【高校受験2019】神奈川公立入試は思考力・判断力・表現力が必要…湘ゼミに聞く夏休みの過ごし方

 夏休みを控えた受験生たちへ。横浜翠嵐高校、湘南高校などの難関校をはじめとする神奈川県公立高校入試について、2018度の振り返り、そして2019年度の傾向予想や対策を、横浜市内公立旧学区トップ校の合格者総数No.1を誇る湘南ゼミナールの金澤浩氏に伺った。

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湘南ゼミナール・金澤浩氏
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 風にそよぐ緑鮮やかな街路樹にさわやかさと、夏の足音を感じる季節。夏休みを控えた受験生たちへ、今一度情報を整理しておきたい。

 横浜翠嵐高校、湘南高校などの難関校をはじめとする神奈川県公立高校入試について、2018年度の振り返り、そして2019年度の予想や対策を、横浜市内公立旧学区トップ校の合格者総数19年連続No.1を誇る湘南ゼミナールの教務支援部長の金澤浩氏に聞いた。

湘南ゼミナール・金澤浩氏
インタビューに答える湘南ゼミナールの金澤浩氏

記述問題が減り選択問題が増えるも難化



--2018年度の神奈川県公立高校入試の振り返りとして、出題傾向について教えてください。

 全体的に記述問題の設問数が減りました。短い記述問題が数問と、選択問題を中心にした出題構成です。選択問題メインの出題になると、難度が下がる傾向にありますが、2018年度に関してはむしろ難化しました。社会に関しては全県平均で12.7点も下がったほどです。必要な知識内容自体は変わりませんが、複数の知識を組み合わせて解く問題、いくつかのステップを踏まないと解答を導けない問題、問われ方自体が難しい手の込んだ問題が多くありました。初見の問題で戸惑った受験生も多かったのではないでしょうか。神奈川県は首都圏の他県に比較しても、社会・理科の難度が高いのが特徴です。

--面接について、2018年度の傾向はどのようなものでしたか。

 面接は例年どおり、全校において実施されました。受験生1人に対して面接官2~3名で行うという、形式も変更はありません。学校ごとに、面接における評価項目が公表されており、それに則して評価される仕組みです。今一度確認しておくと、神奈川県立高校では、内申点(学校の成績)と学力検査(入試の得点)、面接の3つの合計点数で合否が決まります。そしてこの3つは、学校によって比率を変えることができ、その内訳も県より公表されます。面接により差をつける学校もあれば、そうでない学校もありますので、湘南ゼミナールでは入試後に塾生へのヒアリングを行って独自の詳しい分析を進めています。評価項目や比率は年により変動しますので、しっかり確認しておくことが重要です。

難関校と特色校の2つの人気傾向



--2018年度入試の人気校の傾向を教えてください。

 2つの傾向がありました。まずひとつは、従来どおり、横浜翠嵐高校・湘南高校・横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校などの公立難関校です。2020年の大学入試改革を視野に入れたときに、大学入試がたとえ大幅に変わったとしても、それに耐えうる教育をしてくれるだろうという安心感があるようです。

 一方で、特色のある教育を展開している学校も人気があります。たとえば「学力向上進学重点校」。大学合格実績だけでなく、先進的な授業の実施や英検2級の合格率など、5つの項目をクリアすることで神奈川県から指定を受けることができるものです。横浜翠嵐高校や湘南高校は、この「学力向上推進重点校」にも認定されていることも人気の理由といえます。2018年3月には柏陽高校や厚木高校も認定され、今後はこの2校も人気校になることが予想されます。そのほか、特徴的な教育という観点で人気傾向を考えると、プログラミング教育に熱心に取り組んでいる住吉高校や、アントレプレナーシップ教育を取り入れている元石川高校も比較的高い倍率で受験者が集まっています。

--神奈川県内の新しい動きについて教えてください。

 私立校ではありますが、法政大学女子高校が法政大学国際高校となり、共学化されました。2016年度に共学化した法政大学第二中学校・高校の反響があまりにも大きかったので、今回の共学化に関しても注目していましたが、結果的にさほど大きなインパクトはありませんでした。共学化による変化としては、偏差値が1~2ポイント上がったことと、国際バカロレアコース新設により、英語教育に興味を持つ生徒が集まったことでしょうか。

