大卒事務系の初任給21万8,472円、引上げ率は下方へシフト

 日本経済団体連合会(経団連)と東京経営者協会は2020年12月4日、2020年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」の概要を公表した。大学卒の初任給の平均額は、事務系21万8,472円、技術系21万7,864円。引上げ率は、前年より下方へシフトしている。

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初任給を引き上げた企業割合の推移
  • 初任給を引き上げた企業割合の推移
  • 初任給決定にあたってもっとも考慮した判断要因
  • 初任給の決定状況
  • 学歴別初任給水準
  • 初任給の推移
  • 産業別初任給
 日本経済団体連合会(経団連)と東京経営者協会は2020年12月4日、2020年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」の概要を公表した。大学卒の初任給の平均額は、事務系21万8,472円、技術系21万7,864円。引上げ率は、前年より下方へシフトしている。

 「新規学卒者決定初任給調査」は、新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするため、経団連と東京経営者協会が1952年より共同で実施している。対象は経団連企業会員と東京経営者協会会員企業。2020年8月18日~10月7日の調査期間に497社から回答を得た。

 初任給の決定状況について、「前年の初任給から引き上げた」と回答した企業は42.6%。前年の57.2%から14.6ポイント低下したものの、2014年以降7年連続して40%超の水準を維持している。「前年の初任給から据え置いた」は、前年比15.0ポイント増の57.4%で、2017年以来3年ぶりに50%を上回った。「引き下げた」と回答した企業はなかった。

 初任給決定にあたってもっとも考慮した判断要因は、前年と同じく「世間相場」が27.8%ともっとも多く、それ以降の順位も前年と変わりなかった。ただ、「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」が25.1%と前年より4.0ポイント増、「企業業績を勘案」が6.8%と前年より2.5ポイント増。「人材を確保する観点」16.7%、「賃金交渉の結果による配分」11.7%は前年より減少した。

 全産業における学歴別初任給の平均額をみると、大学卒は事務系が21万8,472円(引上げ額1,531円)、技術系が21万7,864円(同1,185円)。大学院卒は事務系が23万4,590円(同1,522円)、技術系が23万6,549円(同1,352円)。

 引上げ率は、前年より下方へシフトしており、すべての学歴で1%未満。初任給の推移をみると、2014年以降は業績の回復・拡大によって増加傾向にあり、2020年調査では対前年引上げ率が減少したものの、大学卒(技術系)を除いて0.7%を超える水準となった。

 全産業の初任給平均額(大卒・事務系、21万8,472円)を100とすると、製造業は「化学・ゴム」の102.8(22万4,654円)以外は100未満となった。一方、非製造業では、「土木建設業」103.6(22万6,292円)、「金融・保険業」102.1(22万3,160円)など、大半の産業で100を超えた。

 なお、対前年引上げ率は、その年に回答した企業全体の初任給平均額と、各企業の対前年引上げ額の平均額を用いて計算している。そのため、初任給額が前年より下がっているにもかかわらず、対前年引上げ率がプラスとなる場合があるという。
《奥山直美》

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