ナイフで鉛筆削り、学習効果が向上?リバネスら共同研究

 科学教育・研究を推進しているリバネスは、ビクトリノックス・ジャパンらとの共同研究で、ナイフで鉛筆を削ることによる脳活動への影響を調査。その結果、学習前にナイフを使用することによって、集中力が維持され、学習効果が高まる可能性が示された。

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ナイフと電動鉛筆削り器で鉛筆を削る際の脳活動量の比較(上段:ナイフ使用中の脳活動量、下段:鉛筆削り器で鉛筆削り中の脳活動量)
  • ナイフと電動鉛筆削り器で鉛筆を削る際の脳活動量の比較(上段:ナイフ使用中の脳活動量、下段:鉛筆削り器で鉛筆削り中の脳活動量)
  • ナイフ使用中、および使用前後でのマス計算中の脳活動量比較(上段:マス計算中の脳活動量/ナイフ使用前、中段:ナイフ使用中の脳活動量、下段:マス計算中の脳活動量/ナイフ使用後)
 科学教育・研究を推進しているリバネスは、ビクトリノックス・ジャパンらとの共同研究で、ナイフで鉛筆を削ることによる脳活動への影響を調査。その結果、学習前にナイフを使用することによって、集中力が維持され、学習効果が高まる可能性が示された。

 リバネスは、マルチツールのメーカーであるビクトリノックス社の日本法人であるビクトリノックス・ジャパンと諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授、センタンと共同で、ナイフの使用が子どもの成長に与える影響の科学的評価を試みている。その一環で、ナイフで鉛筆を削ることによる脳活動への影響の調査を実施した。

 調査は、小学3・4年生の男児3名(利き手:右)を対象に行った脳活動量調査と、小学5・6年生の男児(利き手:右)を対象に行った課題回答調査により行われた。

 その結果、ナイフでの鉛筆削りは、知的活動の中核ともいえる「前頭前野」を中心とした広い部分での脳の活性化につながったという。ナイフでの鉛筆削りは、利き手だけでなく、利き手とは逆の手のコントロールも重要であるため、左脳だけでなく右脳の活動量も高いようすがすべての被験者で観察された。また、一般的に高い脳活動量を示すと言われる計算問題を解いている最中よりも、ナイフ使用中の方が高い脳活動量を示していることも観察された。さらに、ナイフ使用前よりも使用後のほうが、脳活動量が高く、注意力が高い状態が続いている(集中している)ことも明らかになった。

 諏訪理科大学の篠原菊紀教授は、「学習前にナイフを使用することによって、子どもたちの集中力は維持され、学習の効果が高まる可能性が伺えました。また、学校で授業を始める前に計算ドリルや音読活動をすることがありますが、それは学習に向けて気持ちの切り替え行うことが狙いの1 つです。ナイフを使う活動は、それらに代替するような比較的強い気持ちの切り替えの手段になるかもしれません」とコメントしている。

 今回の結果を踏まえ、今後は子どもにとって好ましいナイフやマルチツールの活動や使い方などを明らかにし、子どもの成長の一助となる手法を確立していきたいと考えているという。
《外岡紘代》

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