子育て経験が母親の脳の働き方に影響…京大研究グループ

 1~2歳児を養育中の母親と養育経験のない女性の脳の活動を比較した結果、育児経験のある母親はより敏感な脳活動がみられることが、京都大学の明和政子 教育学研究科教授らの研究グループの実験で明らかになった。

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 1~2歳児を養育中の母親と養育経験のない女性の脳の活動を比較した結果、育児経験のある母親はより敏感な脳活動がみられることが、京都大学の明和政子 教育学研究科教授らの研究グループの実験で明らかになった。

 実験は、1~2歳児を養育中の母親(以下、母親)と養育経験のない女性を対象として行われた。触覚刺激(やわらかい布、紙やすり等)に触れてもらい、その直後に「触覚語(ふわふわ、ざらざら等)」を表現した音声をスピーカーから流し、その際の脳波を計測することで、触覚語を脳内でどのように処理しているのかを解析した。

 特に母親では「赤ちゃん言葉」で聞いた音声と、触れた感覚との間にみられる一致/不一致に対して、明確な脳活動の差異がみられた。一方、養育経験のない女性ではそうした差はみられなかったという。さらに、日常の養育場面において、触覚語を子どもに頻繁に使うと回答した母親ほど、脳活動が明瞭であることがわかった。

 これらのことから、養育経験が成人の脳の働き方に影響することが明らかになったという。また、養育にかかわる行動や脳内の情報処理は、女性に遺伝的に埋め込まれているのではなく、子どもとの生活経験によって徐々に学習していくものであり、養育経験が親としての脳の働き方を形作るとしている。
《編集部》

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