水中のいきものは不思議だらけ…SF映画顔負けのヒラメやカレイ

 これまで3回にわたってお話ししてきたこの連載も今回が最終回。ペンギンをはじめ、水中のさまざまないきものの不思議な生態について説明させていただきました。

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向かい合うイルカとペンギン
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 実はコイの仲間の「歯」は、「咽頭歯(いんとうし)」と呼ばれ、のどの奥にあります。人間で言えば「奥歯」のある場所よりもずっとのどの奥にある「歯」ですが、この「咽頭歯」はかなり強力な「奥歯」の役割を果たしており、貝殻のような固いものでも簡単にすりつぶすことができるほどのもんです。

 観賞用のコイは「コイ用のエサ」か「パン屑」しか食べないように見えますが、本来のコイは「雑食性」で、水草から貝類、昆虫、甲殻類、果てはカエルを飲み込んだりもするそうです。

 彼らの咽頭歯で人間が咬まれたというのは聞いたことがありませんが、そのアグレッシブな食欲で生命力があり、淡水では適応できる範囲がかなり広く、海外ではブラックバスと同じように、「侵略的外来種」として恐れられています。

 みなさんがよく見かける魚でさえ、こんなに不思議な生態をもっているわけですから、水の中には、まだまだ人類の知らないことがたくさん秘められています。

 たとえば、向かい合うイルカとペンギンも。京都水族館の中で過去に撮影された1枚ですが、この対面のときにお互いがどのように相手を捉え、何を考えていたのか…想像するとワクワクしませんか?

 たまには「水族館」を訪れ、いきものたちをよく観察すると、きっと、私たちが普段生きているこの世界が、豊かな「自然の神秘」に囲まれていることを実感できるのではないでしょうか。

<著者プロフィール>下村実
1965年大阪府高槻市生まれ。幼少期から魚や水辺の生物に親しみながら育つ。大阪・海遊館の開業時から、ジンベエザメの飼育を中心に20年以上同館で勤務。2012 年の京都水族館・すみだ水族館の開業時から飼育業務全体を統括している。
《京都水族館》

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