4技能を徹底習得「郁文館」6年間のグローバル教育とは

 先の見えない現代社会を恐るか、期待を感じて挑戦するか。夢を実現するためのツールとして学力・グローバル力・人間力の向上を目指すのが郁文館だ。とりわけ注目を集めているグローバル教育を中心に、夢教育推進部の堀切一徳先生、在学生の高野愛結さんにお話を聞いた。

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郁文館夢学園・夢教育推進部部長の堀切一徳先生と郁文館高等学校2年の高野愛結さん
  • 郁文館夢学園・夢教育推進部部長の堀切一徳先生と郁文館高等学校2年の高野愛結さん
  • 日常に自然と英語を使う場面があふれている
  • オンラインで海外の講師とつながる「席上留学」
  • 郁文館の6年間を通した中高一貫での学び
  • 郁文館高等学校2年の高野愛結さん
  • 郁文館夢学園・夢教育推進部部長の堀切一徳先生
  • 郁文館高等学校2年の高野愛結さん
  • 郁文館夢学園・夢教育推進部部長の堀切一徳先生
 先の見えにくい現代社会、不安を感じて恐れるか、期待を感じて挑戦するか。それは自分の気持ち次第、日々の心構えや姿勢によって大きく変わる。

 夢を持つこと・追うこと・叶えることの大切さを日常生活で感じながら、そのためのツールとして学力・グローバル力・人間力の3つの力の向上を目指すのが、郁文館夢学園だ。

 とりわけ、中学卒業までに英検2級もしくはクラスにより準2級合格確約、充実した留学制度、「席上留学」など、ユニークな英語教育プログラムが注目を集めている。緑から差し込む強い陽射しを感じながら、2018年7月のある日、文京区にあるキャンパスを訪ねた。

 お話を伺ったのは、教科主任会を統括する夢教育推進部・部長の堀切一徳先生、そして在学生代表として郁文館高等学校“e”特進クラス2年生の高野愛結(あゆ)さん。中高6年間の教育・学びについて、それぞれの立場から教えていただいた。

全員に英検準2級以上取得を約束!真剣勝負の英語教育



--昨今、御校はグローバル教育で注目されていますね。その理由を教えてください。

堀切先生:郁文館は、明治22年に創立し、来年の2019年には創立130周年を迎えます。「真に役立つ国際人の育成」を建学の理念として設立され、明治時代よりグローバル教育には力を入れてきました。

 もちろん、語学だけできても、世界で活躍できるグローバル人材とは言えません。教科学習としての英語教育だけでなく、中高6年間の在学中さまざまな機会を提供して、海外の人たちと臆すことなく英語で会話ができたり、意見交換できる、コミュニケーション力と精神力を育てています。海外大学への進学実績や英検の合格率をみても、学園全体としての取組みが徐々に芽を出し始めていると実感しています。

郁文館夢学園・夢教育推進部部長の堀切一徳先生
インタビューに答える郁文館夢学園・夢教育推進部部長の堀切一徳先生


--活躍できる国際人へのスタート地点となるのが、郁文館中学校への入学ですね。中学校での学びはどのようなものでしょうか。

堀切先生:郁文館中学校には、生徒の学びのスタイルに合わせて「進学クラス」「特進クラス」「グローバルリーダー特進クラス」の3つのクラスがあります。

 すべてのクラスで、2020年の大学入試改革に焦点を合わせ、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能をバランス良く伸ばす授業を行っています。ALT(Assistant Language Teacher=外国語指導助手)は、一般の学校よりも多く、1回の授業につき3人を配置しています。生徒ひとりひとりに目が行き届く環境の中で、生徒がネイティブの英語に触れたり、英語で話す機会を多くつくっています。

 それに加え「グローバルリーダー特進クラス」では週2から3回、Skypeを利用して海外在住の外国人講師とコミュニケーションをとる「席上留学」を行っています。一般的な会話の練習だけでなく、ライティングの添削指導を受けたり、過去問題を共有しながら英検対策のためのリーディングの練習をしたりと、与えられた時間を自分なりにカスタマイズし、今必要な能力の習得に役立てています。さらに、3年次には、ニュージーランドへの6週間の留学を行なっています。現地校1校につき1名のみの派遣を原則に、日本人の知り合いのいない環境で英語力に磨きをかけます。この集中特訓で、コミュニケーション力の飛躍的な伸びを実感する生徒が多いです。

