小学生の学力、コロナ禍による影響は…学研が調査分析

 学研エデュケーショナルと学研教育総合研究所は2021年4月2日、新型コロナ感染拡大に伴う臨時休校措置による子供の学力状況に関する調査結果を発表した。コロナ禍による学習内容理解への影響はないと判断されたが、一部の都道府県では影響を受けていることがわかった。

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算数と国語の調査結果
  • 算数と国語の調査結果
  • 算数・国語得点の散布図(高学年)
  • 誤答が増えた小学校4年生の国語の問題
 学研エデュケーショナルと学研教育総合研究所は2021年4月2日、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休校措置による子供の学力状況に関する調査結果を発表した。コロナ禍による学習内容理解への影響はないと判断されたが、一部の都道府県では影響を受けていることがわかった。

 「コロナ禍の子どもの学力」に関する調査は2020年10月17日~11月30日、最寄りの学研教室や自宅でテストを受検した全国の年長~小学6年生を対象に実施した。調査対象者数は11万494人。

 心配されたコロナ禍による小学校での学習内容理解への影響については、一部の教科で正答率の低下がみられたものの、全体としては高い平均点を記録し、コロナ禍と正答率の因果関係を確認するには至らなかった。ただ、都道府県ごとの正答率を比較すると、最大15.6%(小5・算数)の開きがあり、地域によってはコロナ禍の影響を子供たちが受けていることもわかった。

 一般受検者と学研教室会員の国語と算数の得点を散布図にしたところ、低学年から正の相関がみられ、学年が上がるにつれ、国語と算数の得点分布に特徴的な相関が加わることがわかった。幼児・低学年のうちはあまり差が出ないが、中学年になると国語・算数ともに得点の分布が開き始め、高学年になるとよりその差が顕著になっていた。

 国語の点数が最低限取れない児童は、算数の得点が伸びない傾向にあった。テストの内容から、国語の点数が低く算数の点数も低い児童は、算数の文章題が理解できていないために得点できていないと考えられ、読解力の差が学力の差につながったようだという。

 このほか、子供たちの答案をみていくと、これまでと異なる誤答が増えていることもわかった。小学校4年生の国語で、かっこの中に正しい言葉を入れる問題では、前年の正答率は53.8%だったが、誤答の「かける」「かけよる」の選択率に差はなかった。今回の正答率は52.0%で、誤答には圧倒的に「かけよる」が選ばれていた。

 学力診断実施時期、多くのエリアでTVアニメ「鬼滅の刃」再放送が行われ、我妻善逸が初めて技を使う12話が放送されていた。学研エデュケーショナルと学研教育総合研究所では、善逸が技を使うときの、まるで一瞬で駆け寄っているように見える演出が子供たちの記憶に残り、「いなずま→善逸→かけよっていた!」と連想したのではないかと分析している。採点した全国の学研教室の指導者からも「めずらしい」「『鬼滅の刃』を連想したのかも」という声があがったという。

 学年別の得点など、より詳しい調査結果はWebサイトよりダウンロードすることができる。申込フォームよりアンケートに記入すると、ダウンロードが可能になる。
《奥山直美》

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