タブレット持ち帰り学習は家庭学習マネジメント力がポイント

 増進堂・受験研究社とLTE-X、FUTURE VALUES INTELLIGENCEは、小学生を対象に長期休暇時にタブレットを持ち帰ってもらい家庭での学習行動を分析した。その結果、宿題としてノルマにされていない教材への取組みによって、マネジメント力の差が明らかになったという。

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増進堂・受験研究社・LTE-X・FUTURE VALUES INTELLIGENCE
  • 増進堂・受験研究社・LTE-X・FUTURE VALUES INTELLIGENCE
  • 各教科、各グループの正答率比較 (c) FUTURE VALUES INTELLIGENCE All Rights Reserved.
  • 各教科、各グループ、各期の正答率比較 (c) FUTURE VALUES INTELLIGENCE All Rights Reserved.
  • ログイン日数 (c) FUTURE VALUES INTELLIGENCE All Rights Reserved.
  • 各教科、各グループ、各期の学習量比較 (c) FUTURE VALUES INTELLIGENCE All Rights Reserved.
  • 対象者に向けてタブレット端末・アプリの操作方法を指導している増進堂・受験研究社とLTE-Xのスタッフ
  • 説明会後、早速自分でログインする児童
 増進堂・受験研究社とLTE-X、FUTURE VALUES INTELLIGENCEは、小学生を対象に長期休暇時にタブレットを持ち帰ってもらい家庭での学習行動を分析した。その結果、宿題としてノルマにされていない教材への取組みによって、マネジメント力の差が明らかになったという。

 「GIGAスクール構想」など政府主導の教育ICT拡充を図る動きが活発になる中、教員主導による授業内でのICTツール活用だけではなく、家庭での自律的な活用こそが求められるという。実証事業は、自律的なICTツール活用を促進するための環境設計がどうあるべきかを検討することが重要だという認識のもと、3社が提携しながら進められた。

 実証には、東京都墨田区立第二寺島小学校に在籍する小学5年生(一部、小学6年生含む)の有志55名が参加。冬休みを含む2週間の「第1期」と、始業式後の3学期2週間の「第2期」に、英語・国語・算数の1・2学期の復習内容を学習した。学習については、宿題として強制はせず、タブレット端末とWebアプリの使用法のみを指導。第1期・第2期を通じて、進捗管理や声かけは実施しなかった。

 実証に参加する児童を、学力調査の結果から「Aグループ(達成評定児童)」と「Bグループ(未達成評定児童)」に区分して学習行動を調査。その結果、Aグループは実施時期による正答率にあまり差がみられなかったが、Bグループは第1期に比べて第2期の正答率が大幅に下がった

 Aグループのログイン日数は第1期より第2期のほうが上昇、回答数も全体的に第2期のほうが増加している。一方、Bグループのログイン日数は第1期・第2期であまり変化していないにも関わらず、第2期の回答数は大幅に減少した。また、回答数が多い学習者ほど、事前テストから事後テストのスコアが上がっていることもわかった。

 このことから、「教材にログインするように自らを促す力」については、グループや実施時期による差は見受けられなかった。しかし、学校で進行している新しい単元学習とタブレットによる復習が同時並行で行われた第2期は、「ログインした後に教材を丁寧に継続的に学習するように自らを促す」というマルチタスクを遂行する際のマネジメント力に差があると解釈できるという。

 実証に参加した児童からは、「長期休業中に取り組めたことで、自分で電源をつけて自分で学習に取り組む習慣ができた(今まではできなかった)」「学校がある間は習い事で忙しいので夕方から夜にタブレットPC学習に取り組むことが難しかった」といった感想が寄せられている。

 第二寺島小学校の教員たちからは、「タブレットPC学習への興味・関心が今後さらに広がり、家庭でも予習・復習ができる環境が整うとよい」「弱点(苦手な内容)が円グラフで明確になり、必要な学習内容が明確になるのがとてもよい」などの意見があがった。

 今回の実証事業内容と分析結果の詳細は、今後、学術学会や教育実践研究・報告の場で公表する予定だという。
《外岡紘代》

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