【大学受験2024】医学部受験生必見、まだ間に合う科目別・夏の対策…駿台梅田校講師陣が語る「今、集中すべきこと」

 医学部合格に高い実績をもつ駿台予備学校の、関西地区初の医学部専門校舎として昨年オープンした「駿台梅田校」の講師陣にお集まりいただき、医学部受験生に向けた科目別の夏の学習アドバイスを伺った。

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【大学受験2024】医学部受験生必見、まだ間に合う科目別・夏の対策…駿台梅田校講師陣が語る「今、集中すべきこと」
  • 【大学受験2024】医学部受験生必見、まだ間に合う科目別・夏の対策…駿台梅田校講師陣が語る「今、集中すべきこと」
  • 駿台梅田校 校舎責任者 鳥井英氏
  • 駿台梅田校 英語科 北川氏
  • 駿台梅田校 数学科 澤井氏
  • 駿台梅田校 化学科 平尾氏

 大学受験の天王山とも言われる夏休みに突入した。特に医学部受験生は他学部に比べて入試日程が早く、面接や小論文対策など課題も多い。この夏の学習をいかに充実させ、悔いなく過ごすかがポイントとなってくる。秋以降の実践演習に備えて力をつけるべき夏休みだが、どんなことに気を付けて過ごすのが良いのだろうか。

 今回は、医学部合格に高い実績をもつ駿台予備学校の、関西地区初の医学部専門校舎として昨年オープンした「駿台梅田校」の講師陣にお集まりいただき、医学部受験生に向けた科目別の夏の学習アドバイスを聞いた。

駿台梅田校 校舎責任者:鳥井英氏
英語科:北川健太郎氏
数学科:澤井亮氏
化学科:平尾敦氏

夏は生活リズムを保ち、日めくりカレンダーで学習管理を

--いよいよ夏休みに突入しました。まずは全般的に、医学部受験生が今いちばん気を付けなければいけないことについてお教えください。

鳥井氏:いちばん大事なことは、「規則正しい生活で心身ともにベストなコンディションを維持すること」です。当たり前のことではないかと思われるかもしれませんが、実はこれが受験生の夏休みにおける最大の盲点なのです。

 夏休みは時間があるだけに、あれもこれもやらなくてはと課題を抱え込み、つい無理な計画を立ててしまいがちです。当然こなしきれず、夜遅くまでやらざるを得なくなる。すると睡眠時間が削られ、体に不調が出やすくなります。こうした不調が1週間でも続けば集中力も衰えるので、学習量は目に見えて減っていき、「計画の遅れ→睡眠不足→体調不良→学習のさらなる遅れ」という悪循環に陥ってしまうのです。だからこそ、規則正しい生活を送り、しっかり睡眠時間を確保することで、ベストなパフォーマンスで勉強を進めることが大切なのです。

 そしてもう1点、医学部受験生だからこそ夏休み中にぜひやってほしいのは、9月から11月にかけて行われる学校推薦型選抜と総合型選抜の検討とその準備です。医学部はそもそも定員が少なく、どの大学も狭き門なので、第一志望の受験機会を増やしたいという人は積極的に出願を検討してほしいところです。

「いちばん大事なことは、規則正しい生活で心身ともにベストなコンディションを維持すること」(駿台梅田校 鳥井氏)

 総合型選抜では地域医療に関わる枠が多く、たとえば高知大学の総合選抜Iでは、地域医療に携わる人材を全国から募集し、30名の枠で共通テストは不要です。ただし出願にあたっては、大学の「アドミッションポリシー(入学者受け入れの方針)」や「ディプロマポリシー(学位授与の方針)」をよく読み、共鳴できるかどうかを確かめるとともに、その地域の医療状況なども詳しく調べておくと良いでしょう。

 一方で注意すべきなのは、こうした選抜方式では、提出書類や小論文、面接などの準備に負担がかかるため、一般入試の勉強にあてられる時間が減ってしまうことです。結果としてどちらも中途半端に終わるリスクがあるので、家族や学校の先生とよく相談し、出願するかどうかは慎重に判断してください。

--夏休みに入って計画どおりに進まずに悩んでいる受験生も多いと思います。どうすれば良いでしょうか。

鳥井氏:夏休み、すでにスランプに陥っていると感じている人は、次の4ステップで進めてみましょう。

ステップ1:夏休みの残りの期間で達成したいゴールを設定する
ステップ2:その中で「絶対にやるべきこと」を見定める
ステップ3:1週間の学習計画を時間割にする
ステップ4:日めくりカレンダーの裏に翌日のTo Doリストを書き出し、やり終わったら消していく

