産学・地域連携「未来こどもがっこう」開校…柏の葉キャンパス

 柏の葉キャンパスでまちづくりを推進している「柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)」は、今夏から幼児から高校生までを対象とした新しい取組みである「未来こどもがっこう」を7月19日に開始した。

教育・受験 学習
図解を見ながら組み立てる。図解はあえて詳しく書かず、こどもたちに考えさせ、工夫させる。
  • 図解を見ながら組み立てる。図解はあえて詳しく書かず、こどもたちに考えさせ、工夫させる。
  • UDCK センター長 出口敦氏
  • 柏市長 秋山浩保氏
  • UDCK アートコミュニケーションディレクター 小山田裕彦氏
  • 千葉大名誉教授 古在豊樹氏
  • 東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 機構長 村山斉氏
  • カリキュラムの講師陣によるフォトセッション
  • 「魔の循環」を回避するためには
◆「やってみよう」を実践する宇宙パラシュート

 開校日当日は、夏休み特別カリキュラムのうち「宇宙パラシュート」と「LEDが光る王冠を作ろう」が行われた。

 このうち、エンジニアリングアーティスト 岩谷圭介氏が講師を務める「宇宙パラシュート」は、小型デジカメを風船で飛ばし宇宙の写真を撮るという実験で、風船が割れたあとカメラを地上に戻すパラシュートのこと。岩谷氏は宇宙風船やパラシュートを自作し、宇宙の写真や動画を撮影している。同氏の実験で作ったものと同様な簡易パラシュートを工作するワークショップで、子どもでも工作できるものだが実際に宇宙に飛ばしても戻ってくることができる性能を備えたパラシュートだ。

 材料はビニールのゴミ袋とナイロン紐、それにガムテープ。おもりには「ガチャガチャ」のカプセルを利用する。

 ワークショップの冒頭は、スライドや動画を見ながら岩谷氏の実験の試行錯誤などが紹介された。最初はおもちゃのゴム風船にヘリウムガスを入れトイカメラを飛ばすところから始めたそうだが、海に落ちたり、写真が撮れないなどのトラブルがあったそうだ。それでも実験を繰り返し、16号機でようやく思ったとおりの写真を撮影することができたという。それまでの実験回数は100回を超えた。

 これらの体験から、岩谷氏は、子どもたちに「とにかくやってみよう」「NASAでなくても、ロケットがなくても宇宙はきみのすぐそばにある」というメッセージを伝えていた。

 岩谷氏のプレゼンのあとは、応募総数200名以上のなかから抽選で選ばれた柏市内の小学生50人が実際の工作に取り組んだ。子どもたちは、岩谷氏やスタッフの指導の元、説明図解をみながらパラシュートを組み立てた。

 作り方は、ゴミ袋を切り開いて正方形にする。その後八角形を作り、角にナイロン紐をテープで固定する。束ねたナイロン紐を結んでカプセルの穴に通して固定すればできあがりだ。

 ビニールは滑って折りにくいが、子どもたちは友達と協力したり、重しを乗せて動きにくくしたりと、工夫しているようすだった。最後に、出来上がったパラシュートを外で飛ばし、およそ1時間半のワークショップが終了した。

 「未来こどもがっこう」は今後、10月11月には秋の集中講座や12月から翌年2月までには地元小学校と連携したカリキュラムが予定されており、2016年3月13日には年間発表会を行うとしている。予定されているカリキュラムには、東大や千葉大の実験設備を使ったものやゲームプログラムを作ったりするものもあるという。申込みはすべて同がっこうのホームページから行う。

◆未来こどもがっこう
開催日程:2015年7月19日~2016年3月31日※初年度予定
開校日程:<2015年>7月25・26日、8月1・2・22・23日、9月27日、10月24・25日、11月3・8・23・29日、12月6日
<2016年>1月27日、2月14日、3月13日
参加方法:未来こどもがっこうWebサイトから申し込む
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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