 共学という点で、2018年度もっとも話題になったのは桐蔭学園高校です。神奈川県では、全体的に志願者に共学志向が強いことから、共学化に踏み切る学校が増えています。以前まで1・2年生は別学(3年のみ併学)であった桐蔭学園ですが、2018年度から入学時から男女共学となったことで倍率が大きく上がりました。同時にコース編成も、理数・普通コースからプログレス・アドバンス・スタンダードの3コース再編したことで、マンモス校でありながら個々の学力に沿った教育システムを展開していることが志願者にも伝わったようです。

 国際バカロレアについては、公立でも動きがありそうです。横浜国際高校では2019年度からコースを新設し、募集を行う予定です。東京都立国際高校の例からも伺えるように、神奈川県の公立校にもコースが新設されるとなると人気の集中が予想されます。

特色検査で問われる力は「思考力」「表現力」が鍵



--難関校で実施をされる特色検査について、2018年度の傾向もあわせて教えてください。

 特色検査には、実技検査と自己表現検査の2種類があります。実技検査はスポーツ科や美術科などの専門学科で実施され、専門分野のスキルを測るものになっています。一方、自己表現検査は公立難関校を中心として16校で実施されています。その自己表現検査について、特に人気の高い3校の傾向をお話しします。

 まず、横浜翠嵐高校に関しては、平均点が15点程度上がり易化しましたが、それでもレベルの高い検査でした。出題されたのは短い文章題3問で、理解力・思考力を試す内容でした。表現力はあまり問われなかった印象です。湘南高校は、例年どおり特に大きな変化はありませんでした。実技科目も含めた9科目の豊富な情報量から、自分で考えて答えを導き出す問題です。横浜国際高校については、10分間の英問英答で、英語でのコミュニケーション力・表現力が問われました。2019年度の国際バカロレアコース新設に伴い、形式も変わる可能性があります。英語で書く、英語で読むといった総合的な英語力を身に付けておく必要がありそうです。

--高校入試において、2020年に控える大学入試改革の影響が感じられることはありますか。

 はい。知識・技能だけでなく、ますます思考力・判断力・表現力が必要になってきたと感じます。中高一貫校が増えてきたことで、中学入試の動向も分析を進めているのですが、中学入試でも同じような傾向があり、算国理社のほかに、思考力試験や適性検査を行う学校が増えています。そのため中学入試を経験している生徒は、思考のテクニックが身に付いているという点で、高校入試にも有利になるかもしれません。

 中学入試、大学入試で起きつつある変化が、じんわり高校入試に伝わってきているように思います。とりわけ理科・社会の問題で先駆けて影響がみられます。

直近の過去問で高難度の出題パターンに慣れる



--それを踏まえて、2019年度入試予想と対策を教えてください。

 難関校を受験するのであれば、それ相応の対策が必要となります。以前から理科・社会の2教科については、全国的にみて神奈川県の入試はレベルが高かったのですが、それにも関わらず2018年度さらに難化しました。今後も易化することなく難しいまま推移すると想定して、2018年度の過去問をベースに学習することをお勧めします。

 英数国については、現状大きな変化はないように思いますが、今後大学入試改革の影響で手の込んだ出題がされる可能性があります。その場合、神奈川県の過去問を解くだけでは対策しきれないため、他県の過去問を利用するのが効果的です。大阪府が実施しているA・B・C問題のうち、C問題はかなりレベルが高いので参考になると思います。その他、首都圏の公立高校で独自入試を実施している学校の過去問をモニタリングするのもよいかもしれません。選択肢の作り方や、問われ方次第でぐっと難度が上がりますので、あらかじめひねった問題に目を慣らしておくことで心の準備ができますね。

湘南ゼミナール・金澤浩氏
インタビューに答える湘南ゼミナールの金澤浩氏

夏休みには、受験シーズン本番前の基礎固めを



--夏休みまで約1か月となりました。夏の過ごし方についてアドバイスをお願いします。

 夏休みで部活を終える生徒が多いと思います。今まで打ち込んできた部活が終わり、時間が豊富に確保できる初めての時期、時間はできたけれど何から手を付けたらよいのかわからず、呆然としてしまう人も多いかもしれません。