 まずは夏休みの残りの期間に達成したい大きなゴールを設定します。そして、そのためには各教科で何をやるべきかを考えます。その上で、1週間の学習計画を作ります。これは高校や予備校の授業と同じような時間割を組むことで特定科目への偏りを防ぎ、バランスの良い学習を実現するためです。時間割を組む際には、自分の好きな教科からスタートするとやる気が出やすいです。

 続いて、日めくりカレンダーを使い、翌日のTo Doリストを作ります。作った時間割に沿って、科目ごとに「この時間には数学の青チャートの何ページから何ページまでを解く」といった詳細な内容を書き出すのです。これを全科目でリストアップし、やり終えたら消していきます。

 1日の終わりにちぎったカレンダーは翌日に持ち越さず、溜めておきます。こなせなかったTo Doは消されないまま形に残るため、夏休みにできたこと、できなかったことが分類できます。これは医学で言うところの「トリアージ」と同じで、できなかったことは秋以降に優先順位をつけてやっていくと良いでしょう。

 ちぎったカレンダーが溜まっていくと夏休みの成果として実感しやすく、秋以降のモチベーションにも繋がるはずです。

暗記だけに頼らず、理論で理解する学習を

--では、教科ごとにお伺いします。この時期の各教科の勉強で意識しておくことや、夏休みだからこそやっておいてほしいことはなんでしょうか。

【英語】

北川氏:英語では、夏に必ずやっておきたいこととしては3つあります。

「英語で夏に必ずやっておきたいことは、1.自分の弱点を掴む、2.幅広い設問や出題形式に対応できるように、絞り込んだ勉強をしない、3.語彙力を完成させる」(駿台梅田校 北川氏)

・自分の弱点を掴む
 たとえば速読が苦手なのか、文法があやふやなのか、単語力が足りないのかなど、英語では何が苦手なのかをより具体的につかむことが重要です。夏は弱点強化のラストチャンス。弱点を克服するには具体的に何を勉強したら良いのか、学校や塾の先生に相談しながら、広く満遍なくではなく、テーマを設定して取り組みましょう。

・幅広い設問に対応できるように、出題形式を絞り込んだ勉強をしない
 ひと口に医学部受験と言っても、受ける大学によっては出題形式が大きく異なります。また、同じ大学でも出題傾向が変わることもあり得ます。志望する大学の出題傾向だけにとらわれず、幅広い設問や出題形式に対応できるようにしておく必要があります。

・語彙力を完成させる
 医学部は共通テスト直後から私立の受験が立て続けに始まるため、他学部に比べて学習計画を前倒しで進めなければいけません。英語の単語帳に関しても同様で、医学部受験生であれば、夏の終わりまでにはひと通りインプットを終えておきたいところです。そうすれば秋以降、読解や英作文などの過去問を使った実践演習に入っていく際にも、「どう書いたら・読んだらいいか」という本質の部分からスタートできます。英語の勉強を優位に進めるためには、「語彙に関しては夏で完成させる」という気持ちをもって取り組みましょう。

 さらに英語は、大学によっては非常に専門性の高い問題が出題されるケースがあります。医学の専門用語は、学習の優先順位としては決して高くはないものの、受験予定の大学は過去問を確認し、頻繁に扱われている場合にはひととおり触れておくと安心です。

【数学】

澤井氏:数学では基本的な事項をさまざまな問題に応用していく、抽象化する力が問われます。この力を養うには、次の2つを意識した学習が重要な基盤になります。

「数学は、1.反復練習をして基礎を固める、2.教科書に載っている内容をおろそかにしない、という2つを意識した学習が重要な基盤」(駿台梅田校 澤井氏)

・反復練習をして基礎を固める
 医学部入試では、難問奇問が解けることより、多くの人が解ける問題を漏れなく確実に取れるかが合否の分かれ目になります。秋以降、過去問を使った実践演習を進めていく際にも、正答率の高い問題については「あそこでやったところだ」とすぐに思いつき、即座に答えが導けるよう、夏の間に反復練習を通じて基礎固めを完成させましょう。

