二度と戻ってこない? 2月2日未明に地球に最接近「ZTF彗星」

 2022年3月に発見された新しい彗星「ZTF彗星」(C/2022 E3 (ZTF)、以下、ZTF彗星)が、2023年2月2日未明(日本時、世界時では2月1日)に地球に最接近する。約5等級の明るさになるといい、十分に暗い空であれば肉眼でもぼんやりとした姿を観測できそうだ。

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ZFT彗星の位置
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  • ZTF彗星の見られる位置(方位、地平高度)と明るさ(東京の場合)

 2022年3月に発見された新しい彗星「ZTF彗星」(C/2022 E3 (ZTF)、以下、ZTF彗星)が、2023年2月2日未明(日本時、世界時では2月1日)に地球に最接近する。約5等級の明るさになるといい、十分に暗い空であれば、肉眼でもぼんやりとした姿を観測できそうだ。

 ZTF彗星は2022年3月2日に、アメリカ・カリフォルニア州のパロマー山天文台で行われている突発天体現象(短時間で明るさが変わるような天体現象)を検出するプロジェクト「Zwicky Transient Facility」による観測で発見された新しい彗星だ。この彗星の軌道はもともとは放物線にごく近い楕円軌道を描いており、前回太陽に近づいたのは、計算上では今から5万年ほど前だったという。

 彗星は、太陽に近づくことで彗星本体の氷が蒸発。ガス・塵が一緒に彗星表面から放出された結果、彗星の本体がぼんやりとした淡い光に包まれるように輝いて見える「コマ」という現象や、本体から放出されたガスと塵がほうきのように見える「尾」を作るという。そのため、コマや尾が目立って観測され始めるのは太陽に近づいてから。ZTF彗星は2023年1月13日(日本時、世界時では1月12日)に近日点(軌道上の太陽にもっとも近い位置)を通過し、彗星の活動自体はそのころにピークを迎えたと考えられている。

 太陽から遠ざかるにつれて彗星活動は少しずつ弱まるが、今度は地球へと近づくことになり、近日点通過時よりも少々明るくなって見えることが期待されている。地球との最接近は2月2日未明(日本時、世界時では2月1日)。この時に地球から約4,200万キロメートルの距離にまで近づき、約5等級の明るさになりそうだという。そのため夕方、十分に空が暗くなったころには北の高い空に見られるといい、宵の時間帯にかけてが観察には好条件

 ただし、時間帯によっては月明かりの影響を受け、肉眼では見えにくくなりそうだ。また、市街地では街の明かりが影響し、肉眼での観測は難しいと思われるため、しっかりと目にしたい場合は双眼鏡を使うほうが良いだろう。

画像出典:国立天文台

 2月1日、2日の午後9時ごろであれば、北斗七星の真上、天頂と北極星を結んだ線の中間あたりを観測すると彗星の姿をとらえられそうだ。

 気になるのは天候だが、北海道、東北、北陸以外の各地ではチャンスがありそう。しかしながら冷え込みが厳しいと考えられるため、防寒対策をしたうえで観測してほしい。

 次第に遠ざかっていくZTF彗星だが、地球最接近を過ぎてもしばらくは観測ができる。いくつかの明るい1等星や惑星に接近するといい、2月5日から6日にはぎょしゃ座のカペラ、2月11日には火星、2月14日から15日にはおうし座のアルデバランといった明るい星を目印として彗星を探すと良いだろう。

 なお、ZTF彗星の現在の軌道は、惑星の引力の影響で放物線にごく近い双曲線軌道に変化していて、将来的には太陽系から離れ、再び戻ってくることはないと考えられているという。二度と会えない彗星の姿を、目に焼き付けてみてはいかがだろうか。

《鶴田雅美》

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