駿台予備学校・東大コースのクラス担任が教える東大合格者の勝ちパターン

 東大専門校舎として名高い駿台お茶の水校3号館で高卒生の東大対策コースのクラス担任をしている堤政文氏・吉野由花氏にお話しを伺い、昨今の東京大学の志願動向や東大合格者に共通する特徴、夏休みから秋以降の過ごし方などを教えていただいた。

教育・受験 高校生
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駿台お茶の水校3号館 東大対策コース クラス担任の吉野氏(左)と堤氏(右)
  • 駿台お茶の水校3号館 東大対策コース クラス担任の吉野氏(左)と堤氏(右)
  • 東京大学志願者・入学者数推移(2016~2023年度)
  • 駿台お茶の水校3号館 東大対策コース クラス担任の堤氏
  • 駿台お茶の水校3号館 東大対策コース クラス担任の吉野氏
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  • お茶の水校3号館 東大対策コース クラス担任の吉野氏(左)と堤氏(右)

 東大合格者の3分の1以上を輩出。高い合格実績を誇る駿台予備学校(以下、駿台)の東京大学対策コースは、超一流の講師による「学問の原理原則から丁寧に教えるわかりやすい授業」と、クラス担任による「学生ひとりひとりへの手厚いサポートと面倒見の良さ」が評判を呼び、多くの東大志望者から支持を集めている。

 そこで今回は、東大専門校舎として名高い駿台お茶の水校3号館で高卒生の東大対策コースのクラス担任をしている堤政文氏・吉野由花氏にお話しを伺い、昨今の東京大学の志願動向東大合格者に共通する特徴夏休みから秋以降の過ごし方などを教えていただいた。

東大出願者数は減少傾向、強気で出願が吉

--近年の東京大学の志願者数や倍率、現役率など、志願動向はいかがですか。

堤氏:東大は推薦入試導入とともに2016年度入試から後期入試が廃止され、その後は受験人口の減少も相まって志願者数が落ち着いている状況にあります。2022年度は9千507人と、一昨年に比べてやや増加したものの、2023年度の志願者は9千306人で少し減少しました。

東京大学 入学者数・志願者数の推移(2016~2023年度)

 来年については、現在の高校2年生から共通テストに「情報I」が加わるなど、新学習指導要領の新課程入試が始まるため、受験生の間に「浪人を回避したい」という安全志向が強まり、志願者数はおのずと下がることが見込まれます。

「現在の高校2年生から共通テストに「情報I」が加わるなど、新学習指導要領の新課程入試が始まるため、受験生の間に「浪人を回避したい」という安全志向が強まり、2024年度は志願者数が下がる見込み」(堤氏)

 ただし、東大入試自体が易化したわけではなく、倍率は依然として変わらず3倍強のところにあり、難しいことには変わらないものの、ライバルの全体数としては少し減っていますので、ぜひ強気で東大に出願してほしいと思っています。

吉野氏:近年の出願傾向は、コロナの影響も大きいですね。今年高校を卒業して大学受験をした受験生は、高校1年時にコロナによる一斉休校を経験しており、勉強の土台が身に付かなかったという学生も珍しくありません。ですから、「浪人してでも東大に行きたい」という強い気持ちよりも、「もうここで十分」と受かった大学に満足して入学するような学生が多かった印象です。

 その影響もあってか、東大合格者の現役率もコロナ禍の2021年から大きく上昇していて、2023年度の合格者に占める現役生の割合は74%。10年前に比べて10ポイントほど上昇しています。

 また、東大合格者の出身校も、コロナの影響で昨年までは首都圏に偏りが見られたのですが、今年は再び北から南まで、全国から集まるようになりました。

「東大合格者の現役率もコロナ禍の2021年から大きく上昇。2023年度は合格者の出身校も再び全国から集まるようになった」(吉野氏)