・教科書に載っている内容をおろそかにしない
 数学で陥りがちなのは、「公式は覚えれば良い」と思い込み、定理をおろそかにすることです。確かに数IIIの一部には、高校生には理解しにくい内容もあり、「覚えて使えればOK」という公式もあるのですが、教科書に証明が載っている定理については、自分でも手を動かし、スラスラと証明ができるくらいまで理解を深めてほしいと思います。

 特に昨今の風潮として、数学の問題においても、単純に暗記した知識の運用ではなく、思考力や抽象化する力が問われる流れに変わってきています。

 秋以降は実践演習に入るため、教科書に載っている根本的なところまで戻って復習する時間はありません。そうした意味で、夏の間に教科書の内容を今一度見返し、単なる暗記に終わっていないか、きちんと定理を理解して身に付けているかを確認することが大切です。

【化学】

平尾氏:化学では次の3つのポイントを意識してほしいと思います。

「化学で意識すべき3つのポイントは、1.今まで習った範囲をしっかり復習する、2.配点が大きい有機化学や理論化学は暗記に頼らない、3.初めて見た問題に気後れしないメンタルを作る」(駿台梅田校 平尾氏)

・今まで習った範囲をしっかり復習する
 現役生は、まだ全単元が終わっていないかもしれませんが、少なくともこれまで習った範囲に関しては、基本的な内容を復習しておくことが重要です。これは物理や生物でも同様ですが、まず暗記すべきことはしっかり覚えること。覚えるべきことが身に付いていないのは、ガソリンを入れずに車を走らせるようなもので、暗記はとても重要です。

 一方で理論の問題は、公式を無闇に詰め込むのではなく、なぜそれを使うのかとか、計算結果を吟味するような、じっくりと考える経験を積んでおくことが、秋以降のスタートダッシュを早める起爆剤になります。

・配点が大きい有機化学や理論化学は暗記に頼らない
 多くの大学では、思考力や記述力、説明する力を測る問いを作りやすいことから、有機化学や理論化学の配点が大きくなっています。先ほど話した暗記事項は理論で紐付けできるものも多く、理論で理解しながらだと自然に覚えることができるので、単純暗記を減らせるのです。化学が得意な生徒というのは、暗記事項を理論で紐付けて理解できているからこそ、解く力が身に付きやすい。一方で苦手な生徒はそこが上滑りしているので、知識が有機的につながっていきません。ですからただ覚えるのでなく、理論で理解した上で覚えること、そして理論立てて考える訓練をしておくことが重要です。

・初めて見る問題に気後れしないメンタルを作る
 化学の問題は、出題される物質や現象は初見でも、理論は教科書に載っていることがほとんどです。初めて見るものにも気後れせず、冷静に対処できるメンタルを作るには、繰り返しになりますが、暗記に頼らず理論を理解しておくこと。さらにその問いが「何を求めているのか」をイメージして答える練習を積む必要があります。

予習・授業・復習のサイクルを夏期講習でも丁寧に

--夏期講習も始まっていますが、講習はどのような姿勢で臨めば良いでしょうか。

【英語】

北川氏:夏期講習だからといって特別に身構える必要はありません。「夏休みだからたくさん問題を解かないと」と焦る前に、まずは夏期講習で受けた授業の復習をしっかりやることが大切です。授業で講師から教わった内容は、受けっぱなしではいけません。復習で再現してこそ、初めて自分の力になります。復習で授業を再現するプロセスは、夏だからこそ大事にしてほしいですね。

 伸びる生徒に共通して感じる特徴は、英文のさまざまな読み方・書き方のパターンについて、その根拠を講師に質問したり、講師の考え方をノートにメモしたりする習慣が身に付いていることです。講師の答えを単に丸写しせず、「私はこう読んだから間違えたのだが、どうすればこの間違った読み方をせずに済むか」という視点で、講師の説明から自分に足りないものを見つけようとし、その都度それを修正して自分の武器にしていく生徒は、伸びしろが大きいです。

 また、これは英語に限らず全教科に共通することですが、夏期講習のカリキュラムは、どの塾・予備校でも、前期の内容と紐づいているケースがほとんどです。ですから、夏期講習で前期の授業と同じ内容が出てきたら、もう一度前期のテキストに立ち戻って復習をし、単元ごとに前期から夏にかけての学習内容を体系的に網羅しておくと、秋以降の飛躍につながります。

