困窮に陥った学生への支援のほか、就職活動のインターネット等を活用した情報の提供や選考開始の後倒しなど柔軟な対応を依頼した。

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  • 2020 年度卒業・修了予定者の就職活動に関する要望(一部)
 日本私立大学連盟は2020年3月31日、新型コロナウイルスに関する要望を文部科学省および企業団体に提出した。経済的困窮に陥った学生への支援のほか、就職活動のインターネット等を活用した情報の提供や選考開始の後倒しなど柔軟な対応を依頼した。

 文部科学省より、2020年3月24日に「令和2年度における大学等の授業の開始等について(通知)」が発出された。私立大学は、感染症拡大防止のための学事日程の変更以外にも環境が平時と異なる現状を踏まえ、文部科学省へ4項目の支援を依頼。

 1つは、経済的困難に陥った学生への支援。感染症拡大の影響で、学生や家計支持者の休業や失業、学生自身がアルバイトの減少等により多くの学生や留学生が経済的困難に陥ることが予想されるため、十分な財政支援、さらなる奨学金の拡充を求める。

 ついで、感染リスク低減のための遠隔授業を実施するための体制整備の財政支援。緊急なのが、感染防止に関する研究・医療体制への支援。私立大学では、新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、医療や研究分野において治療法や新薬の開発、検査、病床の確保などの対策を進めている。そのための研究および医療体制、産学間の連携体制整備の緊急的な支援を依頼している。

 そのほか、学生定員の管理、学生数の調査、制度に関する手続き等の緩和。出入国に関する規制や学生・留学生の経済的困窮が拡大した場合、学生の修学継続が危ぶまれる可能性がある。学生定員は、定員充足や超過率が私学助成の配分など諸施策に連動しているため、大学経営への影響が大きい。さらに、毎年5月1日時点で学生数を調査する「学校基本調査」への回答は現実的に困難な状況で、学生定員の管理や国等の調査、高等教育の修学支援新制度に係る手続きなど柔軟な対応を要請。

 また、日本経済団体連合会や日本商工会議所など企業団体には、「新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえた 2020年度卒業・修了予定者の就職活動に関する要望」を提出した。感染防止のため、就活イベントが中止・延期になり、学生には現状に対する不安と混乱が広がっている。少しでも不安を和らげるために、新規学卒者の採用枠を維持するとともに学生が安心して就職活動に取り組めるための特段の配慮を依頼。

 依頼内容は、学生の不安の解消と学修経験時間を確保できるよう、採用選考活動を2020年6月1日からの開始徹底と採用選考日程の後倒し。複数回の選考機会を設けるなどの柔軟な対応と、インターネットの活用など多様な通信手段による面接や試験の実施を検討すること。さらに、エントリーシートおよび健康診断書の提出は、期限を延長するなど柔軟な対応を求めている。
《田中志実》

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