楽しい体験は、すべて学びに繋がる!プログラミングが人気の理由

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プログラミングスクールのようす(提供:CA Tech Kids)
  • プログラミングスクールのようす(提供:CA Tech Kids)
 2020年からの大学入試の大きな変化、2025年までにIT人材を新たに100万人育成するという国の方針など、教育のバックグラウンドが変化しつつあるなか、ますますプログラミング教育に注目が集まっている。

 英語やスイミングと同じお稽古の感覚でプログラミング教室を選択する家庭も増え、各地で開催される子ども向けプログラミングイベントは、どこも盛況だという。ここまで注目される、プログラミング教育が人気な理由は何だろうか。それを探る意味でも、まずはプログラミングを学ぶための代表的なサービスを2つ紹介したい。

◆学校の授業にも導入されている「マイクラ」

 2009年に公開後、世界中で人気を博し、小中学生だけでなく大人のファンも多いサンドボックスゲーム「マインクラフト(Minecraft)」。「マイクラ」の愛称で呼ばれ、国内外の学校の授業にも導入されている。サンドボックスは日本語で「砂場」。まるで砂場で子どもたちが城や山や川や海を、そして街を作って遊ぶように、ブロックを配置して建物を作ったり、対戦プレイを楽しめるゲームだ。

 最初は、もともと用意されている森で穴をほったり、草原に木を植えたりと、とても簡単に始められるが、プログラミングをすることで、ついには街やテーマパークなども作ることができる奥深さが人気の理由といえる。

 このマイクラの特徴を3つあげるとすると、まず1つめは、決められたストーリーや目的があらかじめ用意されているわけではなく、自由に世界を作り出していけること。

 2つめは、ネットを通じて友達や親と一緒にプレイできること。城や建物を仲間と力を合わせて建造することができるのだ。

 3つめは、新しいブロックやアイテムを追加したり、挙動を変化させることができるMOD(モッド:Modification)というプログラムが用意されていること。想像力を生かし、MODをどんどん活用することで、自分の作り出したい世界を構築できる。

◆はじめてでもプログラミングできる「スクラッチ」

 スクラッチ(Scratch)は、MITメディアラボが開発した子ども用のプログラミング言語で、ビジュアルプログラミングツールの1つ。あらかじめ、いろいろな命令がブロックに書かれており、それらを組み合わせることで視覚的にプログラミングできるよう工夫されている。キーボードで命令を打ち込む必要はない。

 スクラッチの特徴も3つあげるとすると、1つめは、上記のようにビジュアルプログラミングツールであることから、予備知識なしでプログラミングに触れることができること。それこそパズルのように、命令の書かれたブロックを組み合わせ、自由な発想でプログラミングできる。

 2つめは、インターネット環境のみで始められることだ。自分のパソコンにインストールする作業はいらない。Webサイトにアクセスすれば、すぐに始めることができる。

 3つめは、簡単にプログラミングできるのに、ワープロソフトといったアプリケーションや複雑なゲームなども作ることができること。しかも、作成したプログラムは公開することもでき、多くの人に評価してもらえる。逆に、公開されたプログラムを見ることで、自分のプログラミング力を養うこともできるわけだ。

 なお、未就学児でも直感的に操作できるよう開発されたScratchJr(スクラッチジュニア)も用意されている。

◆楽しく身に付く「クリエイティビティ」「コミュニケーション力」

 「マイクラ」と「スクラッチ」という2つのサービスを紹介したが、その特徴からわかるように、この2つに共通しているのはクリエイティビティとコミュニケーション力を子どもたちが「簡単に、楽しく養うことができる」という点だ。自由な発想で、友達と協力して作りたいものを自主的に作っていける。

 子どもたちの創造・表現力をテーマにしたワークショップやイベントを企画・開催している「CANVAS」で理事長を務める石戸奈々子さんは、WDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)のMy First PCの企画で「子どものデジタル教育、プログラミング学習の現状と“教える側”に求められる覚悟とは」をテーマに行った脳科学者の中野信子さんとの対談で、こう話していた。「社会が変化するなかで、子どもたちに求められている力も変化してきました。知識を記憶する効率的な学習スタイルは、相対的に価値が下がっています。現在の多様な価値観のなかで求められるのは、『クリエイティビティ』と『コミュニケーション力』の2つ。『学び』も変わらなくてはいけません。」

 次世代に必要な力を楽しく身に付けることができることも、プログラミング教育が保護者に人気を得ている原因かもしれない。

◆「承認される喜び」が人気の秘密!?

 先の対談で中野さんは「承認される喜び」について次のように発言した。「人間にとってもっとも根源的な喜びは、それは話を聞いてもらえるとか、他人から『承認される』こと。これはとても大きいもので、承認される喜びが起こったときには、もっともっとその喜びがほしいということになります。これまでは学校で承認されるのは国語や算数でしかなかったのが、(プログラミングが必修化され)プログラミングという領域が現れるのはいいことでしょう。潜在的に得意な人がいても今までは、学校では評価されなかったのが、これからは評価されるようになりますね。」

 現在はまだプログラミングは必修化されていないが、ワークショップやスクールでは、プログラミングを評価される喜びに満たされる子どもたちがいる。子どもたちは、作りたいものを作るために、自ら進んで必要な知識を学び、それを応用。そしてそれを友達や親やスクールの先生に評価してもらい、さらに向上していくという良いリズムができている。こうした楽しい体験の積み重ねが、プログラミング学習の人気の秘密かもしれない。

