【高校受験2019】都立難関を突破する…SAPIXに聞く夏休みの過ごし方

 東京都立の進学指導重点校(日比谷・西・戸山・青山・国立・八王子東・立川)は、難関大学への合格実績も高いことから人気が続いている。自校作成問題の復活をはじめとする都立入試の傾向について、SAPIX中学部教育情報センター部長の高橋淳氏にインタビューした。

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SAPIX中学部教育情報センター部長の高橋淳氏
  • SAPIX中学部教育情報センター部長の高橋淳氏
  • SAPIX中学部教育情報センター部長の高橋淳氏
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 東京都立の進学指導重点校(日比谷高校・西高校・戸山高校・青山高校・国立高校・八王子東高校・立川高校)は、難関大学への合格実績も高いことから人気が続いている。そのなかでも日比谷高校・西高校は、最難関校であり、自主性を重んじる独特の校風にも特徴がある。

 これら進学指導重点校は、平成30年度(2018年度)入試より英数国の入試問題を、2014年度から4年間続いたグループ作成問題から自校作成問題に戻した。自校作成問題を通じて各校のカラーを打ち出すことで、求める生徒像を明確にする目的もある。

 今回はSAPIX(サピックス)中学部教育情報センター部長の高橋淳氏に、2018年度の都立高校入試の振り返りや、進学指導重点校の自校作成問題の傾向と2019年度入試に向けた対策、夏休みの過ごし方について聞いた。

「基礎的な力」が問われた2018年度の都内高校入試



--2018年度の高校入試では、都立全校や私立を含めて全体的にどのような傾向があったのでしょうか。

 まず都内の私立高校を含めた全体的な傾向をお伝えすると、英語に関しては文法問題や語彙などの基本的な部分を問う出題が目立った印象です。英語の4技能(聞く・読む・話す・書く)の重要性が昨今叫ばれていますが、現状、特にそれを意識した出題は増えていません。文法や語彙などの基本的な部分をしっかりと学習することが大切というメッセージだと思います。

 数学に関しては、こちらも英語と傾向が似ていて、典型・標準問題の出題が目立ちました。結果を見てみると、難関の私立校(開成、豊島岡女子など)も前年より平均点が高くなりましたが、これはやはり基本的な力をしっかりと身に付けているかどうかが問われていて、日頃の丁寧な学習が点差にも繋がっているように思います。

 国語は全体的な傾向として記述問題が増えています。そのなかでも意見や解決策といったものを、自分の考えとして記述させる問題が多く見られました。与えられた文章や資料などを読み解き、根拠に基づいて論理的に記述を展開する問題が相当数の学校で出題されました。これは2020年に控える大学入試改革に通じるものだと予想されます。

SAPIX中学部教育情報センター部長の高橋淳氏
画像:インタビューに答える高橋淳氏


自校作成問題により進学指導重点校が難化



--都立の進学指導重点校に限った場合、どのような傾向があったのでしょうか。

 進学指導重点校については、自校作成問題が復活したことで都内の高校入試全体とは少し異なった傾向が見られました。ほとんどの学校で難しくなったといえるのではないでしょうか。

 英語に関しては、自校作成問題のなかで自分の意見を考えて記述させる問題が増えました。たとえば、日比谷高校はやはり記述問題が増えたことで難化したといえます。具体的な出題例としては、「英語を上手に話せるようになるためには何が重要か」というテーマについて、2つの方向性からの意見をそれぞれ20文字以上の英語で書くといったものです。文法や基本的な語彙に加えて、英語の内容を理解できるか、英語で表現できるかを重視する傾向が見受けられます。

 西高校も自校作成問題で長文を増やしたため、長文総語数は3,000語を超え、早慶よりも多い量です。他の進学指導重点校と比較しても、もともと長文の語数は多かったのですが、自校作成問題で長文を1題増やしたためにさらに増えた結果です。大学入試では3,000語の長文読解が合格に必要な最低ラインといわれていますから、大学進学を見据えた西高校からの特徴的なメッセージだと思います。

 その他の進学指導重点校では、八王子東高校で「将来実現して欲しい科学技術をひとつあげ、その理由を40~50語の英文で記述しなさい」という出題がありました。進学指導重点校の英語は、自校作成問題が復活したことにより、大学入試改革から逆算したともいえるような、こだわった出題が多くなった印象があります。

 国語に関しても、都内の私立高校を含んだ全体の傾向と同様ですが、大学入試改革に通じる論理的な考え方を問うような記述問題が増えているように思います。

大学入試改革に向け英語の「話す」力を問う動き



--大学入試改革の影響によって、都立高校の入試は今後どのように変わる可能性があるでしょうか。

 2020年度に実施される大学入試改革のなかでも特に注目されているのは、英語4技能の評価に外部の資格や検定試験が活用されることです。

 今後、こうした大学入試改革の影響を受けて、全国の公立高校入試においても同様に民間の資格や検定試験を活用する例が増えるのではないでしょうか。実際、大阪府ではすでに「英検」「TOEFL iBT」「IELTS」の3種類におけるスコアの換算を入試制度に導入しています。