堤氏:一方で安全志向の高まりもあり、本来であれば東大を目指せるぐらいの力がある学生たちが、たとえば地元の旧帝大に進学するというような動きが見られます。

 多様性の時代でもあるので、ひと昔前のような「良い大学を出て良い会社に」といった既定路線ではなく、あまり大学名にこだわらない受験生が増えてきているのかもしれません。

--そうなると、「浪人をしてでも東大に行きたい」というのはどういう受験生が多いのでしょうか。

堤氏:駿台の東大コースの学生は、大きく2つのタイプに分かれます。ひとつは、「東大を目指し努力を重ねてきたが、あと数点足りずに合格できなかった」というタイプ。もうひとつは、「東大に行けたら良いな」と思いつつ、部活や行事などで3年間たっぷりと高校生活を謳歌し、「勉強時間が足りなかった」「学力的にはまだ不十分だが、何とかあと1年頑張って東大を目指したい」というタイプです。

 ちなみに吉野は、前者のタイプが多い、最上位向けの「演習中心のコース」を、私が後者のタイプが多い「授業+演習を組み合わせたコース」を受け持っています。

聞く力や謙虚さ、継続する姿勢が合格者の共通項

--「あともう少し」という学生なら1年かけて一層実践力を上げていく。「勉強時間が足りず、基礎固めもまだしっかりやる必要がある」という学生なら授業と演習をバランスよくやる。ひと口に東大志望の高卒生と言っても、学力の幅が広いんですね。そうした中で、これまで東大合格を手にしてきた学生たちに共通する特徴はありますか。

堤氏:東大に合格する学生の特徴はいくつかあります。

1.自分に合ったコースを選んでいる

 「演習は十分やっていた」という学生でも、不合格の理由を「自分には基礎が足りなかったから」と謙虚に受けとめ、授業と演習を組み合わせたコースに入って、もう1回教科書に載っている内容を基礎からきちんと積み上げて合格に至るケースは少なくありません。そんな悠長なやり方では間に合わないと思われるかもしれませんが、「急がば回れ」で、実は十分間に合います。決して焦らず、自分の学力に合ったコースで学ぶことが重要なのです。

2.知的好奇心が旺盛で、勉強自体を楽しむ

 駿台の良さとして多くの卒業生があげるのは、駿台では単なる受験の攻略ではなく、力のある講師陣が「暗記しない」「根本から理解する」丁寧な授業をし、学問の原理原則を教えてくれたということ。だからこそ駿台で、「学ぶことの楽しさを知った」と彼らは口を揃えて言ってくれるのですが、東大に合格するのはまさにこのタイプです。

 闇雲に暗記するのではなく、「なぜそうなるか」をわかりやすく教えてくれるので、学生たちはより深いところまで理解することができる。そして、実際の入試問題では、「何を問われているか」までわかるようになる。すると勉強がどんどん楽しくなり、東大入試でも戦える力が身に付いていくのです。

3.アドバイスを素直に受け入れる

 厳しい言い方になりますが、浪人するのは、それまでの学習スタイルでは合格に届かなかったから。その事実を謙虚に受けとめ、そんな自分を冷静に客観視する。そして、合格するには何が足りなかったのか、自分はどう変わるべきかについて、周囲からのアドバイスに耳を傾け、実践できる学生は確実に伸びます。素直にアドバイスを受け入れる姿勢も、学力を伸ばす上では大切な資質です。

4.何事もコンスタントに続ける

 自分のペースを崩さず、周りに流されない。このような芯の強さも東大合格者に共通していますね。生活習慣でいうと、朝型をキープするなど、規則正しい生活が送れること。生活習慣以外にも、たとえば電車の中といった細切れの時間にも、スマホをしまって単語帳を見るなど、自分を律する力に長けています。毎日の勉強をコツコツとコンスタントに続けることは、東大合格に不可欠な要素です。

5.オンオフのメリハリをつけている

 今の受験生というのは、かつてのように寝る間を惜しんで勉強するというよりも、十分に休憩を取り、勉強の「質」にこだわるタイプが多い。これは親世代との大きな意識の違いかもしれません。現役時代は勉強の「量」に固執する場合が多いものの、浪人生になるとある程度の「量」をこなした後は「質」にこだわり、効率よく勉強するようになっていきます。

