映画「インサイド・ヘッド」に学ぶ親子の感情コントロール術

 7月7日、OZWALD THEATER(ディズニー試写室)で、「映画『インサイド・ヘッド』特別試写会 この夏、家族のきもちに向き合おう!」が行われた。この夏、家族や大切な人と「インサイド・ヘッド」を鑑賞し、感情に目を向けてみるのもいいのではないだろうか。

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インサイド・ヘッド
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  • (左から)上級メンタルトレーナーの田中ウルヴェ京氏、スーパーダディ協会代表の高橋一晃氏、パワーママプロジェクト代表の柴田広夢氏
  • 上級メンタルトレーナーの田中ウルヴェ京氏
  • パワーママプロジェクト代表の柴田広夢氏
  • スーパーダディ協会代表の高橋一晃氏
 7月7日、OZWALD THEATER(ディズニー試写室)で、「映画『インサイド・ヘッド』特別試写会 この夏、家族のきもちに向き合おう!」が行われた。

 7月18日に全国公開される「インサイド・ヘッド」は、トイ・ストーリーやモンスターズ・インクなど数々の名作を世に送り出し、世界中に夢と感動を届けてきたDisney/PIXARの長編アニメーション作品20周年を記念する作品となっている。

 同作は、主人公である11歳の少女ライリーが引越しがきっかけで感情に大きな変化が起きるところから始まる。ライリーや家族の葛藤やとまどいなどが、ライリーの頭の中の5つの感情たち(ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリ)を中心に面白おかしく、ときに悲しみも交え描かれる。ヨロコビとカナシミがなくなったライリーはどうなってしまうのか?無いほうが良いと思っていたカナシミの感情に隠された本当の秘密とは?観ると誰もが自分と重ね合わせて共感をおぼえるだろうストーリーとなっている。

 子どもを持つ父親、母親の合計約50名が特別試写会を楽しんだあと、同作品に関するトークショーが開催された。トークショーには、「スーパーダディ協会」代表 高橋一晃氏、「パワーママプロジェクト」代表 柴田広夢氏、上級メンタルトレーナーで、ソウル五輪シンクロ・デュエット銅メダリストの田中ウルヴェ京氏が登壇した。

 まず、子を持つ親として映画をどう見たか、との質問に、高橋氏は「男の子、女の子によって頭の中の構造も違うし、年齢によっても違うのだろうなと思って見ていました。うちには6歳の男の子がいて、ものすごく暴れるし、注意すれば歯向かってくるのですが、そういうのって、頭に来たから『頭に来たぞ』と返してはいけないのかな?など、結論までは至らずともすごく考えさせられました」と答えた。

 続いて、柴田氏は、5歳になるという自身の娘と重ね合わせ、「もっと大きくなっていくと感情がより複雑になり、向き合っていくのも大変になっていくのかなと感じました。」と答えた。「娘が何を考えているかを理解するのが難しく、どうしても私は自分の“イカリ”が前に出てくることが多いような気がしていたのですが、映画を見ていて、娘の頭の中ではああいうことが起こっているのか、と少し客観的に楽しく考えられるな、と思いました。」

 また、柴田氏は、子どもを保育園に送る途中で起きた子どもとの変化をあげ、「家を出るときご機嫌な“ヨロコビ”だったものの、道の途中に娘の苦手な鳩がいて。そこから娘の頭の中は“カナシミ”。気持ちを立て直すのがすごく大変で、保育園になんとか連れていったのですが、娘はもう悲しみのどん底。私も早く仕事に行かないといけないので、“イカリ”が出てきてイライラしてしまって」と親子の感情にまつわるエピソードを披露した。

 両氏の回答を含め、アスリートをはじめビジネスパーソンへのメンタルトレーニングも行っている田中氏は、メンタルトレーナーとしての感想を述べた。同氏によると、「感情のトレーニングの際、いつも基本として伝えているのが、『正解の感情はない』ということ」で、どんな感情だとしても正直に表に出してみることがセルフコントロールに必要なことだという。