 この流れにあって、東京都も都立高校の入試制度にスピーキング試験の導入を検討しています。早ければ、現在の中1生の高校受験のタイミングでスピーキング試験が実施される可能性もあるといわれています(2017年12月14日に東京都教育委員会が公開した「東京都立高等学校入学者選抜英語検査改善検討委員会報告書」より)。

 大学入試改革の影響が少なからずあるなかで、2019年度の都立高校入試の英語の出題を予想すると、実際のスピーキング試験はないとしても、話すことを意識した発音などに関する出題の可能性があるのではないかと思います。

進学指導重点校の志願者動向には変化なし



--進学指導重点校の自校作成問題の復活によって、2018年度の志願者動向には何らかの影響がありましたか。

 2018年度の入試では、都立高校の全日制の応募者数が私立高校の実質無償化の影響で前年よりもおよそ3,000名減少したという報道が話題になりました。

 しかし進学指導重点校だけを見ると、自校作成問題を導入したにもかかわらず、受験者数は減少していません。過去の動向を振り返っても、調査書点の配分が大幅に変更された2016年度入試は受験者数を減らしましたが、それ以降2017年度、2018年度と受験者数は大きく変わってはいませんね。私立高校の実質無償化や自校作成問題の復活による試験問題の難化という懸念材料はありつつも、受験生が進学指導重点校を回避することはなかったといえるでしょう。進学指導重点校のなかでも難関の日比谷・西に関しては、特に、合格に対する熱意や憧れ、「絶対に合格する」という明確な意志を持って志望する生徒の傾向が強く、大学入試改革や出題傾向の変化をものともしない、変わらぬ人気が見てとれます。

自校作成問題は過去問による対策が重要



--自校作成問題の対策をするには、どのような方法がありますか。

 日比谷高校の場合、自校作成問題の導入によって英語・数学・国語すべてで平均点が下がっていますから、数字上でも確かに難化したといえるでしょう。

 進学指導重点校のなかでも、特に難関である日比谷・西・国立・戸山の4校の自校作成問題への対策としては、2014年のグループ作成問題以前に実施されていた、2013年までの自校作成問題の過去問に取り組むことが重要となります。自分の志望校1校だけではなく、他の難関校で実施された過去の自校作成問題を解くことや、難関国立大附属高校の過去問題を解くことも有効な対策となるでしょう。

 自校作成問題の過去問に集中して取り組むには、SAPIX刊行の「都立日比谷・西高校 入試予想問題集(リスニングCD付き)」が役に立つと思います。自校作成問題をSAPIXが独自に分析した実践的な問題集となっています。

 また上位4校以外の進学指導重点校における自校作成問題への対策は、グループ作成問題の過去問題に取り組むことが基本となります。

SAPIX中学部教育情報センター部長の高橋淳氏
画像:インタビューに答える高橋淳氏


学習量を確保できる「夏休み」が勝敗を決める



--2019年度受験生に向けて、夏休みを通じて成績をアップするためのアドバイスをお願いします。

 中3生にとっての夏休みは、まとまった時間を確保することができる、最後にして最大の機会です。24時間から普段どおりの食事や睡眠の時間を差し引き、さらに休憩時間を取っても、ある程度の学習時間が確保できると気付けるはずです。もちろん個人によっても異なりますが、なかには1日10時間超の学習時間の確保が可能となる場合があります。いかに無駄な時間をなくし、食事や睡眠などは削ることなく集中して学習できる環境を作ることが非常に大切です。そのためには、学習に集中できる環境をSAPIXの教室に求めることも可能ですし、保護者の協力のもと自宅で進めることもよいでしょう。

 今までの実績を振り返ると、SAPIXのアドバイスをベースに夏休みの時間管理を実行した生徒が、秋の公開模試の結果に繋がるケースも数多く見受けられます。24時間のなかでの学習時間の確保を前提としたうえで、自分の現状を正確に把握してから学習を進めることは、大切な視点です。9月以降に志望校対策に入るには、夏休みはその前段階の基礎学力を完成させる時期ともいえます。その意味で、夏休みは苦手科目と向き合う最後のチャンスともいえるでしょう。学習の理解度や進捗は個人によって異なりますので、SAPIXでは個人の苦手な教科・苦手な単元を細かく分析したうえで、個別に夏休みのアドバイスを行っています。

 進学指導重点校、特に上位の日比谷・西を目指すのであれば、自己管理の大切さはもちろんのことですが、「自分は国立大学附属高校や私立難関校も含めて、最高峰を目指す」という気概を持って臨んでほしいと思います。

 志望校選びについては、遅くても夏休み明け、できれば夏休み前までにどこの学校を見据えるかを決めた方が望ましいです。なぜなら、早い時期に志望校が決まった生徒ほど、その目標に向けて早めに勉強を開始することができるからです。

