東京五輪、無観客開催による経済的損失は約2兆4,133億円

 2021年の東京オリンピック・パラリンピックが無観客で開催されたときに失われる経済的損失額が、約2兆4,133億円にのぼることが2021年1月22日、関西大学の宮本勝浩名誉教授による試算から明らかになった。

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 2021年の東京オリンピック・パラリンピックが無観客で開催されたときに失われる経済的損失額が、約2兆4,133億円にのぼることが2021年1月22日、関西大学の宮本勝浩名誉教授による試算から明らかになった。

 2020年に開催が予定されていた東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの影響で2021年に延期。開催国である日本で感染者数が急拡大し、医療崩壊が生じ始めていることや、欧米をはじめとする諸外国でも感染者数や死亡者数が急増していることで、2021年の開催は不透明になってきている。

 関西大学の宮本勝浩名誉教授は1月22日、「どうなる東京五輪~無観客開催か中止か、その経済的損失~」と題した分析結果を発表。東京オリンピック・パラリンピックが延期、簡素化、無観客、中止となった場合の経済的損失について、すでに発表済の試算結果も含め、それぞれまとめている。

 なお、経済効果(専門的には「経済波及効果」)とは、イベント、事件、人の行動などによって、消費者、企業、自治体が直接的、間接的に消費または投資した金額の総額のこと。直接的投資・消費の直接効果、間接的投資・消費の一次波及効果、二次波及効果の合計をさす。宮本名誉教授の試算では、一次波及効果と二次波及効果について、総務省作成の「全国産業連関表」を用いて計算している。

 試算結果によると、2021年へ開催が1年延期されたことによる経済的損失は約6,408億円。1年延期され、観戦者が会場の約半分に簡素化されたときの経済的損失は約1兆3,898億円。1年間延期されたが、ワクチンなどの開発で無観客ながら開催されたときの経済的損失は約2兆4,133億円。中止の際の経済的損失は約4兆5,151億円にのぼる。

 このうち、今回の報告書で公表した「無観客開催で失われる大会開催中の経済効果」については、大会参加者・感染者の消費支出による経済効果、家計消費支出による経済効果などから、大会開催中の経済効果を約7,198億円と試算。大会開催後のレガシー効果のうち、無観客開催で失われる経済的損失を1兆527億円とし、合計して約1兆7,725億円と推定している。

 宮本名誉教授は「どんな形になったとしても、新型コロナ拡大による経済への打撃は大きい。しかしながら、これまで東京大会の準備のために実施されてきた公共事業などの経済効果はすでに実現しているし、東京大会を目指して開発されてきた映像、通信、自動運転などのITS技術・ロボット産業の拡大、5Gの進展、水素社会の実現などの技術開発は続けられて、レガシー効果として日本の社会、経済、医療、生活などの発展に貢献していくことであろう」と述べている。
《奥山直美》

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