 他校にない特色としては、すべての生徒が中学卒業までに「グローバルリーダー特進クラス」では英検2級以上を、「特進クラス/進学クラス」では英検準2級以上を取得することを確約しています。「確約」ということは、言わずもがな「達成できない生徒をひとりも出さない」ということです。入学時の英語のレベルはさまざまなので、生徒ももちろん大変ですが、私たち教員にとっても非常に高い目標です。各生徒の弱点や学習スタイルを把握しながらの真剣勝負です。

日常に自然と英語を使う場面があふれている
郁文館の日常には自然と英語を使う場面があふれている


--授業以外では、どのような取組みがありますか。

堀切先生:英語4技能は、インプットだけでは到底習得できません。実際に使う、アウトプットの機会が必要です。郁文館での6年間には、そのためのさまざまな仕掛けが散りばめてあります。

 郁文館中学校では、全クラスで定期テストの最終日に「イングリッシュ・シャワー」を開催しています。すべて英語の環境で、外国人講師と一緒に料理をしたり、体育館でゲームなどのアクティビティをしたりと交流します。まさにシャワーのように英語を浴びるイベントです。

 また「グローバルリーダー特進クラス」では、英語ネイティブを副担任として配置し、授業以外でも日常的に英語を話す環境を用意しています。朝礼や終礼で連絡事項を英語で伝達することもあるので、必要な情報を聞き取る力が、否が応でも身に付きます。

 学園全体で年に1回行う「ヤングアメリカンズ」というイベントも人気です。参加必須学年のほか、希望があれば誰でも参加が可能です。ブロードウェイミュージカル俳優の卵であるヤングアメリカンズメンバーから指導を受けながら、3日間かけて英語だけでミュージカルを作り、最後のステージで披露するというものです。どうにか英語で意思を伝えようとする態度が身に付き、英語をツールとして活用して物事を成し遂げる成功体験が、自信や次へのモチベーションにもつながります。

--高野さんは、郁文館中学校を受験した動機はどのようなものでしたか。やはり英語を勉強したかったからですか。

高野さん:受験生のときに見に来た文化祭で、司会をしていた先輩がとてもカッコよかったので、私も司会で文化祭のステージに立ちたい!と思ったからです。残念ながら、当時は英語があまり好きではなかったので、英語のプログラムの多さには正直驚きました。でも、イベントが好きということもあり「イングリッシュ・シャワー」や「ヤングアメリカンズ」などのプログラムに参加するうちに、楽しみながらも「ツールとして英語は必要だ」と気付くことができました。最初の頃はほとんどしゃべれませんでしたが、友達に助けてもらいながら、だんだんと自分でもしゃべるようになっていきました。中学卒業時点では、自分自身でもかなりの成長を感じられるまでになりました。

目的と関心で選ぶ 生徒ひとりひとりがカスタマイズできる6年間



--中学校の学びは高校へどのようにつながっていくのでしょうか。郁文館夢学園の高校について、そのコース編成を教えてください。

堀切先生:郁文館夢学園には、郁文館高等学校郁文館グローバル高等学校の2校があります。郁文館高等学校は「東大クラス」「特進クラス」「“e”特進クラス」「進学クラス」、郁文館グローバル高等学校は「Liberal Arts Track」「Global Science Track」のコースが用意されています。

 中学校同様、英語4技能をバランスよく学ぶプログラムを土台にして、スタディサプリEnglishや、Googleのオンラインプラットフォームなどの最先端のICTツールを併用しながら、効率よく英語力向上を図っていきます。それぞれ特色のあるコースですが、郁文館高等学校の「“e”特進クラス」、郁文館グローバル高等学校の2コースではより英語に特化した教育内容を展開しています。

郁文館の6年間を通した中高一貫での学び
郁文館での中高6年間は自分の目的・関心に合わせてカスタマイズ可能


--一般に中高一貫というと、単純にエスカレーター式に進学する学校も多い中で、高校進学時に、自分自身の関心ある学びや学習スタイルに応じて、コースを選択できるのは魅力的ですね。グローバル教育の観点で言うと、まず郁文館グローバル高等学校では具体的にどのような教育内容が展開されているのでしょうか。

