青少年インターネット環境整備法、保護者の責務「知らない」56.4%

 内閣府は10月31日、「平成23年度 青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」を公開した。

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インターネットの利用に関して心配なこと
  • インターネットの利用に関して心配なこと
  • インターネットに関する啓発や学習の経験
  • インターネットに関する学習意向(学校種別)
  • フィルタリングの認知度(学校種別)
  • 青少年インターネット環境整備法の認知度
  • 子どものインターネット利用に必要な取組
 内閣府は10月31日、「平成23年度 青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」を公開した。

 同調査は、平成23年8月31日現在で満10歳〜満17歳までの全国の青少年3,000人とその保護者3,000人を対象として、携帯電話やパソコン・インターネットの利用状況、フィルタリングに関する認識等を調べたもの。調査員による個別面接聴取法で、6月9日〜26日に実施。有効回答数は青少年調査が1,969人、保護者調査が2,037人。

 報告書は、青少年調査と保護者調査それぞれについてまとめられているが、ここでは、保護者調査の中の「インターネットに関する保護者の認識」についてみることにする。

 回答したすべての保護者(2,037人)に、子どものインターネットの利用に関して心配なことがあるかという質問では、全体では「名前や住所を安易に書き込んでしまうこと」(46.1%)、「暴力的な内容、性的な内容、反社会的な内容を含むサイトにアクセスすること」(41.1%)が多く、次いで「目を悪くするなど健康を害すること」(38.2%)、「インターネットからの情報を鵜呑みにすること」(37.4%)、「インターネットを利用する時間が長時間になること」(37.3%)となっている。一方、「心配なことはない」は14.0%。

 全ての保護者に、インターネットの危険性について説明を受けたり学んだりした経験の有無を尋ねた質問では、全体では「学校の保護者会やPTAの会合などで説明を受けた」(48.7%)、「学校から配布された啓発資料などで知った」(46.3%)、の2項目が4割台となっており、次いで「テレビや本・パンフレットなどで知った」が31.1%。なお、「特に学んだことはない」は18.9%。平成21年度および22年度の調査結果と比較すると、21年度、22年度ともっとも多かった「学校から配布された啓発資料などで知った」が減少し、23年度は「学校の保護者会やPTAの会合などで説明を受けた」がもっとも多くなっている(順に、46.3%、48.7%)。「携帯電話を買った店員に説明してもらった」は大きな変化はみられず、1割前後にとどまっている。

 また、インターネットの危険性について説明を受けたり学んだりしたいかを聞いた質問では、「学びたい」は48.4%となっている。一方、「学びたくない」は、18.9%となっている。平成21年度および22年度の調査結果と比較すると、「学びたい」は年々減少しており、21年度(58.1%)と比べると約10ポイント減少している。

 保護者に、フィルタリングとは何かを知っていたかを聞いた質問では、「知っていた」が73.5%、「なんとなく知っていた」が16.0%。一方、「まったく知らなかった」は、10.6%となっている。平成21年および22年度の調査結果と比較すると、「知っていた」は増加傾向を示している(21年度:66.7%、22年度:67.9%)。

 次に、青少年インターネット環境整備法や、保護者の義務(子どもに携帯電話を買ってあげる場合には、携帯会社に「使用者が子どもである」ことを申し出なければならない)、保護者の責務(保護者は、インターネット上には有害情報が氾濫していることを認識して、子どものインターネットの利用のルールを決めるなど、しっかり見守るよう努力する)を知っているかという質問では、「法があることを知っている」が31.9%、「保護者の義務があることを知っている」が19.5%、「保護者の責務があることを知っている」が17.1%となっている。一方、「いずれも知らない」は56.4%である。平成21年度および22年度の調査結果と比較すると、「保護者の義務があることを知っている」と「保護者の責務があることを知っている」は、わずかではあるが毎年増加している。一方、「いずれも知らない」は平成22年度(52.6%)にやや減少したが、21年度(57.8%)と比べるとほとんど変わらない。

 さらに、子どものインターネット利用について、どのような取組が必要か尋ねた質問では、「有害サイトへの規制を強化する」(60.5%)がもっとも多く、次いで「親子のルール作りなど家庭における取組を支援する」(54.7%)となっており、「学校における情報モラル教育を充実させる」(40.9%)と「フィルタリングの使用を徹底させる」(40.6%)の2項目が、約4割で続く。平成21年度および22年度の調査結果と比較すると、ほとんどの項目で毎年減少傾向がみられる。特に、「小中学校への携帯電話の持込を禁止する」では、23年度(31.2%)は21年度(42.5%)よりも約11ポイント減少している。
《前田 有香》

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