 入試問題自体も昔と違い、今は思考力が問われる問題が増えているので、暗記や処理能力だけでは勝負できません。その対応として、オンオフのメリハリをつけた、「量」より「質」の勉強は理にかなっているといえます。

「思考力が問われる問題が増えているので、暗記や処理能力だけでは勝負できません」(堤氏)

夏休みは基礎固め、駿台をフル活用する貪欲なマインドセットで逆転勝利に

--浪人が決まった時点で基礎力がまだ足りていなくても、自分に合ったコースで積み上げていけば勝負できるレベルに達するとのことですが、最後にグッと伸びていくのはどういうタイプなのでしょうか。

吉野氏:駿台模試で偏差値が50に届いていなくても、最後に東大に合格するケースは毎年のように見ています。最後に大きく伸びて合格するタイプは、

授業が終わった後も、自習室が閉まるまで勉強する

土日も自習室を利用する

先生へ質問する


 という当たり前のことをすべて当たり前にやっています。

 これは東大に限らないのですが、そうやって逆転合格していく学生は、粘り強く、良い意味で諦めが悪い。ただ漫然と勉強しているのではなく、「なぜこの問題が取れなかったんだろう」と詳しく分析したり、少しでもモヤモヤするところがあれば講師に足繁く質問に行ったり。ある種の泥臭さというか、恥ずかしがらずに貪欲に学んでいくマインドセットがあるな、と感じます。

--そうしたマインドセットは、夏休みの過ごし方にも影響しそうですね。

堤氏:そうですね。2か月間という長い夏休み、毎日決まった時間に駿台に来て勉強する。わからないところは放っておかず講師に質問をする。この当たり前のスタイルを崩さず、駿台をフル活用するには粘り強く、やはり自分を継続的にコントロールできるかどうかが、重要なカギになります。

吉野氏:夏休みの重点は基礎固めです。基礎はそのまま覚えるのではなく、「なぜそうなるのか」といった原理原則について、人に教えられるくらい深く理解できるところまで、途中で諦めずに身に付けることが大事。そうすれば秋以降、自然と応用力が伸びていきます。

 東大受験生は、8月中旬に第1回東大入試実戦模試<駿台・Z会共催>(以下、東大入試実戦模試)があるので、そこに向けて苦手分野の基礎固めを夏期講習などでしっかりと押さえておく。そして模試の後は、模試でできなかったところを重点に、あらためて復習を通じて基礎を盤石にしていくという流れが理想です。

「夏休みの重点は基礎固め。人に教えられるくらい原理原則を理解すること」(吉野氏)

堤氏:東大入試実戦模試が終わると、一旦気が抜けてしまう学生もいるのですが、そこでリズムが崩れないように模試の後にも講習を入れておき、駿台に来ざるを得ない・勉強をせざるを得ない状況を作っておくのも手です。秋以降は演習が中心となり、併願校や共通テスト対策も並行して進めることになるので、基礎を復習する余裕はなくなります。基礎固めは夏が最後のチャンスなのです。

判定は気にせず模試を弱点探しの材料に活用する

--8月中旬の第1回東大入試実戦模試の結果次第では不安に駆られる受験生もいるでしょう。夏以降をどう過ごすか、メンタル面でのアドバイスはありますか。

吉野氏:まず「決して諦めるな」ということ。第1回東大入試実戦模試でE判定が出たとしても、まったく気にしないことです。

 現役生にしても浪人生にしても、E判定から合格するケースはたくさんあります。模試は合否占いではなく、自分の弱点に気づかせてくれる最良のツールであり、駿台の一流講師陣が精魂込めて作成した最新の教材です。模試は、そのデータを材料にして自分を客観視し、弱点を最優先にした効率の良い復習として使ってほしいのです。

