トラブル、緊張、言葉の壁…留学で成長する子どもの共通項【NZ留学事情】

 国内外問わず、新しい環境での生活にはトラブルがつきまとうもの。「教育の質」と「安全性」に定評がある、ニュージーランドの中学校・高校に飛び出し、未来を拓こうと日々成長し続ける日本人留学生の生活を覗いてみた。

教育・受験 中学生
日本人留学生を囲んで。New Plymouth Boys' High School(ニュープリマス・ボーイズ・ハイスクール)でのようす
  • 日本人留学生を囲んで。New Plymouth Boys' High School(ニュープリマス・ボーイズ・ハイスクール)でのようす
  • Spotswood College(スポッツウッド・カレッジ)に留学する日本人生徒と、留学生を支援する現地生徒たち。困ったときは同じ世代同士手を取り合い、ともに学ぼうとする姿が見えた
  • Scots College(スコッツ・カレッジ)に通う日本からの留学生生徒たち。みな「伝統校」で学ぶ意義を大切に感じていた
  • <オフショット>澤畠洋輔さん(左)と黒崎貞人さん(右)。ふたりともニュージーランドのニュー・プリマスにある学校へ留学した
  • <オフショット>ニュージーランドのニュー・プリマスにある留学支援団体「Study in Taranaki(スタディインタラナキ)」が主催した留学生パーティのようす
  • <オフショット>ニュージーランドのニュー・プリマスにある留学支援団体「Study in Taranaki(スタディインタラナキ)」が主催した留学生パーティでの一枚
  • <オフショット>ニュージーランドのニュー・プリマスにある留学支援団体「Study in Taranaki(スタディインタラナキ)」が主催する留学生パーティのようす。現地の日本人留学生ホストファミリーと留学生を招いたパーティが開かれた
  • <オフショット>赤星好誠さん(左)と黒崎貞人さん(右)。先生と笑顔で冗談を交わし合う
 近年、ますます注目を集める「留学」という選択。我が子を安全に、かつ万全な状態で送り出すため、先輩生徒・学生のリアルライフはぜひ参考にしたいところ。親の気持ちも慮りながら、海外に飛び出した子どもは一体どのような生活を送っているのだろうか。

 国内外問わず、新しい環境での生活にはトラブルがつきまとうもの。「教育の質」と「安全性」に定評がある、ニュージーランドの中学校・高校に飛び出し、未来を拓こうと日々成長し続ける日本人生徒の生活を覗いてみた。そこには、困難を乗り越えようと、異国の地で奮闘する子どもたちの姿があった。

「やっていけんわ」落ち込みからの超回復、そして前進



 ニュージーランドの北島、ニュー・プリマスに位置するSpotswood College(スポッツウッド・カレッジ)に留学しているのは、同校の姉妹校である広島県廿日市市の中学校からの交換留学生の山根唯菜さん。海外文化に関するお母さまの理解も深く、留学を相談した際は快く応援してくれたという。

Spotswood College(スポッツウッド・カレッジ)に留学する日本人生徒と、留学生を支援する現地生徒たち。困ったときは同じ世代同士手を取り合い、ともに学ぼうとする姿が見えた
写真:スポッツウッド・カレッジへの留学生を取材した

 「もともと日本でも(海外文化や人に対して)抵抗がなかったので、自分からどんどん話しかけるタイプだった」が、学校に来た初日はやはり現地の英語を聞き取れず、このままでは「やっていけんわ」と落ち込むこともあったという。学校や生徒からのサポートが充実していることは間違いないが、時には在校生から紙を投げつけられるという、いたずらを受けたこともあったそうだ。

 しかし、せっかく留学をしに来ているのだからと、山根さんは心を奮い立たせた。当時は思いをすべて伝えることができるほど英語力は高くなかったというが、どうしても避けられない若者同士の衝突では心を強く持ち、自分で解決へ動いたというエピソードも共有してくれた。今ではそんな持ち前の明るさと課題解決能力を生かし、Kiwi(キウイ:ニュージーランド人を指す愛称)やドイツ、アルゼンチンからの留学生など、多様な人々と交流できているという。

 留学生活における交友関係を「握手するだけで友達になれる」と表し、戸惑いながらも徐々に異国の地に慣れ始めたようすを見せたのは、同じくスポッツウッド・カレッジに通う澤畠洋輔さん。留学生活初日からホームステイファミリーと一緒にサイクリングを楽しんだ日を振返りながら、異国の地での経験を経て「最初は頭で考えてから話していたのが、言葉がすぐに出てくるようになった」と語る。学校の友人とは週末、町中のハンバーガーショップやボーリング場で遊んだり、サッカーに励んだりと、充実の生活を送っているようだ。

 ホームステイ先のホストマザーは、洋輔さんについて「よく気が利き、好き嫌いもなく、尊敬に値する」と評する。家族の目の届く範囲内なら友人同士のパーティも許しているといい、留学生を過度に子ども扱いせず、ひとりの人として尊重するニュージーランド流の教育観が垣間見えた。

