理系脳を育む秘訣とは? キッチンは子どもにとってのスーパー実験室

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キッチンは子どもにとってのスーパー実験室
  • キッチンは子どもにとってのスーパー実験室
  • 「頭のいい子の育て方」(西村 則康 著/アスコム)
 子どもの学力を上げる方法に限らず、より広い「子育てのヒント」を名門指導会代表 中学受験相談局主任相談員 塾ソムリエ 西村 則康氏が伝授。名門難関中学に2,500人以上を合格させてきたカリスマ家庭教師の最強の子育てのノウハウ、理系脳を育む秘訣とは。

タンパク質が固まる事実を実体験として感じさせる



 私は料理が大好きです。下手の横好きですが、和食からフランス料理までもう何でもつくってしまいます。

 料理をするなかで日々実感するのは、キッチンは子どもにとってのスーパー実験室であるということです。

 時々、うかがう家庭のキッチンをお借りして実験を行うことがあるのですが、最もウケるのが、シメサバのつくり方です。

「シメサバって知ってるか? これ、キューッとサバの首を締めるんだぞ」

 とりあえず、こんな冗談から始まります(笑)。もしこのまま授業が終わったら、多くの母親からクレームが来ることは必至ですが。

 ここでは、まず子どもに魚を3枚におろす方法を教えていきます。そして骨以外の2枚の身をお酢に漬けるのです。

 すると、透明だった身の部分が少しずつ固く、白くなっていきます。それを見た子どもは、タンパク質が酸で固くなるということを理解するようになります。

 同じように、「牛乳にレモン半個を搾り、かき混ぜてから飲む」という宿題を出したことがあります。

 これも、タンパク質は酸によって固まると知るためのものです。
「ヨーグルトみたいになってなかなかおいしかったよ。でも、酸っぱすぎたから、途中で砂糖を入れたらもっとおいしくなった」

 子どもは、そんな感想を話しました。そばで聞いているお母さんは、笑いをこらえています。

 問題集には、タンパク質は酸を入れたり、加熱したりすると固まると書いてありますが、それを子どもに実体験として感じてもらいます。自分で料理をつくったり食べたりすれば、より一つ深い理解へと落とし込むことができるからです。

 タンパク質が加熱により固まるというのは、目玉焼きやゆで卵もわかりやすい例です。卵は身近な食材ですから、それを説明すると子どもはすぐに覚えられるのです。

母親の工夫する姿も子どもには大きな刺激になる



 このように料理は、化学変化を実体験できる宝庫です。でも、それだけではありません。料理には、どういう一品をつくるかという目標があり、そこに向けての順番や段取りがあります。それは算数の解き方と一緒なのです。

 温かいものは温かいまま食べられる状態で食卓に並べるとします。盛りつけるお皿を温めるのに、私はよく食器乾燥機を使うのですが、たとえばお母さん方が同じことをするときに、
「食器乾燥機は、器を80度で乾かすのよ。料理ができる20分前に入れておけばお皿も熱々の状態で出せるわね。温かい器にのせて料理を出すと冷めにくいの」
と、工夫していることを子どもに見せてあげてください。

「お父さんが帰ってくるのにもう少しかかるから、お皿を温かくしておこう。ほら、これだと冷めないでしょ」
と、お母さんはアイデアを大いに自慢してかまいません。何より大切なのは母親が目標を立て、プロセス管理をし、しかもそれを楽しそうに実行している姿を子どもに見せることです。

 お母さんが工夫してつくった料理なのか、それとも投げやりにいやいやつくった料理なのか、子どもはそういうことを直感的に感じとっています。

 お母さんが工夫している時の表情や仕草、動きも子どもに大きな刺激を与えているのです。

 たとえば釣り好きのお父さんなら、前日の夜に仕掛けを一心不乱に、しかも楽しそうにつくりますよね。

 その様子を子どもが見ると、「へぇ、あんな細かいことまでできるんだ」と感じて、それだけでもとてもいい勉強になるのです。

 そんな時はお父さんも
「この仕掛けはな、魚の特性を考えてやっているんだよ」
と得意げに話しましょう。

料理は一歩先を読む想像力を養うのにも効果的



 そのほかにも料理の時間は、さまざまな勉強の機会にあふれています。タコウインナーをつくる時も、これくらい包丁で切れ目を入れると焼いた時にちょうどいいだろうと想像して、足になる部分に切れ目を入れますよね。コツが必要な野菜のかつらむきもそうです。これは、「一歩先を読む想像力」を養うのにとても効果的です。

 それから、ただやり方を教えるのではなく、子どもの発想に基づいて料理をしていくのもいいでしょう。

「ビーフシチューをつくろうね」
と子どもに言ったあと、
「何を用意すればいいと思う?」
「どれから煮ればいいかな?」
と聞いて、子どもに考える機会を与えるのです。

 まだ子どもが幼ければお皿を並べたり、料理の盛りつけを手伝ったりするだけでもかまいません。何か、手伝いをさせてほしいのです。料理には、日常生活における基礎学習が山ほどつまっています

 もう一つ、注意してほしいのが食事をする時間をどう過ごすかです。

 お父さんが仕事から帰るのが遅くて、お母さんと子どもが二人きりで食べるという機会もおそらく多いと思います。

 幼い子どもを取り囲む社会は小さく、お母さんとの関係がとても大切です。そんな時にテレビを見ていると、お母さんとの大切なコミュニケーションが途絶えてしまいます。

 今、食べている食材の話でも何でもかまいませんので、食卓ではぜひお子さんとさまざまな会話を交わしてください。

御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方(西村 則康 著/アスコム)より「最強頭脳のベースをつくる23の法則」

御三家・灘中合格率日本一の家庭教師が教える 頭のいい子の育て方

<著者プロフィール:西村 則康(にしむら のりやす)>

名門指導会代表 中学受験相談局主任相談員 塾ソムリエ.。30年以上、難関中学・高校受験指導を一筋に行う家庭教師のプロフェッショナル。一つの解法を押しつけるのでなく、その子に合った方法を瞬時に提示する授業で毎年多数の生徒を最難関中学の合格に導く。これまでに男子御三家の開成、麻布、武蔵、女子御三家の桜蔭、女子学院、雙葉をはじめ、灘、洛南高附属、東大寺学園、神戸女学院などの難関校に合格させた生徒は2,500人以上にものぼる。受験学習を、暗記や単なる作業だけのものにせず、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込んでいく「名門指導会」の授業は、いずれの講師も翌年まで予約が殺到するほどの人気を誇る。また、授業を通して親子の絆を深めてほしいと、父母と子どものコミュニケーション術や声かけ法についてもアドバイスしている。家庭教育雑誌や新聞などに頻繁に登場し、情報発信も積極的に行う。特に16万人のお母さんが参考にしている中学受験No.1サイト「かしこい塾の使い方」では、保護者の質問一つずつに丁寧に答えることをライフワークとしている。


《リセマム》

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