夏休みは中学受験生にとっては大切な時期。中学受験生のためにオンラインで個別指導にあたる馬屋原吉博先生は「小6の中学受験生は夏休みに歴史学習まんがを読むことで、日本史の苦手を克服できる」と語る。
角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』を使って、どのように読めば良いのか聞いた。
小6の夏休みこそ歴史がわかるチャンス
--歴史学習まんがは、中学受験生にとっても非常に有効なツールです。では、その効果を最大限に発揮させるには、いつ読めば良いのでしょうか。
それは、小6の夏休みです。
そんなに遅くて良い!? と驚かれる方が多いのではないでしょうか。もっと前に買って、家に置いてあるというご家庭も多いでしょう。もちろん、早めに買っておくことには大賛成です。小6の夏休みが最適だという理由をお話ししましょう。
歴史学習まんがを読んで理解できる状態になっているのが、小6の夏休みなのです。
中学受験生の場合、塾で歴史の勉強を始めるのは小5の秋からがほとんどです。それよりも前に「予習のため」と称して、歴史学習まんがを買ってもらう子供たちは非常に多いはずです。でも、その段階でちゃんと理解しながら読むことができるかといえば、答えは「NO」です。
『日本の歴史』の第1巻では、縄文・弥生時代から古墳時代が描かれます。このあたりなら内容もやさしく単純なので誰でも読めるでしょう。最初の関門が第2巻の飛鳥時代。海外とのつながりが出てきて複雑になり、中央集権化という概念もあり、情報量が多く覚えることがたくさん出てきます。塾での授業を受けるのもたいへんだけど、まんがを読んでもよくわからない。だから読むのを止める。そうなりがちです。
塾での歴史の勉強は、5年生のうちに一巡します。塾での勉強は、年代や人物や用語を覚えることが中心になりがちです。出来事などをことばとしては知っていても、それらの因果関係や関わった人物像まで理解できている受験生は少ない。6年生の春になると、主要な年代を100以上暗記させる塾もあります。子供たちは必死に覚えますが、それが知識としてつながっているかというとそうではありません。
そうやって断片的に覚えていったことがらを、意味や因果関係の理解でつなぐのが歴史学習まんがです。そして、6年生の夏休みだとちょうど、歴史学習まんがを読んで理解できる状態になっている。だからこそ、この時期に読んでほしいのです。
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秋に入ると、中学受験生は過去問を解きながら忘れているところを覚え直すというサイクルに入ります。塾での勉強と歴史学習まんがで理解が深まっていれば、受験勉強の仕上げができるでしょう。
歴史学習まんがはすき間時間に読むべし!
--では、6年生の夏休み、『日本の歴史』は「いつ」読めば良いのでしょうか。
寝る前がベストです。そうでなければ、すき間の時間。机に向かう勉強時間以外ですね。
そうでなくても忙しい夏休み、元気いっぱいな時間は算数や国語を頑張るのが良い。頑張って勉強して、もうまんがを読むくらいしかできないくらい疲れた…という時間に読むのが、歴史学習まんがです。
まんがの良いところは、移動時間やすき間時間、寝転がってでも読めるということです。子供たちは毎日勉強で忙しいでしょうが、四六時中、集中して勉強しているわけではありません。夏期講習で疲れ果てました、もうこれ以上問題は解きたくありませんというときに、歴史学習まんがを読む。毎日、少しずつでも読んでいけば、なじみのある人名やことばの割合が増えていくので、自然と読み進められるようになるでしょう。
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受験勉強の際に、暗記と理解はどちらが大事かと聞かれることがあります。もちろん、どちらも大事です。特に「社会」の勉強では、「理解を伴う暗記」が絶対に必要なのです。机に向かって自分の頭をフル回転させて可能になるのが暗記だとすれば、先生や本、動画で教えてもらうことでできるようになるのが理解。歴史学習まんがは、ことばのつながりや時代背景、人の動きなどを教えてくれる先生としての役割をはたしてくれるツールなのです。
--読み方についてアドバイスはありますか。
ある程度の知識を仕入れた後に読んでもらいたい歴史学習まんが。予習よりも復習で効果を発揮するものですが、読み方については人それぞれです。
大事なところにマーカーで線を引きながら読むのが習慣になっている子なら、まんがにも線を引いて構いません。とにかく「楽しく読んでほしい」というのが第一の目的なので、そのための手段は問わないのです。まんがというツールを使う以上、ストレスなく楽しく読むということが大切です。
わが子の学習タイプを知って、より効率的に勉強を
情報の受け取り方には人によってクセがあり、大きく3つのタイプに分かれると言われています。情報を映像的にとらえるのが得意な「視覚タイプ」、人の言葉や音に反応しやすい「聴覚タイプ」、そして運動や身体感覚で反応する「身体感覚タイプ」です。
一般的に、歴史は「聴覚タイプ」の子に有利とされています。歴史にはストーリー性があって、因果関係のつらなりからできているので、短期記憶に優れていて会話が得意なタイプの子には理解しやすいのでしょう。
一方、「視覚タイプ」の子は、図で覚える地理は得意でも歴史が苦手なことが多いんです。でも、歴史学習まんがには「絵」があります。「視覚タイプ」の子は絵であればわかりやすいという傾向があるので、まんがを通して苦手な歴史を克服することができるかもしれません。