 石戸さんは「プログラミングは表現ツール。子どもたちは新しい1つの表現手段を手に入れたということです。」と語っている。そこで次から、表現ツールを駆使できるようになる、子どもたちにも人気のワークショップ、スクールをいくつか紹介しよう。

◆テックキッズキャンプ(Tech Kids CAMP)/テックキッズスクール(Tech Kids School)

 CA Tech Kids(サイバーエージェントの子会社)が運営する、小学生を中心とした子どもたちのためのプログラミング教室。テックキッズキャンプは、夏休みや春休みに、短期集中的に行われる日本最大級のワークショップで、テックキッズスクールでは年間を通じたスクールを展開する。キャンプでは「マイクラプログラミング講座」「Scratchゲーム開発講座」、スクールではゲーム開発やアプリ開発など、子どもの興味の方向性によって選択できる。

 自分の作品を人前で発表する発表会には保護者も参加でき、子どもたちのプレゼンテーション能力を引き出せるのも、魅力の1つだ。

 スクールは、渋谷、秋葉原、二子玉川、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡、沖縄にある。

◆レゴスクール

 レゴスクールは、文字通りレゴ社が運営し、レゴブロックを教材として子どもたちの能力開発を行うスクール。

 レゴは、世界各国に広がり、大人にもファンが多い。あらかじめさまざまな色やパーツが用意されていて、それらを組み合わせることで、簡単に作品が作れる。アイデア次第で複雑な構造にもチャレンジできる、創造力を養えるツールだ。

 スクールは、宮城、埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都、沖縄の各地にある。

◆リタリコワンダー(Litalicoワンダー)

 リタリコワンダーは、プログラミングはもちろん、ロボットや3Dプリンタなどを学べるスクールで、テクノロジーを使ったものづくりを学習できる。LITALICOが運営している。

 ゲーム&アプリプログラミングコース、ロボットクリエイトコース、ロボットテクニカルコース、デジタルファブリケーションコースといったコースがあるので、子どもの志向に合わせて選択してあげてほしい。

 スクールは、秋葉原、渋谷、池袋、横浜、川崎にある。

◆プログラボ(ProgLab)

 プログラボは、阪神電鉄、讀賣テレビ放送、エイデックで構成する「プログラボ教育事業運営委員会」が運営するロボットプログラミング教室。

 1人1台のロボットを使って授業を行い、ロボットをプログラムで動かしていく。オリジナルのロボットコンテストも行っており、さらに国際的なロボットコンテストにも参加している。チャレンジする楽しみが味わえるだろう。

 スクールは、豊中、上本町、六甲道、宝塚など関西地域にある。

◆CANVASのワークショップ

 キャンバス(CANVAS)は、創造的な学びの場を産官学連携で提供することを目的に設立されたNPO法人。キャンバスでは、子どもの豊かな創造性を育むワークショップを各地で開催している。プログラミングのワークショップもその1つ。

 「めざせ!ちびっこプログラマー!」と題したワークショップでは、子ども向けプログラミング言語「ScratchJr」を学べる。石戸さんが「キャンバスのワークショップでは作りながら学んでいくことを大切にしている」と語るとおり、体験が中心のワークショップだ。


◆自主性を促進するマイパソコン

 石戸さんは、ワークショップで学ぶ子どもたちのようすをこう語っていた。「ここ数年、プログラミングのワークショップに関わっていますが、子どもたちは試行錯誤しながら、主体的に探求していくんですよ。たとえばテニスのゲームを作っている子は、ボールが弾む曲線を再現するために、サイン・コサインという知識が必要だっていうことを知るんです。“自ら学ぼう”“学んだ知識を活用しよう”という姿が見られるようになります。」

 さらに、「今は学びたいだけ学べる時代。ワークショップでも学び方を学ぶということを大切にしています。そのためには、学びたい気持ち、学び続ける力が必要です。生涯にわたって学び続ける力をつけさせてあげることが大切です」と話していた。

 今後は、学校の授業やプログラミングスクールで学び方を学んだあと、そこで芽生えた自主的に学びたいという気持ちをさらに伸ばしてあげること、学びの環境を与えてあげることが大切ではないだろうか。

 「英語を学ぶには英語圏の外国人と友達になるのが一番手っ取り早いように、プログラミングを学ぶには自分でアプリを作るのが一番では?」このように中野さんが語っていたことが印象的だった。

 “自分用のパソコン=マイパソコン”を使ってネットにアクセスすれば、プログラミングはもちろん、英語や数学のエキスパートがその技を教えてくれる動画や教材がたくさんある。それらを視聴することで、自分で作りたいものを作っていくこともできるわけだ。

 また、そうしたエキスパートたちとのコミュニティも充実しており、自分が行き詰ったときに、質問できる相手がネット上にはいてくれる。親にも教師にも聞くことができなかったこと、解決できなかったことが、解決できるようになることは、子どもの能力開発にとても大きな力となるに違いない。

 もちろんネットを使うことにはメリットがある一方、デメリットもある。早いうちから、そうしたリスクを知り、それに対処する方法を知っておくことも、ITが日常生活のなかに定着している時代には必要なことだろう。自らの力で道を切り拓いていく力を、ぜひつけさせてあげてほしい。

《渡邊淳子》

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