「コロナで研究に支障」85%、博士課程取得時期に影響

 科学技術・学術政策研究所が行った、新型コロナウイルスの流行による研究活動への影響の調査で、博士課程在籍者では85%、博士課程修了者・退学者では79%が、研究に支障が出たと回答したことが明らかになった。また、3割以上が博士取得が遅れる可能性があると回答している。

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 科学技術・学術政策研究所が、新型コロナウイルスの流行による研究活動への影響を調査したところ、博士課程在籍者では85%、博士課程修了者・退学者では79%が、研究に支障が出たと回答したことが明らかになった。また、3割以上が博士取得が遅れる可能性があると回答している。

 「新型コロナウイルス流行の研究活動への影響等に関する調査」は2020年5月1日~25日にかけて実施され、博士課程在籍者729名、博士課程修了者・退学者376名の計1,105名から回答を得た。

 調査時点で研究活動に影響が出ているかとの質問に、「すでに影響を及ぼしている」と回答した割合は、博士課程では85%、博士課程修了者・退学者では79%だった。

 どのような影響が出ているかを9種の活動項目別に調べたところ、「研究活動に大きな支障が出ている」との回答の割合がもっとも高かったのが、「研究活動に利用している建物・研究室、設備(実験機器)等の利用停止」で、67%の人が「大きな支障が出ている」と回答した。次に「学会、シンポジウム、ワークショップ等の中止・延期」「試料(生物・化石・鉱物等)収集、屋外調査、フィールドワーク、実験等の中止・延期」が続いた。

 また、博士課程在籍者に、新型コロナウイルスの流行が博士の取得時期に与える影響の見通しについて聞いたところ、「博士の取得がすでに遅れる予定だ(あるいはすでに遅れた)」と回答した割合は 6%、「博士の取得が遅れる可能性がある」と回答した割合は30%だった。

 専攻分野別に「遅れる」または「遅れる可能性がある」と回答した割合をみると、「人文」「社会」「教育」で高く、「理学」「工学」「保健」は比較的低い傾向にあった。しかし「遅れる可能性がいくらかある」まで含めた回答の割合は、全体の7割以上となり、大半が博士の取得時期に影響を与える可能性を感じていた。
《勝田綾》

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