講義映像と“著作権” 進む教育の情報化に課題

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  • 文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会の資料「教育目的の複製・公衆送信に係る諸外国の制度等の概要」
 国立大学協会は12月12日、「教育の情報化の推進における要望」をWebサイトに掲載。有識者会議にて審議が進められている著作権法に対する考えを明らかにしたもので、講義映像の送信などにおいても現行と同様に無償利用できるよう要望した。

 文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会において議論が行われているのは、現行著作権法について、 教材資料や講義映像の送信など授業の過程で行う異時の公衆送信(以下、異時送信)を新たに権利制限の対象とするか、また、権利制限の対象とする場合は補償金請求権を付与するか、さらに、これまで無償となっていた複製および同時公衆送信(以下、複製など)についてはどのように考えるか。

 国立大学協会は、教育の情報化における著作権制度の整備は重要な課題としたうえで、異時送信については現行法でも無償利用ができるよう権利が制限されていることから、授業の過程で行う異時送信についても権利制限の対象となることが望ましいとした。

 新たに権利制限の対象とする場合は、従来の複製などと同様に無償で利用できることを要望。補償金請求権を付与するにしても、教育研究の公共性に鑑みて低廉なものとするよう配慮が必要との考えを示した。補償金額については、教科書などの掲載補償金と同様に文化庁長官が定めるよう検討すべきとしている。

 国立大学協会は、今後は国立大学も世界に開かれた高等教育機関として、国際化の進展に伴い、教材の開発や利用においても国際共同が進むと予想。著作権に係る補償金制度やライセンス制度については、国際的に整合性のとれた形で検討され、早急に体制が整備されることが望まれると述べた。

 文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会が会議に使用した資料「教育目的の複製・公衆送信に係る諸外国の制度等の概要」をみると、英国では教育目的での説明における利用一般についてはフェアディーリング(公正利用・無償)の規定があるほか、個別の権利制限規定(無償)がある。ほぼすべての教育機関は権利管理団体とライセンス契約を締結して教育目的で著作物を利用しているのが実態だという。

 アメリカでは、権利制限の一般規定であるフェアユース規定(無償)のほか、実演・展示などの利用に関しては個別の権利制限規定(無償)がある。教育機関と権利者との間で、目的ごとに詳細なガイドラインが制定されていることも特徴。高等教育機関においては、権利管理団体との契約や出版社との直接交渉により著作物を利用するのが一般的だ。権利管理団体は教育向けライセンスを提供しており、オンラインで利用許諾が得られる仕組みが整備されている。

 なお、教育目的による教員や教育機関の間での教材の共有、MOOCなどの一般向け公開講座も審議の対象になっている。このことについて、国立大学協会は、教育の一層の情報化において重要な課題とし、引き続き検討が行われるよう要望した。「教育の情報化の推進における要望」は、文化審議会著作権分科会を所掌する文化庁長官官房著作権課へ提出されている。
《黄金崎綾乃》

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