得意科目を足場に、苦手科目も大きく飛躍を



--受験本番まで残り1年を切ってから、成績を大幅に上げた生徒の事例はありますか。

 何名か思い浮かびますが、特に成果を出した例では、中2生の段階でSAPIXの基礎クラスで勉強していた生徒がいますね。基本的な性格としては、努力ができて、こちらが言ったことをしっかりとやってくる生徒です。それまでは部活に熱中する生活で、夏休みから本腰を入れて学習を始めましたが、まず得意科目の英語が伸びてきました。宿題をコツコツとこなすうちに点数が伸びる科目が出てくると、「やればできる」という自信が徐々についていきます。努力の成果が目に見えることで、次のやる気に繋がるんですね。

 その生徒は、中2生の段階では志望校を私立の上位校に設定していましたが、中3生への進級時には難関校を目指すようになり、最終的には最難関校の日比谷高校や筑波大学附属高等学校、開成高校に見事合格しました。

 成果に繋がったポイントとしては、英語という得意科目を足場にしたことです。得意科目をしっかりと伸ばしたことで、数学などの苦手科目の学習のモチベーションを維持でき、克服に繋がった好例だと思います。SAPIXに寄せられた合格体験記にも、本人からは「部活を引退した後の夏休みに集中的にやって成果が出てきた」といった声や、保護者も「ターニングポイントは夏休みだった」という声が出ていたと思います。SAPIXで夏休みのまとまった時間に集中して苦手科目に取り組むというアドバイスが功を奏したのではないでしょうか。

 夏休みの取組みだけでなく、日頃SAPIXから提供している、これをやっていけば大丈夫だという宿題を、粘り強くあきらめることなく継続してこなしていくことも基礎にあったように思います。特に、この生徒は、ノートの書き方などを見ても、勉強の仕方が丁寧だった印象がありますね。

合格へのこだわり、そして社会に出ても通用する力の習得へ



--最後にSAPIXの特長についてお教えください。

 SAPIXは進学塾なので「合格させること」が創業以来の第一の目的としていますが、その一方で、高校進学や大学進学だけでなく「社会に出てからも通用する力」を身に付けることも目指しています。

 昨今、教育改革や大学入試改革では社会環境の変化に伴って、知識を活用するための思考力・判断力・表現力や英語4技能の習得、課題発見・解決力の向上などが表立って取り上げられていますが、これらはSAPIXのこれまでの理念とも通ずるものです。時代の要請がSAPIXの理念や方針にそぐうものになってきたようにさえ感じています。

 生徒ひとりひとりに適切な学習をアドバイスすることにも日常から力を注いでいます。生徒が客観的に自己分析をすることはなかなかに難しいと思います。SAPIXでは、在籍する数多くのプロフェッショナルが、長年の実績や経験、分析などの客観的な指標に基づいて、その生徒個人にとって適切な課題や目標を提示しています。その課題を本人が着実にこなしさえすれば、自ずと必要な力が身に付き、学習の成果が出る実感と、次へのやる気が生まれていくのではないでしょうか。

--ありがとうございました。

 SAPIX中学部Webサイトでは、夏期講習の詳細な学習内容が確認できるほか、都立高入試関連の情報も豊富に掲載されている。都立入試制度の説明や講師へのインタビュー、都立入試の用語集、Q&Aやデータベースなどと、さらにコンテンツが充実。有益な情報がたくさん詰まった、生徒の「合格体験記」や保護者の「保護者体験記」については、ぜひ冊子版でじっくり読むことをおすすめする。都立高校入試についてわかりやすく解説した特集記事「初歩から分かる、都立高校入試の仕組みと対策」の掲載も掲載。また、「SAPIX中学部YouTube公式チャンネル」にて日比谷高校・西高校に特化して入試データを分析した動画も公開している。

 情報誌「SQUARE(スクエア)」は、卒業生インタビューや高校紹介、学習アドバイスなどのリアルな情報が志望校選びにも役立つと好評で、6月20日には号外として「都立高校特集」が発刊される。SAPIX中学部ホームページより無料にて請求できる。

 SAPIXでは、2019年度入試に向けてさまざまなイベントの開催を予定している。2018年の高校受験夏期講習は、7月25日(水)に開講する。夏期講習からの入室であってもキャッチアップできるようにサポート体制が用意されているのは心強い。これまで部活等で十分な学習時間がなかったが、あきらめずに難関校を目指したい場合は、近くのSAPIXに相談するのもよいだろう。公開模試「サピックスオープン」についても中学3年生対象の7月1日(日)、中学1~3年生対象の9月16日(日)をはじめ順次実施予定だ。

2018年 高校受験夏期講習
対象:小学6年生、中学1~3年生
開講:2018年7月25日(水)
入室テスト:2018年6月23日(土)、7月7日(土)、7月16日(月・祝)

2018年度 公開模試スケジュール
2018年7月1日(日):第2回 サピックスオープン(中3)
2018年9月16日(日):第3回 サピックスオープン(中1~3)
※このほか、日比谷高校・西高校、国立大学附属高校、難関私立高校対象の学校別入試プレも実施される
《佐久間武》

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