国公私立大、若手人材育成「危機的な状況」経費拡充に要望書提出

 国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会は11月18日、馳浩文部科学大臣と麻生太郎財務大臣に対し、連名で「国家予算における国公私立大学の基盤的経費拡充に関する要望書」を提出した。

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 国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会は11月18日、馳浩文部科学大臣と麻生太郎財務大臣に対し、連名で「国家予算における国公私立大学の基盤的経費拡充に関する要望書」を提出した。

 国立大学協会 里見会長と公立大学協会 清原会長、日本私立大学団体連合会 清家会長は11月18日、馳浩文部科学大臣を訪問し要望書の提出と、意見交換を実施。その後、河村建夫衆議院議員らを交えて、麻生太郎財務大臣に対し同様の要望書の提出と、基盤的経費の安定的確保について強く要請した。

 要望書では、社会構造の大きな変革の中で未来を牽引する人材を育成することが大学の使命だとし、大学の改革・機能強化が必要だとしている。また、教育格差の拡大や研究力低下、若手人材育成の危機に瀕しているという現状と合わせて、基盤的経費のこれ以上の削減の回避と、充実に向かうことを求めている。

 OECDの調査した「高等教育への公財政措置等に関する国際比較」によると、日本は国の経済規模(GDP)に対して、教育機関への公財政支出は、OECD諸国の中でも最低水準であり、平均の約半分であるという。日本の高等教育では家庭の負担が大きく、さらに、近年は家庭からの給付も減少傾向にあり、学費を賄うために生活費を切り詰めている状況になっている。

 また、研究者が資金の申請・審査業務に多くの時間を費やし研究時間が減少していることなどにより、全世界の論文数は大きく伸びている中で日本の論文数はほぼ横ばいであり、研究力低下の危機にある。さらに、人件費抑制により安定的な若手教育ポストの減少や、時限付きポストの増加などにより研究職の魅力が減少。博士課程の入学者数が減少しており、若手人材育成も危機的な状況だという。

 要望書にはこれらの状況をまとめた具体的なデータも掲載し、基盤的経費の拡充の必要性について解説している。
《外岡紘代》

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