幼児は60分で熱中症の危険、熱中症リスク評価技術開発

 名古屋工業大学、東北大学サイバーサイエンスセンター、日本気象協会(JWA)の共同研究グループは、気象予報データと現実的な条件下における熱中症リスク評価システムを開発した。夏場に屋外を歩行した場合、幼児は60分で熱中症リスクを有するという。

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60分間路上を歩行後の体表面温度(成人男性と幼児)
  • 60分間路上を歩行後の体表面温度(成人男性と幼児)
  • 成人および幼児の体温上昇、発汗量予測値
  • 名古屋工業大学
 名古屋工業大学、東北大学サイバーサイエンスセンター、日本気象協会(JWA)の共同研究グループは、気象予報データと現実的な条件下における熱中症リスク評価システムを開発した。夏場に屋外を歩行した場合、幼児は60分で熱中症リスクを有するという。

 共同研究グループは2015年に、乳幼児や高齢者などの個人特性を考慮した熱中症リスク評価のための「複合物理・システムバイオロジー統合シミュレーション技術」を開発、東北大学サイバーサイエンスセンターのスーパーコンピューターによる効率的な実装・高速化し、日本気象協会の予測データを用いた3時間の熱中症リスクを10分で評価する技術の開発に成功していた。

 今回の研究では従来のシステムを改良し、アスファルトや運動場といった現実的な条件での気温・湿度の測定データより経験的に導出した数式と日本気象協会が提供する気象予測データを併用し、ある特定の環境下での気象データ(外気温、湿度)を活用した場合の熱中症リスク評価を割り出すことに成功。さらに気象データの効率的な読み込みの高速化、最適化などを実施したという。

 開発したシステムを用いて、成人男性と幼児のモデルを対象に、歩道(アスファルト)上で60分間歩行した場合のリスク評価を算出すると、外気温が約34度の環境下で幼児の体温上昇値は1.12度と成人の値0.61度に比べ約2倍という結果に。60分間の総発汗量は成人男性が体重の0.34%だったのに対し、幼児は体重の2.3%に達し、60分間で初期の脱水症状になるリスクを有することが明らかになった。

 このシステムを用いることで、より現実に即した環境下での個人属性を考慮した適切な熱中症リスク評価が可能となり、高齢者や幼児といった熱中症高リスク群と若者の感覚の違いなどを把握することでこれまで以上に発症数の低減に貢献することが期待できるという。
《畑山望》

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