ホワイトハウスが教育をテーマに開催したゲームジャムとは?

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【GDC 2015】ホワイトハウスが教育をテーマにゲームジャムを開催、その概要とは?
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ゲーム業界で産官学連携が叫ばれて久しい今日この頃ですが、自分が知る限りゲーム開発者で霞ヶ関に入省した人間は存在しません。その一方で、アメリカでは2013年からホワイトハウス入りした大物ゲーム開発者がいます。それが米国任天堂、ソニー・コンピュータエンタテインメントアメリカ(SCEA)、THQなど数々の大手企業でエンジニアとして活躍したマーク・デローラです。

デローラ氏はゲーム開発者としてのキャリアに加えて、『Game Programming Gems』シリーズなどの著者としても知られており、CEDEC2011でも「西洋におけるゲームエンジンとミドルウェア」と題して講演するなど、日本とも縁の深い人物です。またIGDAで2003年に理事に就任するなど、大手からインディまで幅広いネットワークを備えています。

そのデローラ氏はGDCで「A View from the White House: Games Beyond Entertainment」(ホワイトハウスからの視点:エンタテインメントを越えたゲーム)と題して講演を行いました。同氏は2014年9月にホワイトハウスで開催された「White House Education Game Jam」について紹介し、オバマ政権が教育分野におけるシリアスゲームの活用に積極的に取り組んでいることをアピールしました。

デローラ氏のブログ(http://www.whitehouse.gov/blog/2014/10/06/white-house-education-games-jam)にも紹介されているように、White House Education Game Jamは9月6日-8日の48時間で開催されました。ジャムの目的は、教師が小学校6年生の授業で使えるツールのプロトタイプを開発すること。運営事務局には米教育省とスミソニアン博物館、NASAが名前をつらね、歴史・英語・数学・科学などを楽しみながら学べるゲーム作りが行われました。

ジャムにはゲーム業界と教育界から合計128人が参加し、23本のゲームが制作され、発表会と小学生を招いてのプレイ大会も行われました。参加者の内訳はゲーム側がディズニー・インタラクティブ・スタジオ、ロビオ、SCEA、UBIといった大手からインディゲーム開発者まで105人。教育界からは教育関係者や学生、研究者など23人となっています。開発されたゲームの一部はYoutubeで動画が公開されています。



デローラ氏は、このうち『ENDEMOS』と『Global Doomination』の2作を紹介しました。前者は新しい動物を自由にエディットしてバーチャルワールドに配置し、食物連鎖や生態系について学ぶというもの。プレイヤーは動物のサイズ、寿命、生命力、移動速度に加えて、肉食・草食などを選択できます。後者は惑星の環境を自由に調整しながら、体に羽を生やした不思議な生物の増殖などを観察できるというものです。

今回の成果については、Games for ImpactやIGDAのLEG(Learning, Education and Game) SIG、Games and Learningといったシリアスゲーム関連の主要コミュニティとも情報を共有し、議論を深めていく計画です。またGames for Change、Games+Learning+Society、Serious Playなどの主要カンファレンスにも、ホワイトハウスとして参加する予定だとしています。

■関係者を動かすのは客観的なデータの積み重ね

デローラ氏の肩書きは、ホワイトハウスの科学技術政策局にある、技術イノベーション部門の上級アドバイザーです。2012年2月に同局はゲーム関連団体を集めて、子どもの肥満問題の解決に関する会合を開催しました。その際にGlobalGameJamの創始者として知られるスーザン・ゴールド氏と共に、IGDAの代表として参加したことが契機となってホワイトハウス入りすることになります。デローラ氏は現在70名近くの「非常に聡明な」職員と共に働いており、みな驚くほど良く働くと話していました。

『オレゴン・トレイル』(アメリカ西部開拓時代をモチーフとしたアドベンチャーゲーム)に代表される80年代のエデュケーションゲーム、『ダンスダンスレボリューション』など90年代のエクササイズゲーム、社会現象にもなった『Wii Sports』にみられる2000年代のカジュアル体感ゲーム、そしてゲーミフィケーションの要素を取り入れた『Foldit』とゲームはさまざまに形をかえて、しだいに市民権を得てきました。

その一方で政府のメディア戦略は第二次世界大戦のプロパガンダ映画で急速に力を増し、今ではゲームが政治的メッセージや行政プロモーションの一環にも使用されるようになってきました。デローラ氏はウィスコンシン大学が開発した連邦政府の予算策定ゲーム『Budget Hero』や、月面に宇宙基地を建造するNASAの『moonbase alfa』などを上げ、他にもさまざまなタイトルがリリースされていると紹介します。こうした取り組みが地ならしとなっていきました。

きっかけとなったのが2013年の国際学力テスト(PISA)で、ゲームなどのデジタルメディアを用いた場合、子どもの認知機能が12%上昇するといった調査報告です。これらに加えてオバマ大統領の積極的なゲームの教育活用に関する姿勢があり、政府として取り組みを本格化させることが決定。産業界・教育界との接点やコミュニティ作りも含めて、ゲームジャムという「クレイジーな」形式を採用したといいます。もちろん実施にはデローラ氏の豊富なキャリアが貢献したことは言うまでもないでしょう。

日本がそうであるように、アメリカでも行政という単位でみれば、シリアスゲームにそこまで力を入れてきたわけではありません。そのため、ジャム開催についても紆余曲折があったものの、PISAレポートをはじめとした第三者による調査研究結果が貢献したと補足されました。大物ゲーム開発者といえども、一人で何でもできるわけではありません。シリアスゲームの普及には産官学の連携が必要で、その中心になるのが一連の研究成果であることが、あらためて感じられたセッションでもありました。

【GDC 2015】ホワイトハウスが教育をテーマにゲームジャムを開催、その概要とは?

《小野憲史@INSIDE》

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