【中学受験に勝つ】夏休み自由研究…理科(2)光の進み方:反射と屈折

 中学受験専門の個別指導教室 SS-1 副代表で、理科指導の経験が豊富な辻義夫先生に、過去の入試問題を自由研究のテーマに選び、実験とレポート作成を通じて受験対策する方法を聞く。ここでは「光の進み方:反射と屈折」を紹介。

教育・受験 小学生
(反射)鏡の角度が90度のときは3つの鏡像ができる
  • (反射)鏡の角度が90度のときは3つの鏡像ができる
  • (反射)60度にすると5つの鏡像となる
  • (反射)120度だと2つしか映らない
  • (反射)作図方法を示す辻先生
  • (屈折)屈折の実験に使うレーザーポインタと市販のLED光源キット
  • (反射)反射の実験のレポートの例
  • (屈折)段ボール箱でまわりを暗くしてスマートフォンで撮影
  • (屈折)箱の外から当てた光のようす
 中学受験専門の個別指導教室 SS-1 副代表で、理科指導の経験が豊富な辻義夫先生に、過去の入試問題を自由研究のテーマに選び、実験とレポート作成を通じて受験対策とする方法を聞いた。辻先生が用意してくれた4つのテーマより、ここでは「光の進み方:反射と屈折」を紹介する。

◆SS-1辻先生による中学受験対策&夏休みの自由研究シリーズ一覧
・夏休み自由研究…理科(1)缶とペットボトルで「飲み物容器の科学」
・夏休み自由研究…理科(2)光の進み方:反射と屈折
・夏休み自由研究…理科(3)使い捨てカイロを調べる
・夏休み自由研究…理科(4)朝顔の観察
・夏休み自由研究…(5)ペルセウス座流星群で天体と「放射状」をマスター


◆中学入試でよく出題される反射と屈折の作図問題

 「光の進み方:反射と屈折」では、タイトルどおり反射と屈折で2通りの実験ができる。両方実験してひとつのレポートとしてもよいし、どちらか一方だけのレポートとしてもよいだろう。実験方法やレポートのまとめ方は後述するとして、このテーマの目的は、光の進み方を実験によって自分で確かめること。それによって理解を深め、いろいろなパターンでの作図もできるようになることだと辻先生は言う。

 光の進み方は5年生で学習する単元だが、高学年になると実験よりも概念的な説明が多くなる。そのため、知識として簡単な例での反射や屈折は知っているが、実際の状況をイメージしたり、教科書などで覚えたパターン以外での光の進み方が理解できない児童は少なくない。このテーマの自由研究は、実験することで、感覚として光の屈折の具合、反射の具合を頭に入れ、応用パターンでの作図ができるようにする意味もある。

 辻先生によれば、光の反射や屈折の入試問題は、以下のような比較的難易度の高い中学で、よく出題されるという。

・早稲田実業学校中等部2011年・2008年(鏡の反射)
・明治大学付属明示中学校2011年(鏡の反射)
・共立女子第二中学校2010年(鏡の反射・凸レンズ)
・駒場東邦中学校2008年(鏡の反射)

◆反射の実験方法とポイント

 反射の実験で必要なものは以下のとおりである。

・鏡2枚
・分度器
・鏡に映す対象物
・方眼紙(作図に使用)

 鏡は、四角形の折り畳み式で2枚の角度が買えられるものがあればベストである。なければ100円ショップなどで四角い化粧鏡を2つ買ってきて組み合わせてもよい。鏡に映す対象物は、模型、ぬいぐるみ、木片、ブロックとなんでもよい。

 辻先生の実験は、手軽にできるように工夫されているだけでなく、100円ショップなどで手軽に入手できたり、段ボール箱のように家庭にあるものを利用し、余計なコストをかけずにできるようにもなっている。

 実験は、2枚の鏡を60度、90度、120度といった角度で広げた状態で、間に置いた対象物がどのように、いくつ見えるかを確認する。結果はデジカメで撮影してもよいし、スケッチしてもよい。レポートでは、そのときのようすを事前に予想して書いておくと、実験後の考察ポイントとして、予想どおりか違っていたかを分析できるだろう。

 鏡の角度が60度ならば対象物は5個、鏡の中に見えることになる。90度なら3個、120度なら2個だ。考え方としては、鏡の角度を360度で割った答えから、対象物の実像の1を引いた数が見えるのだが、いくつ見えるかは、光の反射の作図によって説明することができる。レポートの考察では、この作図とともになぜ60度だと5個で、90度なら3個になるかを説明できるとよい。

◆屈折の実験方法とポイント

 屈折の実験では、以下のものを用意する。

・レーザーポインター(または市販教材のLED光源キット)
・四角い瓶(インスタントコーヒーの空き瓶など)
・石鹸水
・段ボール箱
・スマートフォンのカメラ(デジカメ)

 石鹸水(白濁した水)を入れた四角い瓶の片側からレーザーポインターなどの光を当てて、反対側に抜けるようすを上から観察することで、光の屈折を確認する。このとき、周りを暗くすると、光の軌跡が確認しやすく、デジカメで撮影する場合も都合がよい。辻先生によれば、段ボール箱の中に瓶を入れ、箱の横に開けた小穴からレーザーポインターを当てるとよい。さらに、上からの明かりが多いようなら、撮影用の穴をあけた段ボールの切れ端でフタをする。スマートフォンなどを穴の上に置いてそのまま撮影すると、手ブレも少なくきれいに撮影できるそうだ。

 実際に撮影された画像を見ればわかると思うが、画面左下の赤い光が穴からあてたレーザーポインタの光(上は瓶の表面に反射した光)。画面右上の赤い小さい点が、瓶を通して届いた光。瓶の中の光と出口側の光点は、箱の光の入口と瓶の左側の光の入口を結んだ直線上にはない。

 実験の注意点は、レーザーポインターの光を直接見ないことがまず重要だ。市販のものは出力を抑えてあるので、すぐに失明などの危険は少ないそうだが注意が必要だ。LED光源でも、輝度の高いLEDの場合は同様な注意が必要だ。また、石鹸水は液体ハンドソープなどが水に溶けやすいが、あまり濃すぎるとレーザーポインターでも透過できなこともあるので加減してほしい。石鹸水の泡が消えるまで放置して、実験しよう。

 レポートは、撮影した画像の印刷に、光が直進した場合の軌跡と、実際に反対側の段ボール側面(裏側)に当たった光の位置で屈折の具合を図示する。水や石鹸水の濃さの違い、色水(絵の具などで作る)での屈折の違いなどを比較してもよいだろう。

 この実験の目的は、光の屈折という頭では理解している現象を、自分で試すことにより理解を深めることにある。そして、光の屈折の問題も多くの中学校が入試問題として出題している。
《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

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