はじめまして、京都水族館でジンベエザメの飼育を中心に勤務している下村実です。 水族館の人気者といえば、何と言ってもペンギンとイルカ。特に日本人は世界で一番「ペンギン好きな民族だ」などとも言われてますが、京都水族館でもペンギンゾーンは、いつもお客さんでいっぱい。今回から4回にわたり、水族館の人気者の話をしていきます。 「日本人のペンギン好き」の理由はわかりまへんが、古くは人気商品のチューイングガムのパッケージやビールのCM、そしてJR東日本の「Suica」と、商品のマスコットとしてもよく使われているおかげで、街のあちこちで「ペンギン」に会うことができます。 そやけど、そんなにペンギン好きやのに、「ペンギンの本当の生態はよくわからへん」なんて人もいまへんか? たとえば「ペンギンって南極に住んでるんやろ?」とか…。 チューイングガムから、秀逸なドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン」まで、「ペンギン=南極」のイメージが定着してますが、実はすべてのペンギンが南極で暮らしているわけやないんです。 ペンギンの進化については、まだすべてが明らかになったわけではないですが、飛行できる鳥類の祖先から進化したのではないかと考えられています。現在までに発見されている最古のペンギンの化石は、ニュージーランドで発見された約5,500万年前のものです。 ペンギンのご先祖さまは、ニュージーランド周辺からエサを求めて、魚の豊富な寒流に乗り、南極大陸に到達したのではないかと考えられてます。 しかしこの「寒流」は南極大陸を周回するだけでなく、さらに赤道に向かって南半球を北上していきます。ペンギンたちもこの寒流を追って南半球全域に生息域を広げていったと考えられています。 たとえば京都水族館にいるケープペンギンの生息地は、南アフリカ・ケープタウンやし、すみだ水族館にいるマゼランペンギンは、南米マゼラン海峡にちなんで命名されていて、チリやアルゼンチンなど、南米大陸に生息してます。 黄色いまゆ毛(飾り羽)でおなじみのイワトビペンギンの仲間は、インド洋に生息してます。 そしたら一番暑い場所に生息しているペンギンは?