堤氏:私も学生には「判定を見るな」と伝えています。先ほど我々は「夏の間に基礎固めを」と言いましたが、そうすると学生たちは、夏休みに頑張って基礎が完成すれば、すぐに成績に反映されることを期待します。ところが、結果が数字に現れるのはもう少し先なんですね。8月と11月に行われる2回の東大入試実戦模試の結果には反映されていなくても、努力し続けている限り、回を重ねるごとに学力は着実に上がっているんです。

吉野氏:模試の結果について、駿台では高卒生にはクラス担任が、現役生には進路アドバイザーが、ひとりひとりと模試の結果を見ながらアドバイスしたり、問題に関する質問については講師がフォローしたりと、手厚くサポートできる体制をとっています。

 秋以降、特に第2回東大入試実戦模試でも思うような結果が出ず、「もうダメだ、難しい」と心が折れてしまうケースが少なくないのですが、不安に思うのは頑張っている証拠。あとひと息なのに、そこで自信をなくし、やる気がなくなってしまわないよう、我々のような大人が受験生のメンタルを温かく支えていく必要があると感じています。

堤氏:模試のデータを見れば、どの科目で何点取れれば判定が上がるかを具体的にわかります。そして正答率の高い問題を何問間違えたか、もしそれが正解であれば何点積み上がるかも計算できます(2023年6月取材記事「模試の成績表には伸びるロジックがある」保護者も必見、模試成績表徹底解剖)。

 模試で思うように点数が取れないと、「難しい問題もできるようにしなければ」と思いがちですが、これは大きな誤解です。合格する学生は、誰もができる問題を絶対に落とさない。これは東大の入試であっても同じです。難しくない問題をしっかり取り切れるかどうかが勝敗の分かれ目なので、正答率の高い問題を確実に得点できるまで復習することが、東大合格への1番の近道なのです。

吉野氏:今はICTツールで、我々クラス担任が毎日の小テストの結果まで管理し、基礎の問題を取りこぼしていないか、どの単元が弱いかなどを可視化できているので、講師だけでなくクラス担任も学習へのサポートができるようになっています。

 駿台は、トップ講師による原理原則から教える丁寧な授業はもちろん、クラス担任によるひとりひとりへのきめ細やかな支援との両輪で、受験生へのサポートを万全にしています。

多くの東大合格者を輩出している駿台お茶の水校3号館の教室

勉強を楽しみながら、悔いなく1年をやりきってほしい

--最後に東大進学を目指す受験生に向けて、メッセージをお願いします。

堤氏:1年間の受験勉強は大変だと思いますが、後から振り返った時、自分が頑張ったと心から思える日々を過ごしてほしい。そして、そんな大変な日々の中でも、ぜひ駿台では学ぶことを楽しんでもらえたらと思います。受験本番に信じられるのはそれまでの自分だと思うので、悔いのないようしっかりと1年間やり切ってほしいですね。

吉野氏:「あと1問」「あと1点」で合格を逃し、悔しい思いをした学生たちを見てきているだけに、日ごろから「1点でも多くもぎ取るんだ」という意識を忘れないでほしいです。

 そして、やはり基礎は大事。基礎ができていれば、本番当日まで伸び続けます。この夏休みを利用し、しっかりと基礎を固めるとともに、「1点」にこだわる姿勢を忘れずに頑張ってください。

--ありがとうございました。


学問の原理原則を教える授業とクラス担任のサポートが合格への支援に

 E判定からの逆転劇を毎年何人も輩出している駿台の東大対策コース。その強みは、駿台の看板とされてきた「暗記に頼らない、学問の原理原則から教え、深い理解と学びの楽しさを伝えるプロ講師の授業」だけではなく、「クラス担任による面倒見の良さで、学生ひとりひとりへの手厚いサポート」との両輪が支えている。

 東大合格のためには何が大切なのか。ひとりでも多くの受験生が本記事でそのヒントを得て、栄冠を勝ち取ってほしい。

駿台の東京大学合格対策コース
7都府県11会場で開催 東大入試情報講演会
短期間で実戦力アップ! スーパー東大実戦講座
《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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