全国体力テスト、過去最低点…持久走は大幅低下

 2022年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)の結果がスポーツ庁より2022年12月23日に公表された。体力合計点は小中学校の男女共に調査開始以来、過去最低を記録。特に持久走は2018年度以降、大幅な低下が続く。

リサーチ 教育
持久走(男子)
  • 持久走(男子)
  • 持久走(女子)
  • 肥満の割合、経年変化
  • 50m走・シャトルラン
  • ハンドボール(ソフトボール)投げ・握力
  • 上体起こし・長座体前屈
  • 睡眠時間の割合
  • 朝食の頻度

 2022年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)の結果がスポーツ庁より2022年12月23日に公表された。体力合計点は小中学校の男女共に調査開始以来、過去最低を記録。特に持久走は2018年度以降、大幅な低下が続く。

 調査は、国公私立の小学校5年生(約99万人)と中学校2年生(約91万人)が対象。調査期間は2022年4月~7月。各学校では握力・上体起こし・長座体前屈・反復横とび・20mシャトルラン・50m走・立ち幅とび・ソフトボール(ハンドボール)投げの8項目の実技テストと質問紙調査を行った。

 全実技での体力合計点は、小学校が男子52.3点(前年度比0.2ポイント減)・女子54.3点(同0.4ポイント減)。中学校が男子40.9点(同0.2ポイント減)・女子47.3点(同1.1ポイント減)。小中学生の男女共に、2019年度から連続して低下し、調査開始以来、過去最低を記録した。

 特に持久走は、2018年以降、大幅な低下が続いており、運動不足による心肺機能の低下が懸念される。なお、持久走は、中学校のみの調査項目であり、持久走と20mシャトルランのいずれかを学校が選択して実施している(持久走の選択率は、男女共に全生徒の約3割)。

 2021年の調査と比較して低下がみられたのは「50m走」と「20mシャトルラン」。加えて、小学校では「立ち幅とび」、中学校では「持久走」の他、「上体起こし」「反復横とび」も低下がみられた。一方、中学校男子は「立ち幅とび」では、調査開始以来の最高値196.8点をマーク。長座体前屈では中学校女子以外は、向上がみられた。

 1週間の総運動時間が420分以上の割合は、小・中学校男女のすべてにおいて2021年度よりも増加したが、以前の水準には戻っておらず、体力合計点にも影響を与えている。また、小・中学校の男女ともに、肥満の割合が増加。特に小学校男女、中学校男子は肥満の割合が過去最高を記録した。

 生活習慣をみてみると、「朝食を毎日食べる」割合は、小学校男子を除いて減少。睡眠時間「8時間以上」の割合も小・中学校の男女ともに減少。学習以外のスクリーンタイム(平日1日あたりのテレビ、スマートフォン、ゲーム機等による映像の視聴時間)は「4時間以上」の割合が増加した。

 このように近年の生活習慣の変化や肥満の割合増に加え、新型コロナの影響でマスク着用中の激しい運動の自粛等も体力合計点の低下の要因として考えられる。

 一方、「運動が好き」「体育が楽しい」と回答した児童生徒は2021年度より増加。このうち、「体育が楽しい」と回答した割合は、小学校の男子73.4%(前年度比1.3ポイント増)・女子59.4%(同1.0ポイント増)、中学校の男子56.8%(同4.2ポイント増)・女子41.9%(同2.3ポイント増)。小学校では以前の水準に戻り、中学校では過去最高の割合となった。

 スポーツ庁長官 室伏広治氏は、今回の調査結果をビデオメッセージ(YouTube)で公開。「毎日の生活の中でスポーツに親しみ、健康、体力づくりに向けて積極的に身体を動かしましょう」と呼びかけている。また、自身が考案・実演する身体診断「セルフチェック」動画もスポーツ庁のホームページで公開している。


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《川端珠紀》

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