奨学金返還者の半数以上が「猶予制度」知らず

 日本学生支援機構の調査結果より、奨学金返還者の半数以上が、返済困難な事情が生じた場合に割賦金額の減額や返還期限の猶予を願い出ることができる「猶予制度」を知らなかったことが明らかになった。

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猶予制度の認知状況
  • 猶予制度の認知状況
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  • 本人の年収
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 日本学生支援機構の調査結果より、奨学金返還者の半数以上が、返済困難な事情が生じた場合に割賦金額の減額や返還期限の猶予を願い出ることができる「猶予制度」を知らなかったことが明らかになった。

 同調査は、奨学金の延滞者の属性を把握し、今後の奨学金回収方策に役立てることを目的に実施。平成24年10月末時点で、奨学金返還を3か月以上延滞している者(延滞者)3,873人と、奨学金返還を延滞していない者(無延滞者)2,477人の回答を集計した。なお、平成24年度末現在、返還を要する322万9千人のうち、289万5千人が返還しているが、19万4千人が3か月以上滞納しているという。

 返還義務をいつ知ったか聞いたところ、「貸与手続きを行う前」と回答した割合が延滞者54.7%、無延滞者90.6%と、延滞者は無延滞者に比べて低い。

 主な返還者は、延滞者の場合が「本人」64.5%、「父母」31.9%。無延滞者の場合が「本人」84.8%、「父母」13.1%。延滞者、無延滞者ともに「本人」が主な返還者であるものの、延滞者は無延滞者に比べて20.3%低い。

 本人の職業について、延滞者は「常勤社(職)員」35.6%、「無職・失業中/休職中」18.2%、「非常勤社(職)員」15.1%の順に多い。無延滞者は「常勤社(職)員」64.5%、「非常勤社(職)員」8.4%の順に多い。延滞者は無延滞者と比べて「常勤社(職)員」の割合が低く、「無職・失業中/休職中」や「非常勤社(職)員」「派遣社員」の割合が高い。

 本人の年収について、延滞者は「100万~200万円未満」25.6%がもっとも多く、次いで「200万~300万円未満」20.0%、「1円~100万円未満」19.4%で、年収300万円未満が83.0%を占める。無延滞者は「200万~300万円未満」26.5%がもっとも多く、次いで「400万円以上」21.7%、「300万~400万円未満」18.4%となっている。

 返済困難な事情が生じた場合に、割賦金額の減額や返還期限の猶予を願い出ることができる猶予制度を「知らなかった」と回答した割合は、延滞者が57.1%、無延滞者が53.0%で、半数以上が知らなかった。

 なお、猶予制度については、奨学金返還の請求書送付の際に案内資料を同封しているほか、返還の手引きや返還説明会の説明事項にも含めているという。猶予制度の適用期間は通算10年が限度となっている(ただし災害、傷病、生活保護受給中、産休・育休中、一部の大学校在学、海外派遣の場合は10年の制限がない)。
《工藤めぐみ》

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