【NEE2014】現実的な「1人1台の端末環境」…効果と課題

 New Education Expo 2014の専門セミナーで、6月7日、「普通教室での1人1台のタブレット端末環境、導入から活用までのポイント」と題したパネルディスカッションが開催され、玉川大学と内田洋行による、平成25年度の共同研究プロジェクトの成果が発表された。

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 New Education Expo 2014の専門セミナーで、6月7日、「普通教室での1人1台のタブレット端末環境、導入から活用までのポイント」と題したパネルディスカッションが開催され、玉川大学と内田洋行による、平成25年度の共同研究プロジェクトの成果が発表された。

 パネラーとしては、学校現場から、世田谷区立東玉川小学校 教諭の川村健輔氏、荒川区立第三峡田小学校 校長の大塚昌志氏の2名。調査研究事務局から、内田洋行教育総合研究所の井上信介氏、内田洋行公共本部の森下誠太氏の2名。研究者として、横浜国立大学教育人間科学部 教授の野中陽一氏、富山大学人間発達科学部 准教授の高橋純氏が登壇した。コーディネーターを務めたのは、東北大学大学院情報科学研究科 教授の堀田龍也氏。堀田氏はこの共同研究の代表者で、平成25年度まで玉川大学大学院教育学研究科の教授であった。

 最初に堀田氏から、今回の調査の趣旨説明があった。その中で堀田氏は、「数年後には、タブレットPCなどの1人1台の端末が普通の学校の普通教室に入ってくる。その時に教育委員会、学校の管理職や教師がどう受け止めればいいのか、『現実的なICT活用』をキーワードとして調査研究を進めてきた」と説明した。

 次に、井上氏が調査の概要を説明。東玉川小での調査研究は世田谷区教育委員会との連携によって実現したもので、この調査研究は2年度目。東玉川小の普通教室には、大型テレビや実物投影機はすでに配備済みで、そこにタブレット端末を50台配備したという。そのうち36台を6年1組(児童35名、教師1名)の専用とし、この1人1台の環境で情報端末が活用される様子を観察調査した。

 実証実験の環境構築については森下氏が説明。大型テレビと実物投影機が配備済みの6年1組の教室に、ハードウェアとして、大型テレビを電子黒板化する電子黒板ユニットや無線LANアクセスポイント、タブレットの充電保管庫などが配備された。また、ソフトウェアとしては、児童用タブレットPCと教師が操作する電子黒板を連携させる授業支援システムや、児童がタブレットPCで利用する学習支援ツールなど、総務省のフューチャースクール実証実験と基本的に近しい機器・ソフトウェアが用意された。

 また、大量のタブレットPCの充電に対応するための電源工事や、無線LANからのネットワーク接続が世田谷区教委のセキュリティポリシーに沿うように接続したが、堀田氏からは、そのために必要な教委との調整に非常に時間がかかったことが明かされた。

 続いて、電子黒板や1人1台のタブレットPCを活用して授業を進めることになった川村氏から、東玉川小の取り組みや自らの授業実践について説明があった。前述のとおり、以前から全教室に大型テレビと実物投影機が導入されている東玉川小の子どもたちは、実物投影機の焦点を合わせたり拡大したりといったICT操作に慣れており、この調査の開始前から1人1台の端末環境を受け入れる下地ができていたと説明。
《宮崎 議弘》

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