【高校受験2019】大阪府公立難関校を突破…スピードを意識した夏の学習

 毎年変化を遂げている大阪府公立高校の入試について、気になる受験生は多いだろう。進路選択を控えた受験生たちのために今一度情報を整理すべく、開成教育セミナーの門脇由治氏と藤山正彦氏に、大阪府公立高校入試の特徴と対策を聞いた。

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開成教育セミナークラス指導部・高校受験課長の門脇由治氏と開成教育グループ入試情報室・室長の藤山正彦氏
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 夏の足音を感じる季節、毎年変化を遂げている大阪府公立高校の入試について、気になる受験生は多いだろう。進路選択を控えた受験生たちのために今一度情報を整理すべく、開成教育セミナー クラス指導部・高校受験課長の門脇由治氏と開成教育グループ 入試情報室・室長の藤山正彦氏に、大阪府公立高校入試の特徴と対策を聞いた。

大学入試改革・新学習指導要領を先取り



--大阪府公立高校入試の特徴について教えてください。

 大阪府では、2017年度入試より英語の外部検定を得点化するなど、2020年の大学入試改革で行われるような内容を他の自治体に先んじて実施しています。そのため、2018年度は制度的には大きな変更はありませんでした。2016年度入試より実施している英語・数学・国語の問題形式については、2019年も継続の見込みです。A(基礎的問題)・B(標準的問題)・C(発展的問題)の3パターンが設定され、各高校がどれを選択するかは教育委員会より事前にまとめて発表される仕組みです。また受験日程についても、引き続き後期1本の実施予定です。

--2018年度の各教科の問題の傾向について教えてください。英数国についてはB・C問題を中心にお願いします。

 数学については全体的に易化した印象です。C問題については、例年難関の私立高校よりも難しく得点しにくいといわれていますが、過去問でこれまでの傾向を練習できている生徒にとっては解答しやすい内容でした。通常、計算・関数・平面図形・空間図形がバランスよく出題されます。2018年度の実績でいうと、大問はB問題で4問、C問題で3問、小問はB問題では22問、C問題では17問と例年どおりの設問数でした。ただ、C問題では、ヒストグラムのなかで複数の条件を組み合わせることで解を導く、思考力を問う問題が出題されるなど、実施予定の新学習指導要領に則して新しいスキルを問う問題がみられました。

 英語については、B・C問題ともに2017年度と比べ、2018年度は設問数が微減しました。設問の構成は、B問題については対話文・説明文・課題英作文・リスニング、C問題も整序問題・空欄補充問題・グラフを読み取る長文問題・段落整序問題・説明文の長文読解問題・課題英作文と大きな変更はありませんでした。またC問題については、2017年度から英問英答(英語の問題文に対して英語で答える)形式が継続されていることと、試験時間が30分という短時間であることから、時間配分が高得点への鍵となります。問われている内容の難度がかなり高いものもありますが、部分点を狙って、スピードを意識しながら効率よく解答することをお勧めします。

 国語については、B・C問題ともに作文が大問として独立しましたが、全体的な分量はさほど変わりなく、例年どおりでした。ただ、C問題については新たに漢文が出題されたことで、戸惑った受験生が多かったのではないでしょうか。実際には書き下し文が併記されていたので、古文と同様のスキルで解答することはできました。作文については、いずれも新学習指導要領の影響を感じさせる出題がなされました。C問題では、インターネット使用についての討論の場面を想定し、論拠となる資料やデータを考え、条件に合わせて記述するという複雑な設定が課されました。またB問題でも、インターネット普及についての討論という実用的な場面が設定され、反対意見を考慮することが求められました。プレゼンテーション力・情報活用力が問われた内容だったといえるでしょう。

 理科については、分野は物理・化学・生物・地学がまんべんなく出題されます。2018年度は全体的に易化しました。というのも、近年大きく増加傾向をたどっていた設問数が、2018年度には減少しました。内訳をみると、2017年度入試で点差が開く鍵になっていた計算問題が15問から5問へ、小問も43問から37問に減ったことで点差が開きにくく、時間内に解答しやすい問題構成だったようです。

 社会については、過去数年大きく設問数に変化はなかったが、2018年度には完答形式(完全に正答した場合のみ得点される形式)が例年の5~6問から10問に一気に増加しました。用語記入問題も3問増加したことにより、やや難化したといえるでしょう。出題内容については、地理・歴史とも、特定の地域・時代に絞った問題は見られず、広範囲にわたって広く出題されます。2018年度は、地歴公の3分野の知識を融合した問題の割合が増加しました。よりバランスのよい知識量とそれぞれを関連付けながら考えることが求められています。

捨て問題に惑わされず合格点を狙う



--2019年度の入試予想と対策について教えてください。

 いずれの教科についても、2019年度も傾向が継続すると思われます。志望校のレベルによって多少変わりますが、基本的には中学3年2学期までの内容をしっかり習得し、それ以降11月から受験する高校の過去問演習を行うことが望ましいと思います。過去問は制限時間内に解き、合格点を超えることに注力してください。

