Facebookを活用した総合的な学習…ネット時代のコミュニケーション力

 筆者が勤務する附属新潟小学校の小学6年総合的な学習において、ネット時代のコミュニケーション力を身につけさせる指導として、Facebookを活用した実践を行った。

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  • 新潟大学 教育学部 附属新潟小学校Facebookページ
6 Facebookで大人とコミュニケーション

 たとえば、桜の木の見える築山で遊んでいる子どもたちの写真をアップする。すると、それを見たある大人が「写真の構図がいいですね。桜を右に配し、土管の特徴もよくわかります。」「桜も空もきれい。思わず築山にかけのぼったり、土管を通りぬけたりして遊んでみたくなります。とても楽しそうな校庭でうらやましいです。」などというアドバイスをしてくださるのである。

 子どもたちは喜び、「ありがとうございます。次からもよりよい写真を目指します。」「本当に、とても楽しく遊んでいます。」というようにお礼の言葉を交えて返答する。このように、ネットを介した「理想的なコミュニケーション」を体験することができるのである。これらの活動を通して、子どもたちは、「ネットでのコミュニケーションでは、ポジティブな言葉でやり取りをすることが大切だ」ということに気が付いていくのである。

7 学校ブログ活動とFacebookページによる児童の発信の違い

 これと似たような活動に、「学校ブログ活動」というものがある。子どもたちが、委員会の時間などを使って、ブログを通して、学校のよさを発信する活動であり、いくつもの学校で行われている。これも大変有意義な活動であり、学校間での交流などもできる点で大きなメリットがある。

 その一方で、コメントをいただく量が少なく、また、コメントをくれた人の属性がわかりにくいというデメリットもある。Facebookページが「学校ブログ」と比べて、秀でていると思われる点は、SNSの特性として、「属性を明らかにした個人」からコメントがもらえる点にある。また、コメントをもらえなくても「いいね!」を気軽に押してもらえるということである。つまり、外部の人との肯定的なコミュニケーションの頻度が多くなるという点である。

 また、Facebookページによくある誤解に、「Facebookをしていない人は見られないのではないか?」というものがある。これは、間違いで、Facebookページは、Facebookにログインしなくても見ることができる。Facebook上にある普通のホームページと思ってもらえばよい。ログインすれば、「いいね!」や書き込みができるようになるだけで、ログインしなくても見ることができるのである。

8 保護者との連携はやはり重要

 このように、SNSを効果的に使わせ、ネットのコミュニケーションを学ばせることが、今後ますます重要になってくると私は思う。

 しかし誤解してはいけないことは、やはり冒頭にも述べたように、保護者との連携を深め、負の使い方をしないように子どもたちに目をかけていくことも、一方でとても大切なのである。学校の中で、よいSNSの活用経験を積ませながら、そのリテラシーを高める教育的な働き掛けを行うことと、保護者や教員といった取り巻く大人がしっかりと子どもたちを見守ることの両方を行うことで、子どもの安全を守りながら、子どもたち自身に正しい情報発信の仕方や、情報の受け方を身につけさせていきたいものである。

【著者プロフィール】
片山 敏郎(かたやま としろう)
日本デジタル教科書学会会長で新潟大学 教育学部 附属新潟小学校 教諭。
《片山敏郎》

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