大学入学共通テスト、H29年11月「試行調査」課題は難易度バランス

 大学入試センターは平成30年3月26日、試行調査(平成29年11月実施分)の結果を公表した。記述式問題の正答率では、国語の問3で0.7%、数学の3問で2.0%~8.4%と低い傾向がみられた。平成30年度の試行調査に向けて、難易度のバランスに配慮した作問を行うという。

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大学入試センター「試行調査(平成29年11月実施分)の結果報告について」
  • 大学入試センター「試行調査(平成29年11月実施分)の結果報告について」
  • 質問紙調査を参考にした分析「問題を解くうえで、試験時間が短かったと思うか」
  • 質問紙調査を参考にした分析「問題は難しかったと思うか」
  • 国語(記述式問題)の解答類型ごとの傾向
  • 数学(記述式問題)の解答類型ごとの傾向
  • 記述式問題の採点に関する流れ(イメージ)
 大学入試センターは平成30年3月26日、試行調査(平成29年11月実施分)の結果を公表した。記述式問題の正答率では、国語の問3で0.7%、数学の3問で2.0%~8.4%と低い傾向がみられた。平成30年度の試行調査に向けて、難易度のバランスに配慮した作問を行うという。

 大学入学共通テストの導入に向けた試行調査(プレテスト)は、全国1,889校の高等学校および中等教育学校において、平成29年11月13日~24日の日程で実施された。実施科目は国語、地理歴史、公民、数学、理科。

 公表された結果報告は、「各科目の問題構成、設問数、内容等の在り方」「記述式問題の正答の条件の設定、採点、成績表示等の在り方」、「マーク式問題を含めた成績表示の在り方」の分析・検討のほか、「実施面の課題検証とその解決に向けた分析・検討」「2024年度以降を見据えて引き続き行う必要がある分析・検討」で構成。大学入試センターの「新テスト実施企画委員会」が試行調査実施前に審議した分析・検討方針の具体的な項目と、それに沿った分析・検討の結果がまとめられている。

 生徒のアンケート結果によると、「問題を解くうえで、試験時間が短かったと思うか」について、国語、数学I・数学A、数学II・数学B、化学、生物で「そう思う」「ややそう思う」が50%以上となった。また、「問題は難しかったと思うか」という質問では、すべての科目で「そう思う」「ややそう思う」が50%以上。国語、数学I・数学A、数学II・数学B、物理、化学、生物は80%以上が難しかったと感じていた。

 記述式問題については、国語・数学ともに、解答に必要な場面や条件の設定としてどの程度までの複雑さが可能かを検証できるよう作問したという。国語の解答類型ごとの傾向を見ると、正答率(条件のすべてを満たしている解答)は、問1で43.7%、問2で73.5%だったのに対し、問3では0.7%と低くなっている。一方、無解答率は2.3%~6.6%で、3問とも低い傾向にあった。大学入試センターは、平成30年度の試行調査に向けて、3問の難易度のバランスに配慮しつつ、特に文字数がもっとも多い問3(80字~120字)については、言語活動の条件や場面の設定がより明瞭となるよう工夫し、3~4割程度の正答率を目指した作問を行うことを示した。

 数学の解答類型ごとの傾向を見ると、正答率は問(あ)2.0%、問(い)4.7%、問(う)8.4%が特に低かった。一方で、3問とも無解答率が高く、46.5%~57.0%に達している。今後、試験問題全体の難易度のバランスのなかで、記述式問題の適切な難易度を十分に考慮した作問を行う。特に、数式ではない文章で解答させる場合の問いの工夫などについては、さらに検討していく考え。

 このほか、自己採点の一致率についても分析を行っており、「すべての受検者の自己採点を実際の採点結果と完全に一致させることは困難であると言わざるを得ない」と記している。また、このことを踏まえ、大学における活用の在り方や、成績確認に対応するのかどうかなどを含めた検討が必要という考えを示した。

 大学入試センターのWebサイトにて、試行調査(平成29年11月実施分)の結果報告とともに、設問別のねらいおよび正答率(確定値)なども掲載されている。

 なお、今回の試行調査で出題された問題の構成や内容は、必ずしもそのまま平成32年度からの大学入学共通テストに受け継がれるものではないという。実際の大学入学共通テストの問題構成や内容などがどのようなものになるかは、今回の試行調査の解答状況等の分析を踏まえて検討する。また、平成30年度は「大学入学共通テスト」の試験会場となる大学を実施会場として、問題作成や採点方法に加え、試験の実施運営などを含めた総合的な検証を行う予定。
《黄金崎綾乃》

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