 もちろん満点を取ることがベストですが、入試本番における目標は満点を取ることではなく、あくまでも合格することです。「捨て問題」に時間をかけずに、効率よく解答する習慣をつけておくことが重要です。中学校の学習範囲を超えた難度の高い問題でも、問題文にヒントが隠されていますので落ち着いて探しましょう。近年、入試問題における問題文が長くなる傾向があるので、必要な情報をピックアップして理解するスピードを身に付けるとよいですね。

トップ校、文理学科一本化も倍率に大きな変化なし



--人気校や学科について、最近の動向を教えてください。

 府立トップ10校(北野高校・豊中高校・茨木高校・大手前高校・四條畷高校・高津高校・天王寺高校・生野高校・三国丘高校・岸和田高校)に関しては「グローバルリーダーズハイスクール(進学指導特色校)」として指定されており、人気が継続しています。2018年度から全校が文理学科のみの募集となりましたが、多くの受験生がもともと文理学科に出願していたので、これによる大きな影響はありませんでした。2017年度高倍率だった高津高校の倍率が揺り戻しで落ち着くなど、個々の学校での動きはありました。

 また、これらの高校以外にもトップ10校に負けない充実した教育の場を提供したいという先生方の熱意により、伝統を生かしつつ、工夫した教育が展開されている高校もあります。その影響か、2018年度は夕陽丘高校・阪南高校・布施高校なども倍率が高くなりました。

開成教育セミナークラス指導部・高校受験課長の門脇由治氏と開成教育グループ入試情報室・室長の藤山正彦氏
画像:開成教育セミナークラス指導部・高校受験課長の門脇由治氏と開成教育グループ入試情報室・室長の藤山正彦氏


合格可能性にとらわれず、まずは素直な感覚で志望校選びを



--志望校決定の時期や決め方についてアドバイスをお願いします。

 同じ公立高校でも校風や目的は大きく異なります。各校の「アドミッションポリシー(求める生徒像)」として明文化されているので、まずは自分の個性や好みに合わせて素直に学校を選ぶとよいと思います。合格可能性のみで受験校を決めてしまうと、入学後にイメージとのズレが生じてしまいます。そのためにも早い時期から、オープンスクールや説明会に参加することをお勧めします。目標を定めることで、それまでの射程距離を測り、日々の学習のペースを組み立てることができます。

 また、中3生については、公立高校を第一志望に据えている場合にも、併願受験の私立高校の研究を指導しています。併願校を定めておくことで安心感も出ますし、私立の特色ある問題に触れておくことで手の込んだ問題にも対応できる目を養うことができます。例年9月中旬に100校以上の私立高校が集まる「開成進学フェア」が開催されますので、足を運んでみるとよいと思います。

成績アップは、苦手克服とスピード感が鍵



--残り半年での成績アップの秘訣を教えてください。

 高校入試はすべての科目でバランスよく点数を取ることが重要なので、苦手教科により多くの時間と回数を割り振るように計画を立てるとよいでしょう。特に長期休暇には、特別講習を活用して弱点克服に取り組むようにアドバイスをしています。苦手科目への対策は最優先として、理科の計算問題や国語の小論文など、時間との戦いが鍵になる問題についても、一定の時間内に処理しきれるよう、繰り返しトレーニングしておきましょう。

--夏休みの過ごし方のアドバイスをお願いします。

 部活の引退によって、余った時間の使い方がわからなくなる受験生が散見されます。夏休みは多くの中3生が学習面で全力疾走する時期なので、今までより多少努力したつもりでも、追い抜かれてしまうことが往々にしてあります。他の受験生の姿に刺激を受けるためにも、夏期講習に参加したり、塾や学校、図書館などの自習室を利用するなど、あえて一人で勉強しないことを心掛けるのもよいと思います。

--部活等で忙しくて、これから本格的に受験対策に入る方へのアドバイスをお願いします。

 基礎知識がないまま、問題演習を繰り返しても実際のところ何も身に付きません。苦手科目を分析したうえで、その基礎知識や技能を固める時間を多めにとるなど、科目ごとに基礎学習と実践演習のバランスを調整する工夫をしたいところです。

 科目や個人によって異なりますが、学習量を増やしてすぐに成果が出るわけではありません。その成果が模擬試験や実力テストの結果に反映されるのは、数か月ほどかかります。努力は裏切らないと信じて、根気よく学習量を維持しましょう。たとえば、苦手な英語の学習に疲れたら、得意な数学の学習に切り替えるなど、勉強の休憩を勉強でとることで、その分、学習量も担保できます。何もしない休憩時間を極力短くすることで、深夜まで学習時間がずれこまないように心がけ、生活を整えましょう。

--受験生をサポートする保護者の方に向けても、アドバイスをお願いします。

 多くの中3生は、高校受験が生まれて初めての入試になります。本人には気づかぬうちに大きなストレスがかかっていますので、保護者の不安な気持ちを子どもにぶつけてはいけません。実力テストの点数に一喜一憂するよりも、時間管理と栄養管理を第一に考えて寄り添うことが大切です。

--ありがとうございました。
《野口雅乃》

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