不登校傾向にある中学生、推計33万人…日本財団が実態調査

 年間欠席数が30日未満の不登校傾向にある中学生が、全国で33万人と推計されることが2018年12月12日、日本財団の調査結果からわかった。中学校に行きたくない理由は、身体的症状のほか、「授業がよくわからない」「テストを受けたくない」など学業的な要因も多かった。

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「中学校生活」タイプ別ボリューム
  • 「中学校生活」タイプ別ボリューム
  • 「中学校生活」タイプ別ボリューム
  • 中学校に行きたくない理由
  • 学びたいと思える場所
  • 日本財団と文部科学省による調査概要
  • 学校生活をめぐる子どもの特徴(タイプ)6群
 年間欠席数が30日未満の不登校傾向にある中学生が、全国で33万人と推計されることが2018年12月12日、日本財団の調査結果からわかった。中学校に行きたくない理由は、身体的症状のほか、「授業がよくわからない」「テストを受けたくない」など学業的な要因も多かった。

 「不登校傾向にある子どもの実態調査」は、顕在化していない「学校になじんでいない子ども」を「不登校傾向にある子ども」として把握するとともに、子どもが学校になじまなくなる原因や背景を子どもの本音として集めようと、日本財団が実施。2018年10月、中学生年齢の12~15歳6,500人を対象にインターネットで調査し、6,450人から有効回答を得た。

 調査結果によると、文部科学省が不登校として定義する年間30日以上欠席し、学校に行っていない状態が一定期間ある子どもは、推計約10万人。一方、文部科学省が学校や教育委員会を対象に実施した「2017年度(平成29年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の中学校の不登校生徒数は10万8,999人。今回の推計値とほぼ同じ結果となっている。

 年間欠席数が30日未満の不登校傾向にある中学生については、学校に行っていない状態が一定期間ある「不登校」、保健室などには行くが教室には行かない「教室外登校」、部分的に教室で過ごす「部分登校」、基本的には教室で過ごすがみんなとは違うことをしている「仮面登校A」、基本的には教室で過ごしみんなと同じことをしているが心の中では学校に通いたくない・学校が辛い・嫌だと感じている「仮面登校B」の5タイプに分類。

 調査結果をもとに「不登校傾向にある子ども」が約33万人いると推計。このうち、タイプ別の推計値として「不登校」を5万9,921人、「教室外登校」「部分登校」「仮面登校A」を合わせて13万703人、「仮面登校B」を14万2,161人とした。不登校または不登校傾向にある子どもは、推計で約43万人、全体の13.3%を占めるという。

 「不登校傾向にある子ども」が中学校に行きたくない理由は、「疲れる」がもっとも多く、ついで「朝、起きられない」と、身体的症状が上位に並んだ。また、「授業がよくわからない・ついていけない」「小学校のときと比べて、良い成績が取れない」「テストを受けたくない」という、学習に関する理由も多く見られた。

 不登校または不登校傾向にある中学生が「学びたいと思える場所」は、「自分の好きなこと、追求したいこと、知りたいことを突き詰めることができる」が58.1%と最多。「自分の学習のペースに合った手助けがある」44.6%、「常に新しいことが学べる」35.1%、「クラスや時間割にしばられず、自分でカリキュラムを組むことができる」24.3%と続いた。中学卒業後の15歳~22歳に尋ねた結果もほぼ同じ傾向となった。
《奥山直美》

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