教育の職人たちが作る本格派映像授業「学研プライムゼミ」

 学研が2年前から高校生を対象に始めた「学研プライムゼミ」は、いつでもオンラインで学習できる映像授業である。すでに多くの学習塾がオンライン授業を行っているが、なぜ学研が映像授業の配信を始めたのだろうか。

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左から、学研プラスの難波大樹氏、金谷敏博氏、メディアオーパスプラスの圓林真吾氏
  • 左から、学研プラスの難波大樹氏、金谷敏博氏、メディアオーパスプラスの圓林真吾氏
  • 学研プラス 取締役の金谷敏博氏
  • 学研プラス 高校教育コンテンツ事業部 事業推進チームリーダーの難波大樹氏
  • メディアオーパスプラス 取締役COOの圓林真吾氏
  • 左から、メディアオーパスプラスの圓林真吾氏、学研プラスの難波大樹氏、永野初美、金谷敏博氏
  • 学研社内にあるスタジオには、黒板や電子黒板、書画カメラも用意され、各講師の授業スタイルに合わせた映像制作を行える設備が整っている
 幼いころから、学研の知育玩具や学習教室、学習参考書で学んだ人は多いだろう。その学研が2年前から大学受験生を対象に始めた「学研プライムゼミ」は、いつでもオンラインで学習できる映像授業である。すでに多くの学習塾がオンライン授業を行っているが、なぜ学研が映像授業の配信を始めたのだろうか。

 学研プラス取締役の金谷敏博氏、同社高校教育コンテンツ事業部 事業推進チームリーダーの難波大樹氏、同社の映像授業制作、AI・データサイエンスを活用した分析を担っているメディアオーパスプラス(以下、MOP)取締役COOの圓林真吾氏に、学研プライムゼミの特長や映像コンテンツ制作の工夫などを聞いた。

ハイクラスな映像授業を提供する学研プライムゼミ



実績と実力を兼ね揃えた講師陣



 学研プライムゼミは、難関大学への合格を目指す受験生を対象にした映像を中心とする授業である。その講師陣には、人気漫画「ドラゴン桜」のモデルとなった竹岡広信先生やベストセラー「マドンナ古文」シリーズの著者でもある荻野文子先生など、英語、数学、国語、物理、化学、生物、日本史、世界史、地理といった各教科に多彩な実力派講師が揃っている。

 金谷氏は「学研プライムゼミは2年前に開始しました。それまで高校生向けには学習参考書や模擬試験は提供していましたが、映像授業の提供は行っていませんでした。映像授業の配信では後発にあたるわけです。とはいえ、私たちには学習参考書などで培った教育ノウハウと先生方との強いつながりがある。それらを活かして、実力のある先生方の授業を作りたいと考えました。いわゆる有名だとかカリスマだとかだけではなく、受験生を合格へ導いてきた確かな実績のある、実力講師陣にお集まりいただきました。英数国はもちろん、理社の選択科目もまた、超一流の先生方にご登壇いただいています」と説明する。

学研プラス 取締役の金谷敏博氏
学研プラス 取締役の金谷敏博氏

 なお、2018年3月末現在の講師陣は、英語では竹岡広信先生、前田稔和先生、スティーブン・リッチモンド先生、数学では五藤勝己先生、小山功先生、鹿野俊之先生、現代文では池上和裕先生、古文では荻野文子先生、物理では高橋法彦先生、化学では鎌田真彰先生、橋爪健作先生、生物では山川喜輝先生、日本史では野島博之先生、世界史では斎藤整先生、地理では村瀬哲史先生である。

難関大に合格するためのオリジナルコンテンツ



 学研がもつ教育ソリューションのノウハウを活かしつつも、映像授業は、既存コンテンツを使ったものではなく、すべて新しく作成したオリジナルだという。学研プライムゼミの難関大講座は、1講座90分の授業映像に加え、テキスト冊子、Webテストも用意されているが、それらももちろんオリジナル。講師自身が執筆している。

 金谷氏は「映像、テキスト、テストのいずれもすべて学研プライムゼミのために新しく作ったものです。各科目あるいは講師ごとに担当編集者がついて、企画、撮影、チェックまでトータルで行っています。公式ホームページで会員登録していただければ、無料で1講座を受講できますので、ぜひ本物の授業を体験していただきたいですね」と語る。

 受験生として気がかりなのは、2020年度の大学入試改革への対応だろう。新テスト(大学入学共通テスト)は、現在の高校1年生から対象となる。この新テストへの対応にも注力しているという。

 難波氏は「これからの入試では、思考力・判断力・表現力がより重視されます。学研プライムゼミには、これらの力を育てる指導ができる先生方をお迎えしていますし、すでに新テストの試行調査の解説動画を公開しています。センター試験が新テストに変わっても、学研プライムゼミは大学受験対策の強い味方であり続けます」と自信を見せる。

学研プラス 高校教育コンテンツ事業部 事業推進チームリーダーの難波大樹氏
学研プラス 高校教育コンテンツ事業部 事業推進チームリーダーの難波大樹氏

MOPの協力で多彩な授業スタイルの映像化を実現



クオリティーを保ちながら続々新コンテンツを配信



 現在では、社内に撮影スタジオをもち、ハイクオリティーのコンテンツを配信している学研だが、学研プライムゼミの立ち上げ当初は映像コンテンツ作りの経験がまったくなかったのだという。そこで、学習塾、学校、企業研修などの映像コンテンツ制作で実績のあるMOPと一緒にスタジオの構築から始め、映像授業を作り上げていった。

