CiNii廃止? 検索機能不具合で研究者・学生に不安

 4月5日現在、国立情報学研究所(National Institute of Informatics:NII)が運営する学術情報検索サービスCiNii(サイニィ)上で電子化された学術論文や書籍などの情報が一部閲覧できないことについて、研究者や学生の間に不安が広がっている。

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CiNii 国内の論文情報などを検索できるサービス
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  • CiNii Twitter公式アカウント 混乱に対するコメントを掲載した(2017/4/5時点)
  • 国立情報学研究所電子図書館事業
  • 国立情報学研究所電子図書館事業 事業について 電子図書館(NII-ELS)の事業終了について
  • 国立情報学研究所電子図書館事業 事業終了について 終了までのスケジュール
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 国立情報学研究所(National Institute of Informatics:NII)が運営する学術情報検索サービスCiNii(サイニィ)は4月3日、システム障害により機関認証が停止していると発表。同日午後5時45分ごろに不具合解消を発表したものの、4月5日現在は電子化された学術論文や書籍などの情報が一部検索できないことに対し、不安の声があがっている。

 国立情報学研究所(NII)は、平成9年から国立情報学研究所電子図書館事業(NII-ELS)を開始。学協会の発行する学術雑誌などの電子化・公開により、学術情報流通に貢献することを目的に設立された。国立情報学研究所電子図書館によると、これまでに428学会、1,400種類の雑誌、合わせて362万論文の電子化を行ってきたという。電子化した論文はすべて、同研究所が提供する学術コンテンツサービス「CiNii」を通じ、検索・閲覧できるようになっていた。

 しかし、学協会誌の電子化に対する国の支援は、科学技術振興機構(JST)が運用するJ-STAGEと一本化することとなり、NIIは3月に電子図書館事業(NII-ELS)を終了すると発表。終了対象はあくまでも電子図書館事業(NII-ELS)であり、学術情報検索サービスを提供するCiNiiではないが、検索機能が働かないことで「CiNiiが廃止されるのか」「サービスがなくなるのか」など、研究者や学生の間で混乱が生じている。

 九州大学附属図書館は4月4日、Webサイト内「お知らせ」で「論文PDFの提供終了について(CiNii)」を発表。「各学協会誌・紀要は他のプラットフォームへ移行済みであれば、CiNiiからそのプラットフォームへのリンクをたどることにより、論文PDFにアクセス可能です。しかし、多くの学協会誌は移行が完了しておらず、現在、論文本文を利用できないケースが生じているようです。」と述べ、同図書館関係者に学協会誌移行先一覧情報を提供。また、九州大学の所蔵する図書・雑誌や学術成果などを検索できる「九大コレクション」やWeb上で見つけた文献情報からフルテキスト(本文)や関連情報を入手するためのサービス「きゅうとLinQ」からの学協会誌へのナビゲーションに一部不具合が出ているとした。

 CiNiiは4月5日、利用者の混乱を受けTwitter公式アカウント上でコメントを掲載。「CiNii廃止?なくなるの?といったコメントをいただき大変お騒がせしております。検索サービスは今後も継続します。論文PDF提供サービスの終了と他機関への移行作業のため、現在アクセスできないファイルが多数存在しています。この点については各機関と協力し情報発信を進めてまいります。」と発表した。

 NII-ELS移行スケジュールや今後の予定は、国立情報学研究所電子図書館のWebサイトで公開されている。

◆CiNiiの検索システムが稼働していないことに対するネットユーザーの反応
「CiNii廃止か?というツイートが盛り上がっていますが、CiNii(さいにー)自体の廃止ではなく、電子図書館(NII-ELS)事業が終わるということです」「よくよく見るとCiNiiがJ-STAGEへ統合されるとのこと」「公開論文が減る可能性あり?」「CiNiiにある論文しか引かない学生がいる(いた)」「論文検索頼りにしています」
《佐藤亜希》

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