奨学金返済、半数は見通し立たず…7割は返済に不安

 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は、組合員を対象に行った「奨学金制度に関するアンケート」の結果を公表した。奨学金を利用している学生は全体の56.3%と半数を超え、返済の見通しにはついては半数が立っておらず、7割が返済できるか不安と回答している。

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奨学金制度の利用率 画像出典:全国大学生活協同組合連合会
  • 奨学金制度の利用率 画像出典:全国大学生活協同組合連合会
  • 奨学金制度利用の目的 画像出典:全国大学生活協同組合連合会
  • 制度を利用していての不安 画像出典:全国大学生活協同組合連合会
  • 仕送り額 画像出典:全国大学生活協同組合連合会
  • 全国大学生活協同組合連合会 画像出典:全国大学生活協同組合連合会
 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は、組合員を対象に行った「奨学金制度に関するアンケート」の結果を公表した。奨学金を利用している学生は全体の56.3%と半数を超え、返済の見通しにはついては半数が立っておらず、7割が返済できるか不安と回答している。

 調査は2016年11月16日~12月28日に、全国の国公立および私立大学の学部学生・院生を対象に実施。1,727人の有効回答数を得た。奨学金の利用率は全体の56.3%となり、住まい形態別でみると寮生が68.4%、下宿(アパート)57.2%、自宅52.9%の順となっている。

 奨学金の利用目的として、「授業料をまかなうため」「生活費をまかなうため」と回答した人はともに7割を超えた。月の貸与額は、3~8万円の割合が高く、15万円以上の人も一定数存在しており、学生より上の世代と比較すると全体的に貸与額が上昇して高額になっている。

 返済については、奨学金制度を利用している人の半数が見通しは立っていないと回答。「返済できるか不安」と回答した人も7割を超えている。また、高額貸与者はサンプル数が少ないが、貸与額に比例して不安を感じる割合が高くなる傾向がみられるという。

 仕送り額では、奨学金を利用している人のほうが低い傾向。仕送り額0円は奨学金を利用していない人は19.1%いたが、利用している人は46.0%と27ポイントの差があった。アルバイト額では、奨学金を利用している人のほうがアルバイト額は高い傾向がみられた。アルバイト額0円は奨学金を利用していない人が22.8%に対し、利用している人は15.9%と7ポイント差があった。

 奨学金に関する事柄への考えでは、「奨学金制度利用時の制度の説明は十分だと思うか」の問いで「はい」と回答したのは3割で、「いいえ」と回答した人も3割いた。給付型奨学金制度の創設に7割以上が、無利子奨学金の対象者拡大についても7割以上が賛成と回答している。

 また、「自分、もしくは恋人が奨学金を返済中であることが結婚に影響すると思いますか」の問いでは4割以上が「はい」と回答。中でも、奨学金制度を利用していない人のほうが「はい」と答える割合が高く、「恋人が奨学金を返済中であること」が結婚に影響すると考える人が多いことがわかった。自由記述では、「奨学金を入学金と学費にあてたため目指していた派遣留学をあきらめた」「奨学金返済が困難ななことが予想され、結婚をあきらめている」などと先行き不安な声が多かった。
《田中志実》

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