博士人材の課題「就職先が見つからなかった」が1位…実態調査

 レバテックは2025年3月18日、「博士人材の就活・採用実態調査_後編」を公開した。民間企業で働く博士人材の約7割が「進学して良かった」と回答する一方で、就職先への応募経路は「研究室や教授の紹介」が最多となるなど、就職支援に課題があることが明らかになった。

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博士課程に進学しよう思った理由
  • 博士課程に進学しよう思った理由
  • 博士課程に進学して良かったか
  • 博士課程に進学して良かったと思う理由
  • 博士課程進学後に感じた課題
  • 博士学生を採用する際に重視している点
  • 博士学生からのもっとも多い応募経路
  • 博士人材の採用においてジョブ型採用を実施しているか
  • 博士学生向けのインターンシップを実施しているか

 レバテックは2025年3月18日、「博士人材の就活・採用実態調査_後編」を公開した。民間企業で働く博士人材の約7割が「進学して良かった」と回答する一方で、就職先への応募経路は「研究室や教授の紹介」が最多となるなど、就職支援に課題があることが明らかになった。

 「博士人材の就活・採用実態調査」は2025年1月22日から27日にかけて、民間企業で働く・働いた経験のある博士人材212名と博士人材の採用を行う企業の採用担当者・責任者192名を対象に実施したもの。

 博士人材が博士課程に進学しようと思った理由について、1位は「研究が好きだったから」57.1%となった。約66%が「博士課程に進学して良かった」と回答しており、その理由として最多は「特定の分野について専門性を高めることができた」72.9%となった。ついで「分析的思考力が向上した」46.4%、「困難な課題を克服する忍耐力や精神力が身に付いた」41.4%と続く。一方で「あまりそう思わない」23.6%、または「まったくそう思わない」10.4%と回答した方に理由を尋ねたところ、「就職先がスムーズに見つからなかった」50.0%や「博士課程で得た専門知識を仕事で生かすことができなかった」47.2%が上位にあがった。

 現在、博士課程の学生(以下、博士学生)の新卒採用を行っている企業が、採用時に重視するポイントとして、「論理的思考力」52.7%が「研究内容が自社で生かせそうか」52.0%を上回っている。研究内容との親和性だけでなく、博士学生が研究を通じて培った素養や能力も重視していることがわかる。

 博士学生からの応募経路は、「研究室や教授の紹介」25.7%が最多となった。経済産業省の調査でも、就職活動を行う際に民間サービスの活用が少ないことが明らかになっており、研究の専攻領域を生かしたマッチングは十分に行われている一方で、それ以外のマッチングが十分に行われていない可能性が指摘されているという。

 博士人材の採用をしている担当者のうち、「博士学生に対してジョブ型採用を実施している」と回答した人は6割に留まる。一方で約25%の採用担当者は、新卒・中途のいずれにおいても「実施していない」と回答。博士学生向けのインターンシップの実施については、現在博士学生を採用している企業の採用担当者の約半数が実施していないと回答している。

 レバテックの執行役員・泉澤匡寛氏は「博士人材の活躍の場を広げるには、企業と博士学生双方が研究内容に縛られないマッチングを模索することが重要」であり、「特に、研究分野に限定されない能力を見極める手段として、インターンシップやジョブ型採用は有効な手段となるのではないか。また企業側の受け入れ体制の整備とともに、学生の不安を解消するための支援も必要である」とコメントしている。

《中川和佳》

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