堀切先生:郁文館グローバル高等学校では2年次に、ニュージーランドまたはカナダでの1年間の留学が必須となっています。

 高校のプログラムの中に留学を組み込んでいる学校はほかにもありますが、郁文館グローバル高等学校の大きな特徴は、留学先が「1人1校」ということです。つまり、知り合いが誰もいない環境にひとりで飛び込むことになります。現地の学校では英語を学ぶだけでなく、地域のボランティア活動への参加、フィールドワークなどの実験や研究、現地企業でのインターンシップなどの経験を推奨しています。もちろんサポートはしますが、生徒自身が自発的にプログラムを調べ、関心のあるものに申し込んで、参加することが多いです。留学の後半は、シンガポールで企業見学などを通して、新興国の経済発展の勢いを肌で感じ取ってもらいます。帰国後は、海外大学への進学も視野に入れて、IELTS6.0以上、TOEFL iBT80以上、英検準1級以上取得を目指します。

 2017年度の卒業生の進学実績は、約40%がアメリカ、アジアを中心とする海外大学、他12%が早慶上智ICUに、19%がGMARCHへの進学となっています。

--約40%と言うと、都内進学校の中でも圧倒的な海外進学率の高さですね。学びの成果の裏付けと言えそうです。郁文館高等学校の「“e”特進クラス」は、2017年春に新設されました。カリキュラムの特徴を教えてください。

堀切先生:英語力をもっと伸ばしたいという生徒はもちろん、海外に目を向けつつもより効率の良い留学を望む生徒、部活に専念したいので学校を長期間離れることに懸念のある生徒などのために作られたクラスです。

 UCLAバークレー校をはじめ海外の大学から講師を招いて英語で授業を行う「エンパワーメントプログラム」など、郁文館グローバル高等学校と共通のプログラムを受けることもできます。それだけでなく、夏休みのセブ島留学では、普段「席上留学」で交流している現地の講師たちと実際に対面できる機会もあり、国内・海外でバランスよく学ぶことができます。長期留学でなくても、カリキュラムを工夫し、日本国内で同等の英語力を養える仕組みを整備しました。「“e”特進クラス」の1期生が卒業をするのは2019年度。彼ら彼女らがどのような進路を目指すのか、期待しています。

--高野さんは、今現在、郁文館高等学校“e”特進クラスの2年生ですね。このコースを選択した理由を教えてください。

高野さん:中学3年の夏休みに経験した2週間のフィリピン・セブ島での留学が大きなきっかけです。1日中マンツーマンの授業を受けるのですが、先生は日本語がまったくしゃべれないのです。英語でしゃべるしかない環境に置かれたことで「とにかく英語で話す」という力が身に付きました。英語を身に付けることによって広がる世界とその面白さに気づいたことで、英語力をもっと伸ばしたいと思うようになり、このコースを選びました。新設なので自分が1期生になることへのワクワク感もありました。

郁文館高等学校2年の高野愛結さん
「中学校での経験が高校のコース選択のきっかけになった」と話す高野さん


--今まで受けた授業の中で印象的なものはありますか?

高野さん:「エンパワーメントプログラム」で、ネイティブの先生から起業について学んだことです。もちろん、すべて英語で学びます。その後「東京オリンピックのときに起業するとしたら何をするか」というテーマで、会社の事業内容や、予算やスケジュールも含めた具体的なプロジェクトの内容をグループで話し合い、皆の前で、英語で発表するという2日間のプログラムでした。

 私のグループでは、民泊事業を提案しようとしたのですが「ただの民泊ではつまらない。もっと大胆なアイデアを出して」と先生に言われ、日本語でも難しいのに、それを英語で表現しなければならないことにとても苦労しました。でも、グループで助け合いながら、なんとかプレゼンテーションまでこぎつけたときにはすごく嬉しかったし、達成感がありました。

臆することなく英語で会話する生徒たち



--先生の目線で、これらの取組みからどのような成果が感じられますか。

堀切先生:英語で臆することなく話すことのできる生徒が増えている実感があります。郁文館中学校に入学する生徒は、必ずしも英語が得意なわけではありません。中学に入ってから英語を勉強し始めたというゼロベースの生徒でも、だんだん言いたいことを英語で表現できるようになっていますし、苦手意識のある生徒も、英語を使って仲間とさまざまなプログラムやアクティビティを体験するうちに、そのハードルが低くなっているようです。