 しかし、感情を表に出すのはなかなか難しいこと。だからこそ、同氏は「インサイド・ヘッド」は「きれいに鮮やかに5つの感情を楽しく、かわいく理解できる」ため、子どもでも感情のコントロールのトレーニングだと感じずに視聴できる映画だとコメントした。

 また、高橋氏は、我が子が受験を控えていることから「日本は感情をそのまま出すのでなく、抑え気味にしようとする」風潮を感じているという。そこで、インサイドヘッドから「子どもは感情を抑えないほうがいいのかな」と、あらためて考えるきっかけになったと語った。

 トークショーの終わりには、MCより「お子さまをお持ちのお父さん、お母さんにお薦めするとしたら」、と質問が振られた。

 高橋氏は、「家族全員で見るのがいいと思います。しかも、5つの感情たちを5種類の積み木のようなものだと思って、見終わったあと、どの感情がよかったかと聞いてみると、子どもの今の気持ちがわかったり、妻の思いに気づけたりするのではないでしょうか。妻も私のことを少しはわかってくれますかね(笑)」と回答し、会場の笑いを誘った。

 柴田氏は、「家族で行くのがベストだと思いますが、パパが行けなかったら、ママとお子さんでぜひ。働くママ仲間は子どもと接する時間が短いため、平常心で接するのが難しいこともあると思います。でも、この映画を見れば、お互いの感情がわかりやすくなり、コミュニケーションをしやすくなるのではないでしょうか」と勧めた。

 そして、田中氏はメンタルトレーニングの観点から感情との付き合い方や同作品の楽しみ方をアドバイス。同氏によると、「私たちが生きている社会はとてもストレスが多いので、家に帰ったときだけでも、パパもママも子どもも本当の感情を出し合えることが大事」だという。

 最後に、田中氏は将来の子どもの成功に関してコメントし、トークショーを締めくくった。「イライラや“イカリ”といった一見ネガティブに思える感情が出たら、それをどう対処して、どういったポジティブな行動にどうつなげるか、つまりストレスを解消する術を子どもに教えることで、子どものメンタル・タフネスは育つのです。スポーツだけでなく、勉強だろうとなんだろうと、逆境に打ち克つ能力はこれからますます必要なので、毎日幸せでなくても大丈夫、ネガティブな感情があってもどうするかをみんなで考えようね、そのときにネガティブな感情を出し合おうね、となれば良いです。」

 ちなみに、2人の子を持つ父親でもある筆者は、ライリーの年齢と同じ11歳の息子のことを頭に浮かべながら映画を見ることになるのかと想像していたが、実際に思い返すことが多かったのは、15歳の娘が幼かった頃のことだった。少女であるライリーの幼少時の思い出に影響されたのだろうか。

 試写会アンケートからも、「子どもが昨年から手を繋がなくなった」「保育園から幼稚園への転園で環境に変化があり、ライリーのようになった」「3歳になって自我に目覚め、いろいろな感情が芽生えてきた」「思春期になってから17歳の娘が“イカリ”の感情を表に出すようになった」など、参加した父親・母親がライリーの姿を我が子に重ね鑑賞をしていたようすが読み取れた。

 保護者が見る場合は、子どもが男の子か、女の子か、そして何歳かによって、映画の見方が変わってくるのかもしれない。また、子どもがいない大人にとっても、感情を題材にしているのでビジネスパーソンをはじめ、誰にでも役立つ内容だと思う。この夏、家族や大切な人と「インサイド・ヘッド」を鑑賞し、感情に目を向けてみるのもいいのではないだろうか。
《大倉恭弘》

大倉恭弘

大阪生まれ。美大卒、デザイナー出身のコピーライター。教育、ICT、スポーツなど幅広い分野のインタビュー取材に携わる。プログラミング、コーディングをこなし、4コマ漫画の連載も。企画・編集協力に「ナニワなんでもタイガース」他。趣味はウクレレ、Sonic Piを用いた楽曲制作、スケッチ、GIFアニメ制作。

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