【中学受験の塾選び】四谷大塚の特徴と費用(2023年度版)

 「中学受験の塾選び」をテーマに、首都圏で人気の大手3塾、さらには、それぞれの特色で生徒数を伸ばす新興3塾について、特徴や費用、カリキュラム、コロナ禍の対応等を紹介する。今回は四谷大塚について見ていこう。

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四谷大塚Webサイト
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  • ベストセラーのオリジナルテキスト「予習シリーズ」

 「中学受験の塾選び」をテーマに、首都圏で人気の大手3塾、さらには、それぞれの特色で生徒数を伸ばす新興3塾について、特徴や費用、カリキュラム、コロナ禍の対応等を紹介する。今回は四谷大塚について見ていこう。

四谷大塚の指導の特徴

 1954年創立の四谷大塚。東京・神奈川・千葉・埼玉に展開する34の直営校に加え、教室と同じカリキュラムが自宅で学べる小学生向け通信教育を開講している。第一志望校合格にとどまらず、子供たちを「独立自尊の社会・世界に貢献する人財」そして「世界に羽ばたくリーダー」に育成することを目指す。

 授業に使用する教材は、1週間1単元のカリキュラムで無理のない理解を可能にし「中学受験のバイブル」とも称されるベストセラーテキスト「予習シリーズ」(高学年対象)の他、「漢字とことば」「四科のまとめ」「考える社会科地図」等の人気の副教材。丁寧でわかりやすい解説となっており、理科と社会はフルカラー。最新の入試出題傾向を反映し、思考・判断・記述を試すトレンドを盛り込む。国語の問題文には、未来のリーダーに必要な「人間力」育成のための題材が選定されている。 

 指導方針は、低学年の間は「読み・書き・計算」といった「学習の基礎・基本」の取得を重視。褒めてやる気を引き出し、知的好奇心を刺激することで「考えることの楽しさ」を教えて学力を大きく伸ばす。高学年では、1週間サイクルの「スモールステップ」なカリキュラムを「パーフェクト・マスター」で着実に学習。「予習シリーズ」での熱誠授業を「週テスト」で確認し、さらには、ITを活用したWebコンテンツ「高速基礎マスター」と家庭学習に役立つIT授業「予習ナビ」「復習ナビ」で、「努力する習慣」と「基礎・基本」を徹底して「応用力」や「思考力」を高める。

 中学受験に必要な学習内容は、4・5年生の2年間でひと通り習得する。6年次には最先端のAIを活用してひとりひとりの学びを最適化。前半の「単元ジャンル別演習」では単元・領域別の総復習を行い、後半の「志望校別演習」では学校別入試対策をそれぞれ徹底的に行うことで、第一志望校合格へと導く。

 定期テストとしては、低学年は月1回の「月例テスト」と年3回の「リトルスクールオープンテスト」を、高学年は週1回の「週テスト」(4年生は金曜日、5・6年生は土曜日)と5週に1回の「組分けテスト」をそれぞれ受験。4年生の最後と5年次には2回の「志望校判定テスト」がある他、6年次には志望中学校を会場にした「合不合判定テスト」が年6回実施される。また、全学年が年2回の「全国統一小学生テスト」も受験する。

入塾の時期

 低学年・高学年ともに3年間でのカリキュラムを組んでいるため、そのスタートとなる新1年生(年長生の2月)、新4年生(3年生の2月)から入塾すると、学習の流れにスムーズに乗ることが期待できる。入塾テストは随時実施しており、それ以外の時期の入塾の場合も、生徒の学力に応じた補習等を行いながらフォローする体制で安心して入塾が可能だ。

 子供の教育に対する保護者の関心は年々高まっており、低学年からの通塾は増加の一途をたどっている。コロナ禍での学習指導に対する公立中学校の対応の遅れが、素早い対応を見せた私立中学を引き立たせ、中学受験ブームが沸き起こったことで、低学年・高学年ともに入塾希望者が殺到している。

入塾前テストの有無

 学力診断と入塾後のクラス決定のため、入塾テスト(受験無料)を実施しており、その合格率は50%。合格するまで何度でもチャレンジが可能で、しっかりとしたフォローが行われる。また、6月・11月に実施される「全国統一小学生テスト」と年3回の低学年「リトルスクールオープンテスト」(いずれも受験無料)も入塾テストを兼ねる。

年間費用

・1年生:約25万円
・2年生:約25万円
・3年生:約30万円
・4年生:約60万円
・5年生:約80万円
・6年生:約115万円
※いずれも税込、テキスト等の教材費・テスト代・講習会受講料等がすべて含まれる。

クラス分け

 1クラスあたりの定員は、低学年は10~12名、高学年は15~20名。入塾テストの他に、低学年では学期末ごとのテストで、高学年では5週に1回の組分けテストでクラス分けを実施している。開成・桜蔭等の最難関校への合格を目指す上位クラスから学力に応じて順に指導クラスを分け、親身な熱誠指導を行っている。

通塾の頻度と時間帯

・4年生:週3日(17:00~20:10)×2日、(17:00~19:30)×1日
・5年生:週3日(17:00~21:20)×2日、(15:30~20:30)×1日
・6年生:週4日(17:00~21:20)×2日、(13:50~18:20)×1日、(13:30~18:00)×1日
※4~6年生は、校舎・クラスによって時間帯が異なる場合がある。

授業以外のサポート

 計算・語彙・漢字等を学習するITコンテンツ「高速基礎マスター」、IT授業「予習ナビ」「復習ナビ」、「週テスト演習」等のITコンテンツで家庭学習をサポート。使用料はいずれも授業料に含まれている。

 また、全学年を対象に月1回、研究者や起業家等による特別講義で将来の夢を見つけるきっかけがつかめる「未来発見講座」を開講。生徒同士によるディスカッションで互いに刺激を受け、夢や志を見つけて学習モチベーションをアップさせる。

 学期末には生徒・父母に「個人面談」を実施して、個々の生徒の状況に応じた的確なアドバイスを行う。定期的に行われる「父母説明会」では、学習の進捗やポイント等を伝える。

塾のコロナ対応

 現段階(2023年2月末)での対応は以下の通り。
・校舎入館時には、マスク着用・入口での検温(37度以上の発熱が確認された場合には入館不可)
・手指消毒を徹底
・受付周辺設備、机・椅子等の教室備品、トイレ設備、iPad等の生徒・スタッフが触れる設備・機器類を毎日除菌消毒
・空気清浄機とサーキュレータの全教室への設置、換気を随時実施

 なお、対面での集団授業が原則だが、コロナ感染が不安等の場合には自宅でIT授業「予習ナビ」「復習ナビ」「高速基礎マスター」等の受講により、遅れをとることなく学習ができる。

コロナ禍の中学受験について

 新型コロナウイルスが蔓延し、学校が休校となり緊急事態宣言が出された当初の頃(2020年4月頃)には、通信教育についての問合わせや入会が一気に増加。その後、私立中学校でのリモート授業対応の早さが注目されて中学受験ブームが起き、コロナ以降は通塾・通信教育ともに生徒数に増加が見られている。

 中学入試全体で言えば、受験者数の増加によってすそ野が広がることで中堅校以下を受験する生徒が増えている。3年前に比べ、首都圏の中学受験ブームもやや落ち着きを見せ始めてはいるが、コロナ禍によって教育全般に関心をもつ家庭が増えたことで、首都圏、特に都内23区を中心にまだ当面は中学受験の熱い戦いが繰り広げられると予想される。

《増田有紀》

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