【中学受験に勝つ】夏休み自由研究…(5)ペルセウス座流星群で天体と「放射状」をマスター

 中学受験 個別指導のSS-1副代表で、理科の指導経験が豊富な辻義夫先生に、実際に出題された中学受験入試問題に触れながら、ペルセウス座流星群を題材にした夏休みの自由研究&受験対策法を解説してもらった。

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星空(イメージ写真)
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  • 中学受験 個別指導のSS-1副代表で、理科の指導経験が豊富な辻義夫先生(写真)に話を聞いた
 例年8月は「ペルセウス座流星群」の観察チャンスが巡ってくる時期。夏休みの自由研究課題としても、入試で頻出される「天体」分野について学ぶ機会としても絶好のチャンスだ。中学受験 個別指導のSS-1副代表で、理科の指導経験が豊富な辻義夫先生に、実際に出題された中学受験入試問題に触れながら、ペルセウス座流星群を題材にした自由研究&受験対策法を解説してもらった。

◆SS-1辻先生による中学受験対策&夏休みの自由研究シリーズ一覧
・夏休み自由研究…理科(1)缶とペットボトルで「飲み物容器の科学」
・夏休み自由研究…理科(2)光の進み方:反射と屈折
・夏休み自由研究…理科(3)使い捨てカイロを調べる
・夏休み自由研究…理科(4)朝顔の観察
・夏休み自由研究…(5)ペルセウス座流星群で天体と「放射状」をマスター


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 夏休みに入りました。中学受験を目指すお子さんは、塾の夏期講習にその復習、そして宿題と、学校の宿題以外にやるべきことがたくさん。学校の宿題にはできるだけ時間をかけたくない、というのが正直なところかもしれませんね。

 そして、学校の夏休みの宿題の中でもっとも手がかかるものの1つが、自由研究です。

 何をやるかを決めるところから始まり、決めたことによっては毎日の観察や記録など、手間のかかることが多くなりがちです。今回は忙しい受験生のために「1日でできて受験にも役立つ自由研究」について考えてみたいと思います。

◆夏休みは「流星群」観察のチャンス

 夏といえば、ペルセウス座流星群の観測に適した季節。2017年は8月12日から13日にかけて、多くの流星が見られます。流星を観測し、その観測結果を自由研究とするのもいいですね。(参考:国立天文台は「ほしぞら情報」でその年の天体情報を公開している)

 まず、流星とは何かです。宇宙空間にただよう塵(ちり)が、地球の大気圏に突入して燃え、明るく光って見えるのが流星(流れ星)ですが、ではいったい「流星群」とは何なのでしょう。

 流星のもととなる塵がたくさん集まっている部分があって、その塵が次々と大気圏に突入してくるのが「流星群」です。その塵の集まりは、もともとはそこを通っていった彗星が残していったもの。彗星の軌道には、その彗星が残していったちりがたくさん回っていて(「塵の帯」と呼ばれています)、そこを地球が通り抜けるのがある決まった季節、ペルセウス座流星の場合は夏というわけです。

 流星観測を自由研究とするなら、こういったことも「調べ学習」として記録しておきたいですね。

◆流星観測のポイント

 2017年は、ペルセウス座流星群で流星が多く見られるのが2017年8月12日(土)夜9時から13日(日)の明け方にかけてです。

 星の観測は空が暗いほうが有利で、その意味では月が出ていないほうがいいのですが、残念ながらこの日は真夜中ごろ月が昇ってきてしまいます。

 そこで、月を視界に入れない方角を中心に観測しましょう。もちろん、できるだけ空を広く見渡せる、広場のような場所が観測には適しています。

 方角を確認するための方位磁針星座早見盤、観測結果を記録するスケッチブック、そして懐中電灯などを忘れず準備しましょう。暗い状態に目が慣れないと流星の観察がしにくいので、できれば懐中電灯には赤色のセロファンなどをかぶせておきたいですね。

 流星は、空の一点(放射点と呼ばれ、時間がたつにつれ移動していきます)から周りに吹き出すように見られるのですが、このことを体感できるくらいの個数が観測できればベストです。

◆なぜ放射状に見えるのか

 2016年、吉祥女子中学校では、ふたご座流星群、しし座流星群をテーマに、なぜ流星群がふたご座やしし座の方向に観測できるのか、そして「知識」として放射状に見えることを知っているかを問う問題が出ました。

 2011年の開成中学校の入試問題では、「なぜ流星が放射状に見えるのか」を問う問題が出題されています。

 放射状に観測できることを「知識」として知っているかではなく、与えられた条件から理解、説明することができるかを問うているんですね。

 図のように進んでくるA、B、Cの流星を観測者が見ているとします。

解説1
A、B、Cの流星を観測者が見ているとする

 AとBの流星は観測者の前方、Cの流星は観測者の後方に着地(実際には途中で燃え尽きるため着地しませんが)しますが、前方、後方と言っても、はるか前方、後方のはずです。だから実際には観測者には下の図のように見えるというわけです。

解説2
実際に観測者が見る場合の図

 当日の観測では、見えた流星の大まかな位置と時刻をスケッチブックに記録します。これに調べ学習を付け加えておくと「自由研究」のできあがり。自由研究には以下のようなことを順に記録しておくとまとまりがよくなります。

◆自由研究で記録するポイント6つ
1、きっかけ(なぜこの実験、観察などをしようと思ったか)
2、予測(実験、観察前の自分の予測、仮説を立てておく)
3、実際の実験、観察のようす、レポート
4、実験、観察の結果
5、調べ学習(実験、観察だけではわからなかったこと、新たに出てきた疑問など)
6、感想


 夏とはいえ、夜中に長時間外で観測するので「寒さ対策」もしっかりして、ぜひ親子で流星の観測を楽しんでくださいね。

中学受験 個別指導のSS-1 副代表 辻義夫(つじ よしお)
1968年生まれ。神戸市出身。1988年から兵庫県を本拠地とする学習塾での指導を開始、特に理科の授業はわかりやすいと受験生の絶大な支持を得る。1997年から最難関中学合格者を毎年数多く輩出している授業と教材のエッセンスを吸収するため浜学園の講師となり、「塾の使い方」を見つめなおす機会を得る。2000年は生徒ひとりを徹底的に伸ばす指導を行う中学受験専門プロ個別指導のSS-1設立に尽力し、大阪谷町教室にて最難関中学受験生を指導。現在は副代表を務める。「ワクワク系中学受験」と評されるその指導は、楽しく学べて理科系科目が知らない間に好きになってしまうと好評。「中学受験情報局 かしこい塾の使い方」主任相談員として執筆、講演活動なども行っている。著書に「頭がよくなる 謎解き理科ドリル」(かんき出版)「中学受験 見るだけでわかる理科のツボ」(青春出版社)がある。
《辻義夫》

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