「身体感覚タイプ」にふさわしい勉強法はなかなかなくて難しいのですが、身体を動かしたりリラックスさせたりすることで勉強が進む子もいます。お子さんの特性がどこにあるのかを考えつつ、環境を整えてあげると良いでしょう。
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中学受験における「歴史」の傾向
ここで、最近の中学受験における「社会」の歴史問題の傾向についてお話しておきましょう。
高校のカリキュラムが変わり、「歴史総合」で近現代史を学ぶようになったため、中学受験でも近現代がフィーチャーされてくるのかと思ったこともありました。でも、実際にはもっと保守的というか、古代から近現代までがバランスよく出題されているようです。基本的な部分をしっかりと理解している子が合格する。そういう入試問題になっていると思います。
出題範囲は全年代がターゲットになりますから、それぞれの年代ごとにキーワードと人物をしっかり理解しておかなくてはなりません。難関校になればなるほど、細かい知識というよりは、時代の背景や各時代の空気感を知ることが絶対に有利となります。
そういう意味でも使ってほしいのが角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』です。まんがには、ストーリーや因果関係がわかりやすく描かれています。歴史学習まんがを利用した理解を深める勉強が、必ず追い風になると思います。
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「世界史」の学習まんがは読むべき?
--ここまで、日本史の学習まんがについてお話を聞きました。では、世界史の学習まんがについてはどうでしょうか。
ウクライナやイスラエルなど、世界史に関わる時事問題が出題されることもあります。高校では、グローバル化という視点から近現代史を学ぶ「歴史総合」という科目もできました。そのため多くの出版社が、世界史の学習まんがに力を入れるようになっています。
中学受験生も、世界史の学習まんがを読むべきかどうか。結論から言えば、マストではありません。中学受験ということだけを考えれば、ほかにもしなければならない勉強がたくさんありますから。でも、もともと興味がある子にはぜひ読んでもらいたい。好きであれば、子供は無限に覚えていくものです。
--中学受験生にお勧めの時代はありますか。
もし読むのであれば、いわゆる「大航海時代」の後ですね。フランシスコ・ザビエルが鹿児島に来て、キリスト教を伝えたころからをお勧めしています。この時代はちょうど、世界の歴史が日本に関わり始めたころなのです。それから、世界史で言う「市民革命」、日本では明治時代以降を読むのも良いでしょう。
角川まんが学習シリーズ『世界の歴史』でこのあたりを読んでいくと、日本史でわからなかった背景やいきさつが明確になり、一気に立体的な理解が進むはずです。明治以降の歴史が難しいと思う子は多いのですが、これは国際関係が複雑化していくことも原因のひとつです。世界史の学習まんがで外国の状況を知っていれば、日本史の理解もより深まるでしょう。
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角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』で豊かな学びを
角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』には、さまざまな特典が付いている数量限定のセットもあります。すごろくやカードゲームなどの「遊べるもの」から、壁に貼る地図や年表などがおもなものですが、子供たちが興味を示すならば積極的に利用したいですね。
どちらかといえば歴史ではなく地理の分野ですが、世界遺産は中学受験で出題される定番の問題です。世界遺産や文化財のポスターは壁に貼っておくと良いかもしれません。
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私はよく「たかが通過点、されど通過点」と言っているのですが、中学受験というのはご家庭やお子さんにとって、とても大切なイベントです。とはいえ、あくまで通過点なのもたしかです。その後の人生のほうが圧倒的に長いですから。もちろん結果は大切ですが、中学受験を通してお子さんに何を得てもらいたいのか。そういう視点に立って考えておられる保護者の方は多いように感じています。
角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』は、中学受験レベル以上のことを網羅しています。他社のシリーズにはより難易度が高く、大学受験レベルのものもあります。大人になってから読むことで、新たな学びもあるかもしれません。受験が終われば塾のテキストは不要になりますが、歴史学習まんがについては大人になるまで家の中に置いて、いつでも読めるようにしてほしいですね。それが、豊かな学びにつながると思います。
馬屋原吉博(うまやはら よしひろ):東京大学法学部在学中から大手塾で受験指導を始め、中学受験専門の個別指導塾での副代表を務めた後、フリーで中学受験生と保護者のためのサポートをしている。専門は国語と社会。『今さら聞けない! 国際社会のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)など著書多数。
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