総長選考をめぐり、東京大学の教職員有志は2026年10月13日、次期総長決定の経緯説明を求める要望書を総長選考・監察会議に提出した。同会議は9月28日、学内の意向投票で2位だった大学院総合文化研究科教授の藤垣裕子氏(64)の選出を発表している。
東京大学では、現・藤井輝夫総長が2027年3月31日付で任期満了となることにともない、総長選考・監察会議が選考を実施。9月の意向投票では、上位3人を対象にした2回目の投票で、染谷隆夫氏(執行役・副学長、工学系研究科教授)が過半数となる1,107票を獲得し、藤垣裕子氏は553票で2位だった。
要望書では、意向投票がどのように考慮され、どのような比較を経て、今回の結論に至ったのか、選考理由からは読み取ることができないと指摘。説明が共有されないまま、学内外に憶測や個人攻撃が広がっていることを憂慮している。
特定の候補者を支持するものではないとしたうえで、どのような情報に基づいて何を評価したのか、具体的な説明を求めている。また、国際卓越研究大学構想とガバナンス改革について、各候補者の考え方や実績をどう評価したかも回答を要求。会議に陪席した監事宛てにも、議事進行が適正だったかなど意見を求めた。
教職員有志によると、10月13日正午時点で523人(このうち投票有資格者は387人で有資格者の約15%)の賛同を得ているという。
一方、総長選考・監察会議の国谷裕子議長は9月29日、次期総長予定者の決定に際し、「藤垣氏は、理事・副学長の経験を通じて、本学が学術界の象徴、シンボルであることを強く意識し、専門分野である科学技術を社会に伝えるコミュニケーション力を活かして、学術への信頼を回復する強い意志と能力を備えていると判断した。壁を所与と考えない力、障壁を生む分断を乗り越える力を本学が持つために、同氏の知見と能力を評価した」と説明。意向投票でもっとも多くの支持を得た候補者が総長予定者に選出されなかったことについて「東京大学の6年間を託すに値する能力と資質をもった方を、さまざまな資料や面接などに基づき、丁寧かつ真剣な協議を繰り返した結果として、責任をもって選んでおり、学内構成員の方々にも理解を得られる結果だと思っている」とコメントしている。