【数学】

澤井氏:数学も同じです。復習時には講義の内容を再現できるように授業を受けてほしいのですが、実際には講師の書いた答えをそのまま写すことに注力している生徒が多いと感じます。数学では、ゼロの状態から我々講師が話すスピードで授業を理解するのはなかなか難しいものです。だからこそ予習を通じて、自分の考えを一度整理した状態で授業に臨むことがとても大事です。予習で自分ができたところは確認程度に聴き、詰まったところは集中して聴く。詰まったところこそ理解が足りていないからで、意識的に多くメモを取ったり、講師に質問に行ったりすることで理解不足を補うことができるのです。

 そうやって自分のわかるところ・わからないところをはっきりさせ、主体的な姿勢で授業を受けてほしいと思います。

【化学】

平尾氏:理科もまったく同様で、主体的に予習→授業→復習というサイクルを丁寧に回してほしいと思います。特に夏期講習で扱う単元はこれまでの復習が中心なので、その単元の教科書をひととおり読んでから授業を受けると、授業のスピードにも乗りやすくなり、理解がより一層深まります。そうやってしっかりと授業の前に準備をしてきた生徒は、漠然と問題が難しいなどとは言わず、自分の考えのどの部分が解答と異なるのか、なぜ解答のような考え方になるのかなど、質問も具体的です。どの教科も同じだと思いますが、こういう生徒はぐんぐん伸びていきますね。

--どの教科にも共通して、復習を効果的にするには、授業を主体的に受ける必要がある。授業を主体的に受けるには、予習を通じて自分のわからないところをはっきりさせておく。このサイクルのどれかが欠ければ学習効率はガクンと下がる。だからこそ、「丁寧」に回していくことが大事なのですね。

医師になる志と好奇心をもって勉強を楽しんでほしい

--最後に、医学部受験生にメッセージをお願いします。

鳥井氏:冒頭にお話ししたように、受験は心身の健康が基本です。生活リズムをしっかりと整えて学習に取り組んでほしいと思います。また、この夏休みを利用して家族と話し合い、思いどおりの成績が出た場合の第一志望校を決めると同時に、振るわなかった場合の受験予定校も2~3校選んでおくと良いでしょう。特に医学部は必ず面接がありますので、できれば夏の間に各大学の募集要項を入手し、アドミッションポリシーとディプロマポリシーを読んで、自分の思い描く医師としての未来が実現できそうかなど、確かめておくことをお勧めします。そして、夏休みだけではなく秋以降も、成績の良し悪しに関わらず、自分に厳しく、常に謙虚な心をもち続けて頑張ってください。

北川氏:厳しい受験勉強を乗り切るには、ポジティブに勉強する姿勢が大切です。そのためには、まず好奇心をもつこと。そうしたマインドセットが知識の理解を深め、昨今の入試で最も問われている「考える力」を伸ばしてくれます。そしてもうひとつは、明確なビジョンをもつこと。「医師になってどうなりたいか」「どんな人生を歩みたいか」のビジョンがあれば、そこに向かってやるべきことが明確になり、自然と机に向かえるはずです。日々机に向かうことが習慣になれば、モチベーションに左右されずに安定したメンタルで受験勉強を続けることができるでしょう。

澤井氏:先ほどもお話ししたように、数学は考える力や先を見通す力が養える学問です。医学部に入った後はもちろん、医師として仕事をしていく上でもおおいに生かせる能力ですので、今、勉強していることが将来、さまざまな場面で活用できる未来を想像しながら、目の前の受験対策を進めていってもらえたらと思います。

平尾氏:皆さんが今やっている勉強は、医師になるためのスタートラインです。その後、何十年と続く医師生活の中で、どれだけの人の命を救えるかということを想像してほしい。受験勉強で苦しい中でも、そこを突破した先に、自分の治療を待っている患者さんがいる。勉強する先にたくさんの人の命が救える未来があると思うと、やりがいも出てくるのではないでしょうか。どうか悔いのない夏休みを過ごしてください。

--ありがとうございました。

 駿台梅田校の講師陣に、医学部受験生の夏の過ごし方を丁寧に解説いただいた。規則正しい生活や復習に注力した基礎固めなどは受験生全般に共通といえるものの、インプットを夏に仕上げるスピード感や、推薦入試・志望校の検討、アドミッションポリシーの確認などは医学部受験生だからこその取り組みであり、おおいに参考になるだろう。梅田校ではこの夏、医学部入試講演会や関西私立医学部合同説明会を無料開催する。医学部受験を検討する生徒や保護者はぜひ参加してみてはどうだろうか。

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《羽田美里》

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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