2040年に向けた高等教育構想、文科省が答申公表

 文部科学省は2018年11月26日、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を取りまとめ公表した。本文と概要版がWebサイトに掲載されている。なお、答申に向けた最終的な議論の参考とするため、10月には意見募集を実施。合計208件の意見が寄せられたという。

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文部科学省「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)について」
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  • 2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)の概要
  • 「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申(案))」 に関する意見募集(結果)
 文部科学省は2018年11月26日、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」を取りまとめ公表した。本文と概要版がWebサイトに掲載されている。なお、答申に向けた最終的な議論の参考とするため、10月には意見募集を実施。合計208件の意見が寄せられたという。

 2017年3月6日の中央教育審議会総会において、「我が国の高等教育の将来構想について」諮問が行われ、おおむね2040年ごろを見据えた、これからの時代の高等教育の将来構想について、総合的な検討を要請。中央教育審議会では大学分科会将来構想部会を中心に審議を進め、2018年10月10日から26日までの期間には答申案に対する意見を国民から募集。その後、2018年11月26日の総会において、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」として取りまとめた。

 答申は、「2040年の展望と高等教育が目指すべき姿(学修者本位の教育への転換)」「教育研究体制(多様性と柔軟性の確保)」「教育の質の保証と情報公表(「学び」の質保証の再構築)」「18歳人口の減少を踏まえた高等教育機関の規模や地域配置(あらゆる世代が学ぶ「知の基盤」)」「各高等教育機関の役割など(多様な機関による多様な教育の提供)」「高等教育を支える投資(コストの可視化とあらゆるセクターからの支援の拡充)」のほか、「今後の検討課題」を記している。

 具体的には、「何を学び、身に付けることができたのか」という観点と、個々人の学修成果の可視化により、個々の教員の教育手法や研究を中心にシステムを構築する教育からの脱却を目指す。そのほか、18歳で入学する日本人をおもな対象として想定する従来のモデルから脱却し、社会人や留学生を積極的に受け入れる体質へ転換。全学的な教学マネジメントの確立、定員管理や教育手法などについて抜本的な見直し、各学校種(大学、専門職大学・専門職短期大学、高等専門学校など)における特有の課題の検討、学生の可能性を伸ばす教育改革のための適正な規模の検討と教育の質を保証できない機関への厳しい評価なども盛り込まれた。

 「今後の検討課題」では、中央教育審議会は今回の答申を踏まえ、「教育の質の保証と情報公表」で示した設置基準などの質保証システムについて見直しを行う。また、教学マネジメントに係る指針の策定、学修成果の可視化と情報公表の在り方に関する検討を行うとしている。あわせて、国に対して、国公私立の枠組みを越えた連携の仕組みである「大学等連携推進法人制度(仮称)」について、制度の枠組み、認定する際の基準の内容、連携を推進するための制度的な見直しなどに速やかに着手するよう求めた。

 電子政府の総合窓口「e-Gov(イーガブ)」に公開された意見募集の結果を見ると、期間中に提出された意見は合計208件。観点別件数によると、もっとも多くの意見が寄せられたのは「教育研究体制」の「多様な教員」の20件だった。実務経験を有する者の大学教育への参画を促すため、専任教員として実務家教員を配置することができる旨を、大学設置基準上、確認的に規定するとしているが、「実務家教員の重要性は認めるが、実態を広く調査し、採用方法や採用基準を検討することも必要」などの意見があった。

 また、「18歳人口の減少を踏まえた高等教育機関の規模や地域配置」の「地域における高等教育」では、「地域連携プラットフォームや大学等連携推進法人について、定員割れの私大の救済のための枠組みとならないよう、一定程度の国の介入が必要」との意見もあがっていた。
《黄金崎綾乃》

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