 やみくもに勉強をするのではなく、次の2点を守って取り組んでみてください。まずひとつは、毎日きちんと学習時間をとること。部活していた分の1時間、2時間だけでも構いません。もうひとつは、復習をすることです。受験が近づいてくると、つい焦って次々と先の内容に取り組みたくなってしまいますが、まずは過去に受けた定期テストをすべて見直してみてください。点数を取れた回、取れなかった回それぞれの問題を復習するうちに、自分の得意・不得意がみえてくるはずです。まとまった学習時間がとれる夏休み、学習のリズムを整えながら、じっくり復習に取り組むことがお勧めです。

--受験本番まで1年を切り、成績を上げた例がありましたら教えてください。

 個々の事例というよりは、総合的にみて成績が伸びやすい生徒の傾向をお話ししますね。大きな特徴が3つあると思います。まずは、志望校が明確になっていることです。目標があるため、なぜ勉強をしなければいけないかが明確になり、多少困難なことがあっても折れることなく努力を継続できます。ふたつめは、中2までの内容に不安がないことです。現状不安のある人も、この夏休みを使って苦手単元の分析と克服に取り組んでみてください。その後の受験勉強がスムーズに進むはずです。最後に、自分の学習のやり方について理解していることです。ただ漠然と問題を解くだけでなく、今何を身に付けようとしているのかを考えて勉強に取り組めるかが大切です。学習方法やスタイルについても自分の特性を把握しておくことで、効率よく時間を使うことができ、直前でも成績を伸ばすことができるはずです。

--家庭での学習についてアドバイスをお願いします。

 特に夏休みは学校がないので、生活リズムが乱れがちです。まずは学習時間を決めて、否が応でもスケジュール化してしまうことがよいでしょう。家の中はテレビをはじめとして誘惑も多いので、家族にも協力してもらうとよいと思います。勉強に取り組む際には、テレビの音量を下げてもらうなど小さな工夫で構いません。勉強モードに切り替わる自分のスイッチを把握しておくとよいですね。

--最後に、貴塾の特長をご紹介ください。

 授業は「QE授業」というスタイルで行っています。個人により理解度や進度が異なる中で、集団指導を行う際の手法として独自に開発したものです。テキストを使用せず、講師が生徒に直接問いかけ、理解度・進度を挙手してもらって確認します。「QE」というのはQuick Exerciseの略で、スピード感・ライブ感のある授業の雰囲気は、生徒からも評価されています。

 また、やる気の出る空間づくりを心がけています。受験は個人競技といわれますが、合格に向かうプロセスはチーム戦だと考えています。授業開始の明るい挨拶から始まり、授業において褒めること、姿勢教育まで、学習する空間全体でモチベーションを高める工夫をしています。湘南ゼミナールでは、そのようなこだわった空間で、講師や仲間に影響を受けながら、合格と「自ら考える力」を手に入れることができます。

湘南ゼミナール・金澤浩氏
湘南ゼミナールの金澤浩氏

--ありがとうございました。


 湘南ゼミナールでは、2019年度入試に向けてさまざまなイベントの開催を予定している。6月16日(土)にパシフィコ横浜で開かれる「全公立展」にもブースを出展し、ブース内にて志望校判定を受けることができる。6月30日(土)に開催する「特色検査説明会」では、神奈川県入試の最新情報や特色検査の高校別特徴解説を行う予定だ。夏期講習は、小学4~6年生および中学1~3年生を対象に7月24日(火)より開講する。また、ホームページ内に「受験コラム」のコーナーを開設し、定期的に受験に有意義な情報や日々の学習についてのアドバイスを発信していく。

【2018年夏期講習】
対象:小学3~6年生、中学1~3年生
※一部の教室では対象が異なる
開講:2018年7月24日(火)

【特色検査説明会】
対象:中学生の保護者
※中学生本人の参加も可能
日時:2018年6月30日(土)10:00~12:00、13:00~15:00
会場:TKPガーデンシティ横浜6階 H会議室

神奈川の高校展2018 全公立展(ブース出展)】
対象:中学生、その保護者
日時:6月16日(土)10:00~15:30(最終入場)
会場:パシフィコ横浜
※入場無料、入退場自由、事前申込不要
《野口雅乃》

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