科学への信頼とSTEM分野への関心が向上、多様性推進が課題…3M

 17か国を対象とした科学に対する意識調査で、2020年と比較し、より多くの人が科学へ期待を高めていることが明らかになった。STEM分野のキャリアや教育への関心が高まるものの、多様性の推進が課題であり、特に日本では若い世代の科学への関心が低いことがわかった。

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科学の役割を重要に感じると答えた人の割合は、2018年と比較して2倍以上
  • 科学の役割を重要に感じると答えた人の割合は、2018年と比較して2倍以上
  • 日本の調査結果:パンデミックにおける科学への期待
  • 日本の調査結果:STEM[分野におけるジェンダー格差
  • 日本の調査結果:一年前と比較して関心が高まった環境問題
  • 日本の調査結果:持続可能な世界を実現するために企業が優先すべき取組み
 17か国を対象とした科学に対する意識調査で、2020年と比較し、より多くの人が科学へ期待を高めていることが明らかになった。STEM分野のキャリアや教育への関心が高まるものの、多様性の推進が課題であり、特に日本では若い世代の科学への関心が低いことがわかった。

 人びとの科学に対する意識を調査した「State of Science Index(ステート・オブ・サイエンス・インデックス)」は、2021年2月2日から3月23日にかけて、3Mが実施した。17か国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、コロンビア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、ポーランド、シンガポール、韓国、UAE、英国、米国)の成人(18歳以上)1,000人を対象に各国で実施し、今回は新型コロナウイルス感染症が拡大する状況下で実施された調査としては2回目となる。

 2021年の調査結果からは、世界的に科学に対する信頼度が向上し、懐疑的な意識を持つ人びとは減少したことが明らかになった。科学への信頼度は2018年の調査開始以降向上しており、今回は科学を信頼している人が91%と最高水準だった。また、科学に対して懐疑的な意識を持つ人の割合はこれまででもっとも低い27%だった。

 日本でも世界と同様、科学を信頼すると回答した人が増加し、84%にのぼった。科学に対する懐疑的な意識を持つ人は20%となり、2020年のパンデミック前調査からは12%も減少している。

 調査では、科学への信頼向上とともに、STEM分野への関心が高まっていることも明らかになった。しかし、90%の回答者が「より多くの人びとがSTEM分野の職種に就く必要がある」と考えている一方、73%が「社会的少数者がSTEM教育を受ける機会を享受できていない」、59%が「STEM分野において女性は男性よりもより多くの足かせがある」と感じていた。

 日本でも、88%が「STEM分野のキャリアを目指す人材を増やす必要がある」と回答しているものの、「若い世代が科学や科学関連の問題に非常に高い関心を持っている」は41%で、グローバルの平均の69%に対し、調査対象国の中でもっとも低かった。また、「女性や少女がSTEM教育に取り組み続けることを奨励するには、まだすべきことがたくさんある」と81%が回答し、ジェンダー格差による不公平感の解消が課題であると考えている。

 3Mでは「State of Science Index」の各国の結果の比較や、より詳細な情報をWebサイトで公開している。また、同調査の取組みの一環として、ドキュメンタリー短編映画「Not The Science Type(理系じゃないタイプ)」を製作。人種や年齢などバックグラウンドの異なる4人の女性科学者が、どのようにして差別や科学者に対する固定観念と戦ってきたかを取り上げ、科学者のステレオタイプにとらわれることはないというメッセージをリレー形式で伝える内容で、YouTubeにて日本語字幕版を公開している。
《勝田綾》

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