「COVID-19の災禍と世界の大学入試」5か国の報告書公開

 大学入試センターは2021年11月14日に開催したシンポジウム「COVID-19の災禍と世界の大学入試」の報告書をWebサイトに掲載した。シンポジウムで報告された5か国の大学入試における新型コロナウイルスの影響について、発表内容や質疑応答をまとめている。

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 大学入試センターは2021年11月14日に開催したシンポジウム「COVID-19の災禍と世界の大学入試」の報告書をWebサイトに掲載した。シンポジウムで報告された5か国の大学入試における新型コロナウイルスの影響について、発表内容や質疑応答をまとめている。

 「COVID-19の災禍と世界の大学入試」では、アメリカ、イギリス、フィンランド、韓国、日本の5か国における大学入試について、コロナ禍でどのような影響を受け、変化が起き、対応していったのか、各国独自の事情や背景を踏まえながら調査・研究した成果を報告している。

 たとえば、アメリカについては、東京大学大学院教育学研究科教授・福留東土氏と文部科学省科学技術・学術政策研究所上席研究官・川村真理氏が「コロナ禍で揺れるアメリカの大学入学者選抜」と題した報告を実施。アメリカはパンデミックにより世界でもっとも深刻な影響を受けた国の1つと言われているが、大学では進学率、経済面、雇用面等、さまざまな面で深刻な影響が及んだという。

 進学動向については2020年の秋入学者が46万人減少し、2021年度も引き続きコミュニティーカレッジ等を中心に前年度比7倍ほどの減少率となる等、顕著な影響が出たと指摘。コミュニティーカレッジでは、留学生に加えて黒人がおもな減少要因となっており、オンライン環境への未整備や経済的な困窮から低所得者層の多い黒人学生を中心に進学回避が生じたと分析している。

 アメリカでは、コロナ禍以前より全国で統一された入試は存在せず、一般的には高校の成績や水準が重視され、競争力の高い大学では加えてエッセイ、SAT、ACTといった学力テストのスコアから総合的に判定されている。コロナ禍以前から9割以上の大学が、オンラインでの入学願書受付や選考を実施していたため、SATやACTといった会場形式の学力テストを除いては、ほぼオンラインでの選考が可能な状態だったという。

 さらに、コロナ禍になり多くの大学で学力テストのスコアを必須としない措置(テストオプショナル)を取るという現象が生じたため、2021年度入学者選抜では、特に選抜性の高い大学で志願者が急増し、合格者等に占めるマイノリティーや低所得者層の割合が増加した。このことから、これまでの選抜方法は社会的な弱者が選抜性の高い大学に応募することを抑制してきたのではないか、という議論に発展。学生の多様性を強調するアメリカにおいては、大学の経営層を中心に、多様性の高い学生層を教育できることを歓迎する声があがっているという。

 報告書では、コロナ禍における各国の大学入試を取り巻く状況や変化をまとめている他、最後に行われた全体討論の議事録も掲載。100ページを超えるボリュームで、シンポジウムで発信された情報を詳細に伝えている。報告書は、大学入試センターのWebサイトから見ることができる。

《畑山望》

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