行動力と将来観を養う、海外留学という選択



 郁文館グローバル高等学校の留学プログラムでNew Plymouth Boys' High School(ニュープリマス・ボーイズ・ハイスクール)への留学が決まったという黒崎貞人さんは、「留学生活に満足している」と語る。同校への日本人留学生は2人しかいないが、「学校でも個人の自由が尊重されていて、先生も勢いがあり、とてもおもしろいです」と充実のようすだ。そんな貞人さんが留学で身に付けたのは「行動力」。同年代ながら体格差のあるKiwiの生徒を目の前に、最初は「Yes…」「I'm Sadato…」と、片言でしか話せなかった英語も、得意のカラテを生かした巧みな自己紹介を行うことにより、学校内での立ち位置を確立していったという。

<オフショット>赤星好誠さん(左)と黒崎貞人さん(右)。先生と笑顔で冗談を交わし合う
写真:赤星好誠さん(左)と黒崎貞人さん(右)

 わからないところがあっても辞書を片手に授業にのぞみ、郁文館との交換留学プログラムにより選択が義務付けられているという英語、ESOL(English for Speakers of Other Languages、非ネイティブのための英語クラス)、地理、数学の授業に楽しく参加できているそうだ。貞人さんはこのあと、2月下旬から9か月ニュージーランドに滞在したのち、マレーシア、フィリピン、シンガポールで学び、12月上旬に日本へ帰国する予定だ。

 Year10から同校に通っている赤星好誠さんは、日本の留学エージェントに相談した結果、同校への留学が決定した若者のひとり。留学の魅力は「やりたいことができること」と断言する。「日本の学校は(ある程度)授業が決められていますが、こっちの学校は『将来何をやりたいか』ということから考えて授業を取れる」点がメリットだと語る。

 日本の生徒の多くはまだまだ高校を大学進学への準備期間として捉え、将来を考えるのは大学に入ってから…、という動きが主流だが、ニュージーランドを含む海外の若者は「大学に行ってから将来について考えるのではなく、高校生2年生までの段階(Year12)で将来の職業について考えているんです。だから、将来から学びたいこと、やりたいことができることは留学のメリットだと思います」と分析。早い段階から専門的な知識を身に付けることができるため、芸術が好きなことからアートの授業を取ったり、自分の将来について考える時間を多く持てたりと、学習意欲が高いまま学び続けられる海外の教育システムに太鼓判を押した。

国際的な視野を身に付ける



 ニュージーランドの伝統私立男子校である、ニュージーランドの首都・ウェリントンにある「スコッツ・カレッジ」に通う日本人留学生の姿を見てみよう。

Scots College(スコッツ・カレッジ)に通う日本からの留学生生徒たち。みな「伝統校」で学ぶ意義を大切に感じていた
写真:スコッツ・カレッジに通う留学生を取材した

 桐蔭学園中学校・高等学校の交換留学プログラムを利用して留学中の鈴木隆太郎さんは、Year12に通う高校2年生。年次の低い日本人留学生からも「お兄さん」のように親しまれており、学校内の悩み事にもアドバイスをするようすが見られた。同校からは菅拓道さんも留学に訪れており、日本に留まらない、海外の同年代生徒の考え方を学びたいと意欲的に語ってくれた。

 お父さまはお医者さまで、グローバルな物事の捉え方を養うことから留学を後押ししてくださったというのは江原海さん。渋谷教育学園渋谷高等学校に通う柏原士温さんはニュージーランドのほかにセブ島での英語留学も経験しており、短期留学で英語の基礎を固めてから本格的な留学を決めたそうだ。

 国際弁護士の夢に近づくため、自らを高めるために海外伝統校を留学先に決めたというのは遠田一心さん。国際的なレベルで学べる環境に身を置き、若いころから広い視点で学び、挑戦しようとする未来の紳士たちの顔は皆、活気に満ち溢れており、どの生徒も「留学してよかった」と語った。

逆境に負けない留学生、共通項は「とにかくやってみる」



 留学を決め、現地で活躍する生徒に共通する特徴は、「とにかく挑戦してみる」「外に出てみる」という気持ちで、まず最初の一歩を踏み出していることだ。もちろん、本人の頑張りの裏には保護者や学校関係者の支えもあるが、何よりも大事なのは本人の「留学をしてみたい」というチャレンジ精神であることがわかる。

 進路選択を考えるタイミングで、もし子どもが海外進学を希望した際はまず、先輩生徒のケーススタディに学び、子どもを送り出す判断材料にしてみてはいかがだろうか。

※編集部注:年齢や学年、滞在期間など、時間にかかわる発言はすべて2017年3月時点のもの。
(協力:ニュージーランド大使館 エデュケーション・ニュージーランド、ニュージーランド航空)
《佐藤亜希》

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