 2018年7月現在のデータで見てみると、郁文館中学校の生徒の英検3級取得率は95~100%で、これは公立中学校の全国平均である30%を大きく上回っています。中でも「グローバルリーダー特進クラス」においては、3年次で英検2級を取得している割合が48%。準1級は4名、1級合格者も1名います。学校として明確な目標を立てているので、生徒の英検に対するモチベーションも自然と高まり、期待以上の合格実績を上げることができています(※英検2級・準2級確約制度は、2017年4月入学生より適用)。

郁文館夢学園・夢教育推進部部長の堀切一徳先生
「期待してくれている生徒や保護者へ、より質の高い授業を届けたい」と話す堀切先生


高得点を取ることより「何を学び、何を得たか」を語れる生徒に



--郁文館ではどんな生徒を育てていきたいと考えていますか?

堀切先生:郁文館の中高6年間には、授業だけでなく、体育祭、文化祭などさまざまな学校行事の中で、リーダーシップ、自己表現力、起業家精神など、さまざまな能力を伸ばせる仕掛けがあります。ただ楽しいだけで終わらせず、これらの機会を利用して、自らを成長させていってほしいですね。

 2020年の大学入試改革では、試験の点数の良し悪しだけではなく、中学・高校をはじめ今までの人生で具体的に何を学び、どんな力を身に付けたのかが問われるようになります。本校では、生徒たちの学びを詳しいポートフォリオにまとめる取り組みを始めています。また、生徒たち自らの口で「自分は何を目標とし、何を学んできたか」をしっかり語れるように育てています。

--そんな熱い先生方の指導を受けている高野さん、ずばり郁文館の好きなところはどこですか。

高野さん:学校行事などのイベントがすごく盛り上がるところです。特に文化祭は、自分たちの夢を形にする場でもあり、ファッションショーやダンス、ヘアメイクなど、生徒それぞれが自分のやりたいことを表現できるのです。私も「司会で文化祭のステージに立つ」という入学当初の夢を叶えることができました。

 また、高校1年生が全員参加する「起業体験プログラム」など、郁文館らしいイベントを経験できることも好きなところです。グループごとに社長をひとり決め、自分たちで投資を募って会社を立ち上げ、文化祭に出店します。利益が出たら株主に配当を出し、残りは寄附をする。実際の企業がどのように利益を上げているのか、社会の仕組みがわかりますし、生徒同士の信頼関係も強まって、すごく楽しかったです。

郁文館高等学校2年の高野愛結さん
自らの夢を見つけ、その実現に必要なツールを確実に習得していく6年間がここにある


--将来の夢を教えてください。

高野さん:せっかくこれだけの英語力を身に付けることができたので、将来は英語を生かした仕事をしたいです。具体的には、ブライダル業界で、外国人向けのウェディング企画を考えたり、好きなアーティストの会社に入って海外展開の計画を練ったり、世界に広がる仕事をしたいなと思っています。

--堀切先生、郁文館夢学園の今後の展望を教えてください。

堀切先生:学力、グローバル力、人間力という3つの柱はそのままに、社会のニーズに応じながら、より一層グローバル教育に力を入れていきたいです。

 郁文館のグローバル教育に期待をしてくださる受験生や保護者の方が非常に多く、郁文館中学校には、インターナショナルスクール出身や帰国子女の生徒も入学してきています。中学入学当初から英語のスキルが高い生徒は、特例として郁文館グローバル高等学校の英語の授業を受けるなどの対応を行っています。また、留学に際して、現地企業でインターンシップをしたい、現地の高校で行われている経営セミナーを受講したいなど、生徒の高い自発性・主体性ゆえに、高度なニーズも出てきています。せっかく期待をしてくれる生徒に「物足りない」と思われないよう、質の高い授業やカリキュラムをつくることが今後も引き続いての課題です。ありがたい悩みですね。

 郁文館中学校から高校卒業までの6年間、生徒が自分自身でも納得しながら学べる環境を作ってあげたいですね。常に社会や世界と結び付きながら、国際人を育てていく学園を、引き続き目指していきたいと考えています。

--堀切先生、高野さん、本日はどうもありがとうございました。

 偶然にもこの日は、「ヤングアメリカンズ」のメインイベントとなるダンスステージ最終発表会が行われていた。生き生きと校舎内を行き交う生徒たちが夏の陽射し以上にまぶしい。日常に散りばめられた学びのヒントを浴びながら、国際人として羽ばたいていく彼らの未来に大きく期待したい。

郁文館夢学園 公式ホームページ
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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