京都市教委×NEC×京大「未来型教育」実証事業を開始

 京都市教育委員会は2019年1月より、日本電気(NEC)や京都大学学術情報メディアセンターと「未来型教育 京都モデル実証事業」を開始する。市内の小中学校を対象に、AIなどの先進技術を活用した協働学習における学習状況の可視化・評価と統合的な学習データ分析を行う。

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 京都市教育委員会は2019年1月より、日本電気(NEC)や京都大学学術情報メディアセンターと「未来型教育 京都モデル実証事業」を開始する。市内の小中学校を対象に、AIなどの先進技術を活用した協働学習における学習状況の可視化・評価と統合的な学習データ分析を行う。

 「未来型教育 京都モデル実証事業」は、義務教育段階における個々の子どもに応じた学習の実現と教員の指導力向上が目的。授業における子どもの発話や感情などを可視化するNECの「協働学習支援ソリューション」の活用、京都大学学術情報メディアセンターの緒方広明教授の「ラーニングアナリティクス」「エビデンスに基づく教育を実現するための情報基盤」などの協働学習に関する学術的知見・研究協力により実現する。

 対象学校は京都市立加茂川中学校(16学級462名)と京都市立七条第三小学校(16学級427名)、期間は2020年3月までを予定。2018年度は、加茂川中学校1年生2学級、七条第三小学校の3年生1学級および4年生1学級で実施される。

 具体的には、2018年度に協働学習の可視化・分析を実施。教室内に設置したマイクで捉えた協働学習における教員と子どもの発話を分析し、発話者を特定したうえで、発話テキスト・発話量・感情変化・学習すべきキーワードの出現状況などを教員向けタブレット端末にリアルタイムで表示する。そのほか、蓄積した学習データをもとに、子どもの発話量の推移などの統計情報が授業後に確認できるという。

 これにより、教員による授業中の子どもへの効果的な働きかけ、次回以降の授業改善など、効果的な協働学習が可能かを検証。また、データに基づく子どもの資質・能力の評価方法について検討・策定する。

 2019年度は、協働学習を含む学習データの統合分析を実施。協働学習のデータに加えて、学力テストの結果、子ども向けタブレット端末を利用して取得するデジタル教科書・ドリル教材の閲覧・解答ログ(知識・技能の定着を測るデータ)、子ども向けのアンケート調査(学びに向かう意識や学校生活の悩みなどのデータ)といった学習ログを統合的に収集・分析する。これらの分析結果に基づき、個々の子どもに応じた指導や、教員・子ども・保護者への適切なタイミングでのフィードバックを行う。

 さらに、これらの実証を通して、子どもひとりひとりのやる気や資質・能力を伸ばす仕組みの有効性を検証・評価し、その結果をエビデンスとして蓄積。学校間で共有し、「教育EBPM(evidence-based policy making:客観的な証拠に基づく政策立案)」の実現を目指す。
《黄金崎綾乃》

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