 MOPの圓林氏は「塾の講義映像に関しては、私たちは年間数千本ものコンテンツの撮影から配信までを行ってきました。そうした実績を活かすことで、講義映像を迅速に一定の品質で作っていくという学研プライムゼミさんの課題をクリアし、成功に向けたお手伝いができたのではないかと自負しています」と語る。

分業制でクオリティーとスピードを保持



 2年前に始まった学研プライムゼミだが、現在も新コンテンツが続々と作られ、配信されている。しかもほとんどが1講座90分にも及ぶ本格的なオリジナルコンテンツである。「現在も、毎月50本ほどの新作を作っていまして、すでに1,365時間(2018年3月末時点)ものコンテンツになっています」(難波氏)

 これほどたくさんのコンテンツ制作を迅速に行うには、学研側、MOP側ともにさまざまな工夫があるに違いない。その工夫の1つに、内容に責任をもつテキスト編集と撮影を学研が行い、映像の編集をMOPが担当するという、分業制にしている点があげられる。

 金谷氏は「学研の担当者は、これまで本を作っていたメンバーなので、ゲラ(原稿を編集・デザインして校正用に印刷したもの)に赤字を入れて印刷会社とやりとりするように、映像授業のテキストや映像内容も編集しています。すべての映像の制作進行状況もMOPさんのシステムで見える化されており、校正指示もクラウドベースです。本が映像に置き換わったと考えると、これまでと同じようにスムーズな作業が行えます」という。

 圓林氏は「学習参考書、模擬試験を作るという教材制作に圧倒的な経験値をもった学研さんの編集者が、映像内容もテキスト、テストもトータルでプロデュースしているというのは先進的ですし、それが圧倒的な品質を保つことにつながっているのだと思っています」と学研プライムゼミの品質の高さの秘密を説明してくれた。

メディアオーパスプラス 取締役COOの圓林真吾氏
メディアオーパスプラス 取締役COOの圓林真吾氏

講師によって異なる授業スタイルを映像化



 学研社内にあるスタジオには、最新のカメラがずらりと並んでいる。「スタジオには4Kカメラを複数台用意させていただきました。インターネット配信では、学研さんはスマートフォンやタブレット等でもストレスなく視聴できるように最適化していますが、未来を見据えて、いつでもテレビ並みの映像配信ができるスタジオ環境になっています」(MOP圓林氏)

 また、撮影スタジオには、6mの黒板や電子黒板、書画カメラも用意され、各講師の授業スタイルに合わせた映像制作を行える設備が整っている。「黒板だけで授業される方、電子黒板を併用される方、書画カメラを使われる方など、先生によって授業スタイルが異なります。その授業の魅力をそのまま映像化するため、MOPさんと密に連携しながら制作を行っています」(難波氏)

 生徒がいない、無人のスタジオでの撮影だからこその工夫もある。たとえば、クロマキー合成(撮影時の背景をグリーンやブルーにすることで、編集時、背景に映像を合成しやすくする手法)の利用やCGとの合成といった映像手法を取り入れることも、映像コンテンツのクオリティーを上げる方法としてMOPでは対応可能だ。しかし、クリエイターが1本ごとにCGを加えていくスピード感やコスト感では、求められる膨大な数の授業の映像化は難しい。MOPの強みは、多彩なコンテンツを一斉に作り上げていくためのライン化ができることにこそあるという。

 「MOPでは、多様な映像をひとつひとつライン化して仕様書を定め、まるで工場で製品を作るように一斉に作っていきます。こうしたラインの設計、仕様の設計を多彩なコンテンツごとに行い、『カイゼン』をまわし続ける、これこそが私どもの強みです。そこで、『スケールのある』かつ『一定の品質が求められる』、しかも『納期が短い』という学研プライムゼミさんのご要望を満たすことができるのだと考えています」(MOP圓林氏)

データサイエンスの活用でブラッシュアップ



 MOPはまた、映像制作だけでなくAI・データサイエンスを提供する会社でもある。受験生がより使いやすく、学習効果の高いものにしていくためにアンケート回答結果や受講パターン・受講履歴の分析データを学研に提供。学研では、より効果的な講座、カリキュラムの作成に活かしている。

 「映像コンテンツを作って終わりではなく、既存の講座がどのように受講されているのかを分析し、さらにブラッシュアップしていきたいと考えています。たとえば、〇〇講座の後に△△講座が受講されることが多いとわかれば、この2講座をセットにして受講しやすくしよう、といった受講者の利便性を向上させることができます。また、映像コンテンツの課題発見にも役立てています」(難波氏)

 「企業へのAI・データサイエンス導入については、注目されているものの、純粋な統計学やAIテクノロジーと実務を理解して意思決定に利用されている企業はまだ少ないと思います。私どもは、従来の経験と勘の世界から、数字をもとにした武器を、安価にご提供したいと考えています。統計学を理解し、最新のAIテクノロジーを理解したうえで、最高の学びを追求するAI・データサイエンスを提供していきます」(MOP圓林氏)

左から、メディアオーパスプラスの圓林真吾氏、学研プラスの難波大樹氏、永野初美、金谷敏博氏
 いつでもどこでも何度でも学習できるオンラインによる映像学習の活用は、もはや珍しいものではなくなっている。学研プライムゼミは後発だが、そのスタンスは、長年「教育」を手掛けてきた学研らしく、奇をてらわず、学びの王道をいくものだった。まさに教育の職人たちが、熱意を込めて作り上げているオンライン予備校だと感じた。

(提供:メディアオーパスプラス)
《渡邊淳子》

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